展示プロモーション活動に見るクルマ好きへの提案の重要性
1カ月に1度か2度の大阪出張があり、いつも新幹線を利用している。羽田~伊丹空港を使うと、トータルで40-50分程度速いのだが、飛行機は待ち時間が長く、歩く距離も長い。新幹線なら寝ていくこともできるし、こうした原稿を書く時間としては最適だ。
【試乗】ここまでやるか! 新型ダイハツ ミラ イースのマジメな作りと走り
新大阪駅に到着して、構内を歩くとすぐにスズキの新車展示が目に入る。もう何年も前から、同じスペースを使って新車が置かれ、すぐそばの大きな柱にも回転型のポスターでスズキのクルマのラインアップが紹介されている。ここから在来線方面の改札を抜けた先には、ダイハツの新展示スペースがある。
もちろん、今の時期は発売したばかりで好調な売れ行きを示すミラ・イースが置かれている。ついこの間までは、スズキがスイフトを展示して、ダイハツがトールを置いていた。さらにその前には長い間スズキはハスラーで、ダイハツはキャストだった。
僕の記憶では、お互いを意識しているのか、ライバル関係に当たるクルマを同じ期間置くようだ。いつもこの場所を通るたびにしばらく立ち止まって、通りがかりのひとの「クルマ注目度」を観察している。クルマをしっかりと見ている人の大半は「オジサン」と呼ばれる年齢で、クルマによって注目度が異なるのが面白い。これまでで、立ち止まってあれこれ見たり、横に置いてあるカタログに手を伸ばす人の多かったのは、圧倒的にスズキ・ハスラーだった。続いてスイフトも注目されていたが、ライバルのトールは振り向きもせずに通り過ぎる人が多かった。
ワゴンRvsミラ・イースも、数回の観察だがワゴンRの勝ち。つまり、確実にスズキ車への関心が高いように見える。なぜだろうか。
それは、第一に展示場所の問題。在来線は先を急ぐ人が多いが、新幹線は時間に余裕があり旅行気分、観光気分の人が多いせいだろう。しかし、この数年観察しているなかで、スズキのクルマのボディカラーは明るい色が多い。ダイハツはなぜか遠慮気味に地味な色合いのクルマが多いことに気がついている。
また、スズキのスペース横にある回転する広告柱もうまくできていて、つい見てしまうのだろう。とはいえ、全体にクルマへの関心度が低いのは少し悲しい。クルマを見るより「スマホ」チェックに忙しそうだ。最近は利用していないが宇部山口空港に展示されていた新型マツダロードスターには足を止める乗客が多かった。
メルセデス・ベンツは、羽田空港に新型車を展示するだけでなく、「メルセデスミー東京羽田」というラウンジを作ってアピールしている。ここには日の丸リムジンがショーファー・サービス(運転手つき送迎)まで展開している。
各社、さまざまな新型車のプロモーションを工夫しているが、「クルマ好きへのプレゼンテーション」は少ない。一般の人を巻き込む前に、クルマの先進技術、走りの面白さなどクルマ好きへの仕掛けが欲しい。今はSNSを通してクルマの魅力が伝播していく時代なのだから。
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