東京国際カスタムカーグランプリのチューニングカー部門でみごと最優秀賞に輝いたフェニックスパワー作の86。高速周回路で86として日本で最初に300km/hのカベを突破したチューンド。開発の指揮をとったのは、最高速に命を懸けるチューナーこと横山耕司さんだ。
「308km/hでしたね。ちゃんとしたエンジンを作って、ちゃんと踏める足を作って、ちゃんと風圧に負けないエアロを作れば記録は出せます。でも、そのちゃんとがむずかしいんですよね」と淡々と話し出す。
つづけて「5速以降の全開領域はダイナパックでは測れません。300km/hあたりでどういうことがエンジン内で起こっているかを想像しながらセッティングを詰めていくわけです。そのあたりは過去の経験から得たノウハウがすべてだと思ってます」。
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じゃあ今回の記録に満足しているのだろうか?
「いやいや、本当は200マイルを狙っていたんです。でも今回は恥ずかしい話、メカニックのミスで燃料ポンプの配線トラブルが発生してしまって…。それが原因でトップエンド域でパワーが追従してこなくなってしまったんです」。苦笑いをうかべながらそう答える横山さん。
つまり、308km/hという記録は通過点にしかすぎないと言うわけか。ふつうに考えて2Lベースの86で200マイル超えなど夢のまた夢のような話だ。しかし、最高速にかけては無類の強さを誇るフェニックスパワー横山さんが「出せる」というなら信じないわけにはいかない。なお、配線トラブルはすぐに直して、ECUセッティングもさらに煮詰めたそうだ。
「次回のアタックを期待してほしいですね。かならず200マイルの記録を打ち立てますから」。そう話を締めくくると、横山さんはメインカットのポーズをとってくれた。
そう、200マイル超えに向けたフェニックスパワーの準備はすでに整っているというわけだ。
最高速に重要なエアロパーツは横山さんが絶大な信頼をよせるイングス製で統一。
エンジンは腰下にマーレーの86.05φピストンとH断面コンロッド、90mmストロークのクランクを組み合わせて排気量を2115ccまで排気量を拡大。ヘッドもHKSハイカム(IN260度/EX266度)を中心にくまなく手を入れている。そこにTD06-25Gタービンをセット。最高出力は555ps/最大トルク60.78kgmを発生させている。
ミッションは純正で、ファイナルは3.5だ。
サスペンションはアラゴスタ車高調のタイプSでバネレートは前後14kg/mmをチョイス。高速周回路は横Gにくわえて強烈な縦Gも車体を襲うため、バンプ側の減衰を締める方向でセッティングしている。
ホイールはレイズのG25(F19×8.5J R19×9.5J)。タイヤはヨコハマのアドバンネオバAD08(F235/35-19 R265/30-19)だ。この組み合わせがアタック時と変わらない。
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