撮影される側の肖像権やプライバシー権を侵害せず証拠とするため
自動速度違反取締装置=通称「オービス」の設置されている路線には、その手前1-2kmぐらいのところに、「速度自動取締機設置路線」といった取り締まりを警告する看板が、最低2カ所は表示されている。なぜ、わざわざこのような警告板が用意されているのかご存じだろうか。
「パトカーの待ち伏せ時の駐禁は? 速度違反は?」など緊急車両の交通ルールとは
「いくら撮影対象者が速度違反者に限られるといっても、コソコソ盗み撮りするようなマネは気が引けるというか、抵抗がある……」などと警察が考えるわけがなく、無人で自動的に速度違反者を撮影するシステムを運用するにあたり、他の法律に抵触することがないように、警告看板を設置しているというのが実情だ。
簡単にいえば、速度違反の容疑があるドライバーであっても、さらにはその同乗者などを無断に撮影することは、撮影される側の肖像権やプライバシー権を侵害することになり得るため。
また、過去の最高裁判所の判例を見ても、撮影自体は違法ではないが、オービスなどで撮影した写真を犯罪(速度違反)の証拠として採用するためには、撮影の「事前告知」と「犯罪行為の瞬間の撮影」の二つの条件が必要であるとされているので、事前告知=警告看板の設置が必須となっているというわけだ。
逆にいえば、オービスに関してはこの警告看板さえ見落とさなければ、オービスに撮影されて、後日(通常撮影から30日以内)警察から当該車両の所有者に出頭通知をもらわずに済むというもの。
しかし、トラックの列に遮られてしまったり、知らない間にオービスが新設されていたり、おしゃべりや音楽に夢中になっていたり、考え事や睡魔に襲われ、ついつい警告看板を見逃してしまうケースも少なくない……。
もちろん、安全運転かつ安全速度での走行が大前提だが、うっかりしてそうしたピンチを招かないよう、オービスの最新位置情報を知らせてくれる、スマホ用のナビアプリなども上手に使って、自衛手段を講じておくことをおすすめする。
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