デザインのモチーフはなんと鎌倉大仏
BMW3シリーズ、ベンツ190などがバブル期の輸入車勢ヒットモデルだとしたら、日本車を代表する1台だったのがシーマだ。ただ、テイスト自体は洗練されたものではなくて、逆にやんちゃな感じが人気の秘密だったし、建設会社の社長あたりが、リヤウインドウのところにヘルメット乗せて、尻を下げながらフル加速、なんていう風景がよく見られたのである。ちなみにお値段は、400万円弱から500万円ぐらいと、今からしても結構なものだった。
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いずれにしてもシーマ現象とまで呼ばれ、街のあちこちで見かけた大ヒット作なのだが、そもそもは87年に登場した3ナンバー専用ボディのクラウンに対抗するため、急ごしらえで仕立てられたものだった。当時開発中だったY31型のセドリック/グロリアのシャーシに、専用デザインの3ナンバーボディを架装。セドリック/グロリアのさらなる上級車という位置付けでバブル真っ只中の88年にデビューした。
3ナンバーシャシーを専用開発する余裕がなく、Y31型をベースにせざるを得なかったのだが、あまりに急だったため、当初はセドリック/グロリアと同時発売を予定していたが、間に合わずに半年遅れで登場。それゆえ、セドグロとの差別化が図られたのも、ヒットした理由のひとつとされている。ちなみに正式な車名は、セドリック・シーマ/グロリア・シーマで、リヤのバッヂもそのようになっている。
デザインは今見ても色あせない。つるりと丸みを帯びた純和風デザインは、なんと鎌倉大仏(!)をモチーフにしたもの。ちなみに、まったく違う和のものを元にするのは、バブル期の常套手段でもあった(トヨタ・セルシオは仁王像をモチーフ)。さらに当時の流行だったピラーレスハードトップ(センターピラーがなくスタイル重視)というのも、シーマらしさを演出したが、こちらもバブル期のサルーンが よく用いた定番スタイルだ。
エンジンは当時としては特筆モノの255馬力を発揮する3リッターのV6ターボ(200馬力のNAもあり)で、しかもターボには当時の驚愕技術だった、日産自慢のセラミックターボを採用。足まわりは電子制御のエアサスを用意。ただ、シーマ名物のフル加速時での尻下がりは、リヤサスに採用したセミトレ式のせいだった。
ただ意外なことに、セドリック/グロリアシリーズの途中で加わったモデルということもありじつは短命で、販売期間は3年半ほどだった。
その後は車名からセドリック/グロリアが取れた、2代目シーマが登場。発売当初はエンジンはNAのみだったが、ターボと同等の動力性能を確保すべく4.1リッターV8エンジンを搭載ししつつ、ターボの強烈な加速を望む声に応え、93年のマイナーチェンジで3リッターV6ターボが復活した。
ただし景気の後退により、初代のようなヒットにもならず、現在の5代目に至るまで、日産のフラッグシップサルーンとして君臨するにとどまっている。
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