“走り系”と”和洋ミックス系”が2大トレンド
様々なクルマのカスタマイズ文化が発祥した関西だが、それらの中でも長年高い人気を誇っているのが旧車の「ホンダ・シビック」をいじるジャンル。なかでも注目なのは、関西の改造文化を広めた“走り系”と、アメリカなど海外のカスタム文化と融合した”ニュースタイル系”だ。「大阪オートメッセ2020」では、そんな関西ならではの「シビック」たちが大集結したので紹介しよう。
クルマ好きを熱狂させた"走り屋"の名称 「ルーレット族」「環状族」「ドリフト族」ってなに?
希少な国産FFスポーツを今流に、大切に
昭和から平成にかけてシビックやCR-X、インテグラをベースに、一大ブームを築き上げた関西ならではのチューニングカー。令和となった今でもレーシングカースタイルを継承したクルマは人気で、大阪オートメッセでは古いシビックを現代流にアレンジした車両の多くに来場者がクギづけとなっていた。 例えば、旧車ホンダの専門ショップ「大阪JDM」が製作した3台のシビック。いずれもベースは、1983年に発売された通称「ワンダーシビック」だ。今でもマニアの間では人気が高いモデルで、中古のベース車両は数が少ないこともあり、程度がいいものは当時の新車価格を超える高値で取り引きされているという。 今回展示されたクルマの中で特に注目だったのは、鮮烈な赤いボディの1台だ。エンジンは1997年に発売されたシビックタイプR(EK9型)に搭載されたVTEC(可変バルブ機構)付きの「B16B型」に換装。赤ヘッドが特徴的な1.6Lの4気筒エンジンは185psを発揮し、若者に大きな支持を得た名機である。ワンダーシビックの軽量ボディと相まって、熱い走りができるのは容易に想像できるだろう。 大阪JDMによれば、こういったカスタムを好むユーザーは、当時を知る「50歳代~60歳代が多く、その時の憧れを忘れられない」人が多いそうだ。また、B16Bエンジンも、かつて乗っていたシビックのパーツを大切に保存し、あえて古い「ワンダーシビック」に搭載したいという人も意外に多いという。
こうしたクルマを作るには、レアな車体にレアなエンジンの組み合わせとなるため、カスタマイズのコストもそれなりに必要。だが、それよりも「夢を実現したい」という生粋のカーマニアが多いのも関西ならではといえよう。
なお、このワンダーシビックはホイールを軽量・高剛性な「ボルクレーシングTE37」の14インチを履き、ハイグリップタイヤ「アドバンA050」の195/60-14をセット。足回りは車高調で強化し、後部シートは潔く撤去。ロールケージでボディ補強するなど、各部に“走り”を意識したメニューも施されていた。
「和洋ミックス」系シビック
シビックは、日本だけでなくアメリカや欧州など海外でも昔からファンが多いモデル。特に、アメリカではオリジナルパーツも数多く、独自のカスタムカルチャーを形成している。 そんな海外の文化を取り入れつつ、日本独自のスタイルを作るクルマも近年は人気。例えば、「HORNS&CO.」が製作したEG型(1991年発売)や「X-POINT」が製作したEK型(1995年発売)には、日本のパーツブランド「モードパルファム」がアメリカで展開しているエアロパーツを装備していた。 EG型のフェンダーやドアモール、マットガードやテールランプなどには、アメリカ輸出仕様の純正部品も装備。 一方の「EXCEED JAPAN」が製作したシビックタイプRは、「モードパルファム」とコラボレーションしたオリジナルエアロを装備。加えて、ホイールやエンジンのチューニングパーツにはアメリカのアフターパーツメーカーの部品を装備するなど、和洋折衷のオリジナルな1台を作り上げた。 EXCEED JAPANの下向代表によれば、こうしたミックス系のユーザーは、「昔を知る世代はもちろん、当時は知らないが、SNSなどの情報で古いシビックに憧れている20~30歳代まで、年齢層はかなり幅広い」という。いずれの世代も、昔のシビックのスタイルを活かしつつ、今風のテイストを入れることが好きな人が多いようだ。 今回の大阪オートメッセでは、他にも数々のカスタマイズ旧車シビックが勢揃い。チューニングだけが目に行くが、古き良き日本車を大切に維持し、末長く美しく状態をキープしているのも注目して欲しいポイント。
そんな彼らがそれぞれの思いで作り上げた旧ホンダのチューニングカーの数々。画像ギャラリーで紹介しているので、ぜひチェックしてみて欲しい。
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