現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > アルファ・ロメオ・ジュリア GTAmでアルプス越え スーパーカーを目指したサルーン 中編

ここから本文です

アルファ・ロメオ・ジュリア GTAmでアルプス越え スーパーカーを目指したサルーン 中編

掲載 更新
アルファ・ロメオ・ジュリア GTAmでアルプス越え スーパーカーを目指したサルーン 中編

濡れた路面とは相性が悪いGTAm

アルファ・ロメオ・ジュリア GTAmでイタリア北部、バロッコの自動車試験場を目指す今回のロードトリップ。ドイツ北西部のアイフェルでは、洪水の痛ましい被害を目の当たりにした。

【画像】はかなく素晴らしい アルファ・ロメオ・ジュリア GTAm 往年のスプリント GTAも 全84枚

道路が破壊され、スーパーマーケットの駐車場を迂回するような、仮設路が敷かれた場所もあった。このような環境は、さすがにGTAmも得意ではない。

タイヤがミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2ということもあり、濡れた舗装と相性が良くない。4000rpmを超えてシフトアップすると、トラクションが失われる瞬間がある。

操舵感は繊細だが、ステアリングホイールにはフロントタイヤのグリップ状態が伝わってこない。リアタイヤも、あまり落ち着きがない。8速オートマティックで低いギアを選んでいると、ハーフスロットルでも気を使う。

ジュリア GTAmの濡れた路面で薄まる安定性は、サスペンションに原因がある。フェラーリ458 スペチアーレのシャシーを仕上げ、ジュリアの開発をリードしたフィリップ・クリエフ氏の考えと、ジョルジオ・プラットフォームの特性でもある。

BMW M3 コンペティションなら、違っていただろうと想像する。4ドアサルーンだとしても、四季を通じて得意だとは限らない。もっと溝の多いタイヤを履いていても、大きな違いはなかっただろう。

フェラーリ由来の2.9L V6ツインターボ

ドイツを南下しバイエルン州に入ると、乾燥したアウトバーンがオーストリアの国境まで伸びていた。COVID-19の影響で、自由に飛ばせるほどガラガラ。フェラーリ由来の2.9L V6ツインターボ・エンジンの出番だ。

ジュリア・クアドリフォリオでは510psを発揮するが、GTAmでは540psを絞り出す。チタン製アクラポビッチ・エグゾーストと、ピストン冷却用に追加されたオイルジェット、専用コンロッドに感謝したくなる。

料金を払わずに、240km/h以上で飛ばせる。ツーリングカー選手権マシンのようなボディキットが、盛大に風切り音を放つ。

まれに追越車線へ遅いクルマが侵入してくるが、アルミ製シフトパドルを弾く絶好の機会。興奮を誘うように、レブリミット付近まで吹け上がるエンジンを楽しめる。

GTAmのエグゾーストノートにも、惚れ惚れする。ターボユニット的にこもり気味だが、ダウンサイジング・ユニットより遥かにシャープだ。

フルスロットルを与えれば、息の長い咆哮に包まれる。シフトアップのたびに、爆竹のような破裂音が混ざる。類まれな音響体験だと思う。

3時間ほど謳歌して、ステルヴィオ峠の入口へ到着した。山脈のマジックアワーという、狙った通りのシチュエーションで撮影できそうだ。やはり、道は閉ざされていたが。

アルファ・ロメオから電話が入る。スイスでの徴税を避ける手段があるらしい。少し待てば別のワインディングで、GTAmの本性を解き放てるかもしれない。

ザウバーが開発したボディキット

ジュリアGTAは、とても特別なクルマだ。ホットなアルファ・ロメオは、クルマ好きを惹き付ける不思議な引力を持っている。そして実際、想像を超えて素晴らしい。自社の110周年記念として、威信をかけて設計された傑作だ。

