命を預ける大切なパーツなので細心の注意を払いたい
一般的にタイヤの接地面積は1本あたり、ハガキ1枚と言われているほど。高性能なクルマで、ワイドなサイズだとしても、せいぜいハガキ2枚分になる程度だろう。そこに命を預けて運転しているわけなので、タイヤ交換のときは細心の注意が必要だ。しかもゴム製品だけに、次第に劣化する消耗品でもある。交換時の注意点を5つ、あげてみた。
(1)サイズなどを合わせる
純正タイヤを基準とするのが鉄則。開発時にはタイヤも込みで熟成が図られているので、本当にこだわる人はディーラーで補修部品としてタイヤを買うほど。ちなみにこの際、補修部品でと念押ししないと、出入りの近所のタイヤ業者から仕入れることもあるので注意。メーカー純正部品としてのタイヤは、たとえ同じブランドやモデル、サイズで市販されていても、コンパウンドなどが違うこともあるのだ。
そこまでこだわらなくても、カタログで見て性能は同等かそれ以上を選ぶ。サイズもホイールをインチアップする場合以外は同じものにする。外径が合っていれば、扁平率で合わせて幅を広くしたり狭くしたりもできるが、わずかとはいえ、純正で定められた性能が崩れることは頭に入れておきたい。
(2)回転方向などを守る
意外に知らない人もいるのが、回転方向が決まっているタイヤがあるということ。非対称のトレッドパータンを採用している場合が多く、正しい回転とすることで、排水性やトレッド剛性が確保できるようになっている。また1本のタイヤにかかる左右の荷重が大きく異なるミニバン用の場合、内側と外側の指示もあるので注意が必要だ。とくにローテーションするときは気をつけたい。
(3)重量ポイントを合わせる
新品タイヤのサイドを見ると、赤や黄色の丸が付いていることに気がつく。これらはなにかというと、まず黄色は軽点マークといって、タイヤのなかで一番軽い部分を指している。ここをホイールの一番重たいところであるバルブに合わせると、バランスが取れる。
赤色は、ユニフォミティマークと呼ばれて、一番外周が大きいところ。つまり出っ張ったところを指している。純正など一部のホイールには逆に一番外周が小さいところが白いマークで示されていて、ここと合わせると真円に近くなるというもの。
ちなみにタイヤを完全な真円に製造するのは、市販品では現在でも無理だ。あとで削って修正するしかない。ふたつの丸については、守らなくても大きな問題が発生するわけではないが、クルマ好きならぜひ守りたいポイントである。
新品タイヤに交換直後「いきなり全開」はNG
(4)空気圧を守る
運転席のドアを開けたところにあるステッカーに表示されているので、これを守る。日本車は基本的にはひとつしか指示がないが、輸入車は一般道と高速道路、さらに乗員数でも空気圧を変えるように指示がなされている。それだけ空気圧は大切なもの。そもそも点検をしたことがない、というのは論外だ。給油時でいいので、1カ月に1回は空気圧をチェックしよう。
(5)慣らしをする
タイヤも慣らしが必要なのだ。いわゆる皮剥きというもので、表面の硬いのが少し磨耗するとゴムのフレッシュなところが表面に出てきて、所定のグリップが確保できるようになる。ここまでは知っている人も多いだろうが、さらに別の目的がある。大きなのは内部の繊維の慣らし。
タイヤの内部は編み込まれた繊維が入っているが、徐々に力をかけてやることで、柔軟性を確保してやるのだ。実際、しなやかになってタイヤは少し大きくなる。この過程で発熱もしやすくなるので、抑え気味に走る必要がある。
そのほかホイールとの馴染みや、ドライバーの慣れなども慣らしの目的のひとつだ。いずれにしても、シビアに走る必要はないのだが、急が付く動作は避けたり、大きな荷重をかけないようにするだけでいい。タイヤメーカーの組合では乗用車での慣らしは80km/h以下で100キロ以上走行と定めていて、カタログにもちゃんと載っている。
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