2018年6月21日、グローバル・メガサプライヤーのZF社が路線バスや配送用トラックを、できる限りシンプルに、そしてフレキシブルにゼロエミッション化を可能にする技術的なソリューションを発表した。
排ガス規制の強化、粒子状物質(PM)による汚染対策の対応を迫られているのは乗用車メーカーばかりではない。特に公共交通は、排ガス量を削減し、環境負荷を低減する義務を課せられている。そのためバスメーカーは、その対応のためのシステム統合と開発に大規模な投資を迫られている。
ZF トラック・バスの次世代車はどうなるか? 隊列走行にEV化、自動運転も?
都市型バスには既に量産実績のあるAVE130型電動アクスル、電気式セントラルドライブCeTrax(セトラックス)をラインアップしている。バスメーカーは、これを採用することで従来型の低床バス、高床プラットフォームのバスを電気駆動モデルとすることができ、電動化を経済的かつ容易に実現することができる。
長距離物流用トラックの電動化はもう夢物語ではない。大型商用車用トランスミッションTraXon(トラクスロン)のハイブリッド仕様は、これまでは採用されなかったブレーキング時などのエネルギーを回生して活用する事で、効率の最大化を図っている。
■電動低床アクスル「AVE130」
ZFの電動化ソリューションのデモンストレーションとして、ZFは全長18mにおよぶ連節バスに搭載した車両を製作した。この連節バスに搭載される2個のAVE130電動アクスルモジュールは、合計4個のモーターでパワフルな加速を実現している。
このモジュールは、インバーター、駆動制御装置、そしてパワーエレクトロニクスを含むシステムパッケージにまとめられ、最適なエネルギー効率によって十分な航続距離を持っている。これほど大型ではない標準的な連節バスは、1基のAVE 130電動アクスルモジュールで十分なパワーを得られるという。
AVE130に必要な取付けスペースは、アクスルで問題ない。そのため車両メーカーにとっては、電動用に独自のプラットフォームを開発する必要がないため、大幅なコスト低減が可能になる。またAVE130は、ほぼすべての通常電源、例えばバッテリー、スーパーキャパシター、燃料電池、または架線トロリーとの組合せが可能になっている。
そしてシリーズハイブリッドやプラグインハイブリッドにも適合する。これにより車両メーカーや運行会社は、エネルギー源の選択に自由が生まれるというメリットがある。電動式低床アクスルAVE130の総合パッケージは、標準化された量産コンポーネントを使用するため、メンテナンスが容易であり都市型バスに最適だ。
■CeTraxの「プラグ&ドライブ」技術
AVE130の他に、ZFは低床/高床バス用に新しい電動式セントラルドライブCeTrax(セトラックス)をラインアップする。「プラグ&ドライブ」コンセプトに、シャーシ、アクスル、またはデファレンシャルに大きな変更を加えなくても「CeTrax」を既存の車両プラットフォームに統合することができる。
「CeTrax」は既存モデルのプラットフォームをそのまま使用しながら、電動化を想定している車両メーカーに向けた製品だ。主に使用要件の厳しいバス用途に対して最高300kWの出力と4400Nmの最大トルクを発生する、高効率システムとしている。
システムパッケージには走行制御装置、インバーターが統合されており、車両メーカーには、出力、効率、寿命の点で最適な電動化総合ソリューションとなってる。またZFが駆動系の認証やテストも行なうため車両メーカーのコスト低減にもつながる。バス以外では、CeTraxは配送トラックの電動化にも適している。
■「TraXonハイブリッド」長距離物流のためのパラレルハイブリッド・システム
TraXon(トラクスロン)ハイブリッドは電動モーターをエンジンとトランスミッションの間に配置した電動モジュールで、大型商用車のハイブリッド化を可能にする。メリットの一つは、発電モードではこのハイブリッドモジュールが、他の装置(例えば低温輸送時の冷却機能など)の電力供給にも使用できることだ。TraXonハイブリッドは、トラック用途の他に、長距離バスでの使用も想定されている。
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