軽油の安さを考えれば長距離が多いユーザーはメリット大
マツダが2012年2月に発売した先代CX-5が火付け役となり、クリーンディーゼルと呼ばれるガソリンエンジン並の排ガスのクリーン度を持つディーゼルエンジン搭載車の普及が始まり、今では乗用車のクリーンディーゼル搭載車は輸入車も含めると数えきれないほどラインアップされている。
今回は日本で買えるクリーンディーゼル搭載車のリストを短いコメントとともに掲載するので、クリーンディーゼル車選びの参考にしてほしい。 ※カッコ内のスペックは、エンジン形式、最高出力&最大トルク、ディーゼル車で対策が難しいNOx(窒素酸化物)の後処理方法の順で記載する。NOxの後処理方法が尿素SCRの場合は定期的にアドブルーとも呼ばれる尿素水を補充する必要がある。
■日本車
トヨタ
・ランドクルーザー(2.8リッター直4・177馬力/450N・m・尿素SCR)
開発時期の新しいディーゼルエンジンを搭載し、ガソリンエンジンでは燃費の悪い本格SUVだけに、ファンにとっては「待ちに待った」と言える存在。2.7リッターガソリンに対する価格差は70万円以上と大きいが、長い目で見れば元を取れる範囲だ。
マツダ
・CX-5XD(2.2リッター直4・175馬力/420N・m) ・アテンザXD(2.2リッター直4・175馬力/420N・m) ・アクセラ22XD(2.2リッター直4・175馬力/420N・m)
冒頭に書いたとおり、日本におけるクリーンディーゼル普及の火付け役で、燃費の良さや力強さといったディーゼルエンジンの魅力に加え、NOxの処理を燃焼の段階で行うことで尿素SCRやNOx触媒といった非常に高価なパーツを使わずに済んでおり、低価格化という大きな課題も克服した。
2.2リッターディーゼルを搭載するアテンザとアクセラにはマニュアルトランスミッション(MT)の設定もあり、MTは強烈な加速力や図太い中低速トルクなど、エンジンを自分の意志で楽しめるという魅力も持つ。
・デミオ(1.5リッター直4・105馬力/220N・m[MT]105馬力/250N・m[AT]) ・CX-3(1.5リッター直4・105馬力/270N・m) ・アクセラ(1.5リッター直4・105馬力/270N・m)
マツダのクリーンディーゼルとしては第2弾となる1.5リッター。2.2リッターに対し、ターボを2つから1つにする、インタークーラーを空冷から水冷に変更するといったコストダウンやコンパクト化が行われている。動力性能は2.2リッターには及ばないが十分爽快なもので、動力性能の燃費のバランスは非常に高い。
三菱
・デリカD:5(2.2リッター直4、148馬力/360N・m・NOx触媒)
日本車のミニバンでは唯一のクリーンディーゼル搭載車。巡航中のエンジン音や太いトルクはワイルドなデリカD:5の性格にじつに似合っており、ファンも多い。
・パジェロ(3.2リッター直4・190馬力/441N・m・NOx触媒)
ポジションとしてはランクルプラドのディーゼルと同じでエンジンは古いが、08年からディーゼルエンジン搭載車を設定している点は高く評価できる。
ドイツメーカーは3ブランドがディーゼルを導入
■ドイツ
ミニ
・ミニ3ドア、5ドアクーパーD(1.5リッター直3・116馬力/270N・m・NOx触媒) ・ミニ3ドア、5ドアクーパーSD( 2リッター直4・170馬力/360N・m・NOx触媒)
・ミニクラブマンクーパーD(2リッター直4・150馬力/330N・m・NOx触媒) ・ミニクラブマンクーパーSD(2リッター直4・190馬力/400N・m・NOx触媒)
・ミニクロスオーバークーパーD(2リッター直4・112馬力/270N・m・NOx触媒) ・ミニクロスオーバークーパーSD(2リッター直4・143馬力/305N・m・NOx触媒)
親会社のBMWのディーゼルエンジンを搭載し、1.5リッター3気筒というディーゼルとしては小型のものも持つ。全体的に車外騒音が大きいのが残念なところだ。
BMW
・118d(2リッター直4・150馬力/320N・m・NOx触媒) ・218dアクティブツアラー(2リッター直4・150馬力/330N・m・NOx触媒) ・218dグランツアラー(2リッター直4・150馬力/330N・m・NOx触媒)
・320d系(2リッター直4・190馬力/400N・m・NOx触媒) ・523dセダン(2リッター 直4・190馬力/400N・m・NOx触媒) ・523dツーリング(2リッター直4・190馬力/400N・m・NOx触媒)
・X1 xDrive18d(2リッター直4・150馬力/330N・m・NOx触媒) ・X3 xDrive20d(2リッター直4・184馬力/380N・m・NOx触媒) ・X5 xDrive35d(3リッター直6・258馬力/560N・m・NOx触媒)
