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ストレート6を味わえる歓び──ランドローバー・レンジローバースポーツ試乗記

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ストレート6を味わえる歓び──ランドローバー・レンジローバースポーツ試乗記

レンジローバースポーツに新しく設定された直列6気筒ガソリン・エンジン搭載モデルに塩見智が試乗した。驚きの気持ち良さとは?

ベスト・オブ・ストレート6か

過激な“覇王”もきちっとメルセデス

レンジローバースポーツのパワーユニットは豊富だ。2種類のV8ガソリンターボ、ガソリンとディーゼルの直6ターボ、それに直4ターボのPHVがある。

このうちもっとも新しい3.0リッター直列6気筒ガソリンターボ・エンジンを搭載したモデルに乗った。最高出力400ps、最大トルク550Nm。48ボルトの電源システムを用いたマイルド・ハイブリッド・システムと組み合わせる。これまでの3.0リッターV型6気筒スーパーチャージドエンジンに代わるエンジンだ。

このエンジンには感動した。実用域ではこれまでのV型6気筒と変わらないのだが、回転を上げていくと音が変容する。4000rpmを超えると「クオーン」と耳に心地よい音を立てる。5000rpmを超えると音質が澄み切って完全バランスを実感できる。官能性の極み。振動もほとんど感じない。

トルクの厚さによってではなく、昔のスポーツカーのように回転馬力によってどんどん加速していく印象を受ける。そういう意味ではSUV向けとは思えないエンジンだ。早晩そうなるはずだが、一刻も早くジャガーFタイプにも搭載するべきだ。奪ったと言い切る自信はないが、ベスト・オブ・ストレート6の座をBMWから奪いかねないと思う。

BMWとの連携

V型6気筒から直列6気筒への回帰はメルセデス・ベンツがつくった新潮流だ。かつて6気筒の主流は直列6気筒だった。1次振動と2次振動と偶力のバランスが取れているため不快な振動が少なく、排気の取りまわしがしやすいのでパワーを出しやすいからだ。ただしエンジン長が長いのでレイアウトに制約があり、衝突安全上も不利という理由で、次々とV型6気筒エンジンに切り替わっていった。

それが今なぜふたたび直列6気筒が出てきたのか? マイルド・ハイブリッド・システムという巨大な“補機”をエンジンルームに収める必要が出てきて、それにはV型6気筒よりも直列6気筒のほうが有利らしい。直列6気筒エンジン自体が昔よりコンパクトにできるようになったことも関係している。

乗用車の次世代パワーユニットの本命はEVとPHVのコンビネーションだろうが、その前段階としてマイルド・ハイブリッド機構付きのエンジンで燃費を稼いで、この先10年ほどの急場をしのぐ例が増えていくのではないか。ランドローバーの直列6気筒エンジン採用もその一例のはず。

同社はV型6気筒全盛の時代にも頑なに直列6気筒を搭載し続けたBMWと、電動化技術や内燃機関を共同開発することで合意している。つまりジャガー・ランドローバーがBMWエンジンを積む日はそう遠くない。3代目レンジローバーは登場当初の一時期に限ってBMWエンジンを搭載していたが、それ以来となる。

レンジローバースポーツに搭載される直列6気筒エンジンのここまでのできの良さは、共同開発がもっと早くから始まっていたのではないかと勘ぐらせる。

飛ばすならスポーツ

現行レンジローバースポーツは2013年にデビューした7年目のプレイヤーだ。エンジン以外の面にも何度も大幅に手がくわえられ、たとえばインフォテインメントシステムや安全装備はデビュー当初とは完全に別モノのレベルに達していて、今も真新しいライバルに対する商品力を失っていない。

本来得意とする快適性については、40~50km/h前後で不整な路面を通過するとややバタつくことがあるものの、それを除けば一級品。車台を共有するレンジローバーが全域でよりソフトで、車体の姿勢変化を許容する動きなのに対し、レンジローバースポーツは車名の通り、ダンピングの利いたスポーティーな挙動に終始する。

個人的に好みなのは、船のようなレンジローバーの乗り味であるものの、高速道路をかっ飛ばしたり、ワインディングロードを急いだりする場合は、スポーツのほうを選びたい。

今後も段階的に厳しくなっていくCAFE(Corporate Average Fuel Efficiency:企業平均燃費)のため、燃費に不利なV型8気筒をいつまで販売し続けられるか不透明ということもあり、次の世代のレンジローバーシリーズではこの3.0リッター直列6気筒ガソリンターボモデルかPHEVモデルがトップグレードになるのではないか。

2021年ないしは2022年には次期レンジローバースポーツが登場するという噂であるが、そのときが楽しみでしかたない。

文・塩見智 写真・安井宏充(Weekend.)

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