チーム三菱ラリーアートが2連覇を目指して参戦しているAXCRアジアクロスカントリーラリー2023は、8月16日(水)にラリーの折り返しとなるレグ3が行われた。新型ミツビシ・トライトンを駆るディフェンディングチャンピオンのチャヤポン・ヨーター/ピーラポン・ソムバットウォン組は、前日に引き続き力走を見せ総合4番手でSS3を走破。
チームメイトの田口勝彦/保井隆宏組は、前日のレグ2から順位をひとつ上げて総合8番手に。競技初日に不運なかたちで冷却系トラブルに見舞われたリファット・サンガー/シューポン・シャイワン組は総合35番手につけている。
三菱ラリーアート、王者ヨータ―が4番手に浮上。レグ1の一部が無効となり上位は接近戦に/AXCRレグ2
■タイでの競技最終日、SS3はTGRインドネシア勢が1-2-3
タイとラオスの2カ国開催となっている2023年のAXCRは、タイ南部のスリンからウボンラチャタニに至るレグ3で前半戦が終了。翌日からは隣国のラオスに入り、レグ4~6が行われていく。
総走行距離491.94km、この内の179.63kmで争われたSS3では、ドライ路面の悪路で速さを見せるトヨタ・フォーチュナー勢が躍動し、TOYOTA GAZOO Racingインドネシアの塙郁夫組が連日のトップタイムをマーク。レグ1前半のタイムとペナルティが無効となったことで大きな恩恵を受けたチームメイトの青木拓磨組がステージ2番手、さらにトゥバグス・モレンシャディ組が続きトップ3をTGRインドネシア勢が占める格好となった。
総合でも青木の105号車フォーチュナーとモレンシャディの121号車がワン・ツー体制を築き、これをTOYOTA GAZOO Racingタイランドの102号車トヨタ・ハイラックス(ジャラス・ジェンカモルクルチャイ組)が7分42秒差で追いかけている。
■田口勝彦がポジションアップに成功
上位3台のトヨタ勢を追うチーム三菱ラリーアートは、当日の朝になってスタートリストが変更されたことで急きょ先頭走者となったヨーターが力走。この日36歳の誕生日を迎えた“前年覇者”はSS終盤にミスコースがありながらもSS10番手で踏みとどまり、総合4番手のポジションを守った。トップとのギャップは13分45秒だ。
前日に順位をひとつ下げ総合9番手でレグ3を迎えた田口は、SSの序盤からトラブルを抱えたライバルに前をふさがれてしまいペースを上げられず。また、複雑に枝分かれするジャングルにも悩まされた。それでも粘り強い走りでSS3を20番手タイムでフィニッシュ。総合順位では8番手となっている。
レグ1でのトラブルで出遅れたサンガーはこの日、3台の新型トライトンの中でもっとも順調にラリーを進めた。初日の段階で8時間という大きなペナルティを受けたため、2台をサポートする役割を担っての走行となったインドネシア人ドライバーは、リスクを避けた確実な走りでSS7番手タイムを記録している。総合順位は35番手だ。
■増岡総監督「総合優勝もまだまだ諦めていません」
「初日は本当に不運なアクシデントに見舞われてしまい、昨日はうまくリズムをつかむことができなかった。しかし今日はSS7番手と、とても楽しく走ることができたよ」とレグ3を振り返ったサンガー。
「優勝争いができないのは僕個人としては残念だけど、僕たちはチームとして戦い、勝つことを目指している。トライトンを労りながらリスクを避けて80パーセントくらいのペースで走行し、ほかの2台に何かがあった際にはサポートするという指示は正しいものだと思うし、それがいまの僕の役割なんだ」
チーム三菱ラリーアートの増岡浩総監督はラリーの後半戦に向け、まだまだ勝機はあると考えている。
「今日で大会の半分、前半の3日間が終わりました。クルマにもストレスがかかる、タフなコンディションのなかでの戦いです。チャヤポン(・ヨーター)選手は依然好調で、非常に安定していますね」と語った元ダカールラリー2連覇のレジェンド。
「田口(勝彦)選手のペースも上がってきていますが、ひどい埃の中を走ったり、ミスコースもあったり。でも徐々に慣れてきているので、ふたりには後半の3日間、全力でアタックしてもらいたいと思っています」
「リファット(・サンガー)選手は残念ながらトップ争いに絡むことはできないので、何かあった時にチームを助けるクイックサポートとして走ってもらいます。我々、チーム三菱ラリーアートは総力を挙げて頑張っていきます。総合優勝もまだまだ諦めていません」
アジアクロスカントリーラリーの4日目、17日(木)のレグ4は早朝にスタートして国境を超え、ラオス国内に設定された全長168.50kmのSS4で競技が行われる。このSS4はタイとラオスの国境沿いに南下するルートで、多くの集落を通過するステージとなっている。
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