BMWは2リッター直4を中心に多くの車種にクリーンディーゼルを設定する。じつにトルクフルかつパワフルで車内騒音も静かと走っている分には申し分ないが、3シリーズ以下は車外騒音が大き目なのが残念。
メルセデス・ベンツ
・C220d系(2.2リッター直4・170馬力/400N・m・尿素SCR) ・CLS220d系(2.2リッター直4・170馬力/400N・m・尿素SCR) ・E220d系(2リッター直4・194馬力/400N・m・尿素SCR) ・S300h(2.2リッター直4・204馬力/500N・m+27馬力のモーター・尿素SCR) ・V220d(2.2リッター直4・163馬力/380N・m・尿素SCR)
・GLE350d系(3リッターV6・258馬力/620N・m・尿素SCR) ・GLS350d(3リッターV6・258馬力/620N・m・尿素SCR) ・G350d(3リッターV6・245馬力/600N・m・尿素SCR)
メルセデス・ベンツはFF系、スポーツ系を除く乗用車に2リッター級4気筒、SUV系に3リッターV6のディーゼルを幅広く設定。高級車の代表であるベンツだけに車外騒音を含め静粛性が非常に高いのも特徴。
その他欧州メーカーも積極的に日本市場へ導入
■フランス
プジョー&シトロエン
・プジョー308アリュールブルーHDi系(1.6リッター直4・120馬力/300N・m・尿素SCR) ・シトロエンC4フィールブルーHDi(1.6リッター直4・120馬力/300N・m・尿素SCR) ・プジョー508GTブルーHDi系(2リッター直4・180馬力/400N・m・尿素SCR) ・C4ピカソ シャインブルーHDi(2リッター直4・150馬力/370N・m・尿素SCR)
・グランドC4ピカソ シャインブルーHDi(2リッター直4・150馬力/370N・m・尿素SCR) ・DS4クロスバックブルーHDi(2リッター直4・180馬力/400N・m・尿素SCR) ・DS5シックブルーHDi(2リッター直4・180馬力/400N・m・尿素SCR)
昨年日本のディーゼル市場に参入したプジョーシトロエン。普及仕様の1.6リッターとハイパワーの2リッターをラインアップする。プジョー308やシトロエンC4は、同クラスの日本車に価格が比較的近いのも嬉しい。
■イタリア
マセラティ
・ギブリディーゼル(3リッターV6・330馬力/500N・m・尿素SCR) ・レヴァンテディーゼル(3リッターV6・275馬力/600N・m・尿素SCR)
3リッターV6ディーゼルはフィアットグループのエンジン製造会社VMモトーリ社のもの。ディーゼルとしては官能的なエンジンが特徴で、積極的にアピールしている。
■イギリス
ランドローバー
・レンジローバー(3リッターV6・258馬力/600N・m・NOxの後処理方法は不明) ・レンジローバースポーツ(3リッターV6・258馬力/600N・m・NOxの後処理方法は不明) ・ディスカバリー(3リッターV6・258馬力/600N・m・NOxの後処理方法は不明)
ランドローバーも日本にディーゼルの導入を開始している。ガソリン代を気にしないユーザーが多いクルマとはいえ、環境負荷が抑えられることは歓迎したい。
ジャガー
・XE20d系(2リッター直4・180馬力/430N・m・尿素SCR) ・XF20d系(2リッター直4・180馬力/430N・m・尿素SCR) ・Fペイス20d系(2リッター直4・180馬力/430N・m・尿素SCR)
ジャガーも昨年から日本市場へのクリーンディーゼルの導入を開始している。
■スウェーデン
ボルボ
・V40 D4系(2リッター直4・190馬力/400N・m・NOx触媒) ・V40クロスカントリー D4系(2リッター直4・190馬力/400N・m・NOx触媒) ・S60 D4系(2リッター直4・190馬力/400N・m・NOx触媒) ・V60 D4系(2リッター直4・190馬力/400N・m・NOx触媒) ・V60クロスカントリーD4系(2リッター直4・190馬力/400N・m・NOx触媒) ・XC60 D4系(2リッター直4・190馬力/400N・m・NOx触媒)
ボルボは2年前にガソリンエンジンに対する差額が非常に少ない価格設定で日本のディーゼル市場に参入。車両保証も継続されるディーラーオプションの、ポールスターブランドのコンピューターチューンでパワーアップが可能な点も魅力となっている。もっともディーゼルとの相性がいいと思われるXC90のクリーンディーゼルの導入も期待される。
このように日本で買えるクリーンディーゼル車はかなり多く、このなかにはガソリン車との価格差が少ない車種も多いので、走行距離が多いなど自分の使い方にクリーンディーゼル車がマッチするユーザーは積極的に検討するといいだろう。
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