運転はすこぶる楽しい。かのレーシングドライバー、ヴァルター・ロール氏ですら関心を抱くほど。

加えて今回お借りしているモントリオール・グリーンの1台は、一層特別なGTAm。改良を意味する、モディフィカ(Modifica)の頭文字が付いている。

どちらもジュリア・クアドリフォリオより広いトレッドが与えられ、カーボンファイバー製のエアロキットで武装されている。フロントフェンダーも専用品になる。

フロントスプリッターやリアディフューザーに加え、高くそびえる調整式リアウイングも、GTAmだけの装備。40mm延長して、サーキット走行へ最適化させることもできる。

ボディは後端でタイトに絞られている。スーパーカー級に太い幅285のリアタイヤが、下半分で大胆にその姿をのぞかせている。なんと素晴らしい容姿のドライバーズカーなのだろう。

このボディキットは、ザウバー・モータースポーツが開発した。現在はアルファ・ロメオ・レーシングという名で活動しているコンストラクターだ。マクラーレンのF1マシン開発にも用いられた、風洞実験施設での結果を経てデザインされたという。

スーパーカーへ接近した4ドアサルーン

リアシートは、外から覗いても見えない。GTAmの場合、ロールケージと消火器が占拠しており、実際に乗り込んでもその姿はない。

実用面では大きな妥協といえ、防音材もかなりの量が省かれている。高速道路では、乗り心地はしなやかでも、車内はとても騒々しい。BMW M3が、メルセデス・ベンツSクラスのように静かに思えてしまう。

リアミラーに映る姿は、ポルシェ911 GT3 RSのように勇ましい。それでいて、4ドアセダンというボディが、一層特別感を高めている。フロントシートは、サベルト社製のカーボンシェル・バケット。初めからハーネスが付いている。

それ以外の内装は、基本的にジュリア・クアドリフォリオと同じ。居心地が良く快適だが、全体的に黒が基調。アルカンターラで仕立てられたダッシュボードと、シリアルナンバーが印されたステッカーが目立った違いだ。

アルファ・ロメオは実際に、スーパーカーを生み出したかったのだろう。だが、現実的に選べた唯一の手法が、既存モデルをベースに開発することだった。

ジュリア GTAmは、4ドアサルーンをベースにしながら、スーパーカーへ可能な限り近づけられている。魅力的ではない、はずがない。さらに興味深い点が、ミドシップのマセラティMC20へ通じる印象を得られることだ。

しばらく写真撮影をしていると、筆者へアルファ・ロメオから電話がかかってきた。スイスへ入れるという。理由は明らかではなかったが。

この続きは後編にて。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

「柏の杜オークション」会場で「パラモトライダー体験走行会」開催! 参加者だけでなくボランティア活動にも興味を持ってもらえた1日でした
「柏の杜オークション」会場で「パラモトライダー体験走行会」開催! 参加者だけでなくボランティア活動にも興味を持ってもらえた1日でした
Auto Messe Web
WRCラリージャパンで発生した“一般車両コース侵入事件”、FIAは「非常に深刻な問題」として調査へ。来季大会にも暗雲
WRCラリージャパンで発生した“一般車両コース侵入事件”、FIAは「非常に深刻な問題」として調査へ。来季大会にも暗雲
motorsport.com 日本版
サンパウロGP3位の勢いそのままに……ガスリーがラスベガス予選3番手「最後のアタックはアドレナリンが溢れたよ!」
サンパウロGP3位の勢いそのままに……ガスリーがラスベガス予選3番手「最後のアタックはアドレナリンが溢れたよ!」
motorsport.com 日本版
【旧車高騰の背景を見たり?】足を運んだファンは過去最大の1万2500人! 全米最大のJDMイベント
【旧車高騰の背景を見たり?】足を運んだファンは過去最大の1万2500人! 全米最大のJDMイベント
AUTOCAR JAPAN
アルピーヌ、東京オートサロン2025に『A110 Rチュリニ』など出展へ。山野哲也のトークショーも実施
アルピーヌ、東京オートサロン2025に『A110 Rチュリニ』など出展へ。山野哲也のトークショーも実施
AUTOSPORT web
12月1日は岡山国際でドラテク磨き! 初心者向け「カルガモクラス」もある「TOYO TIRES PROXES DRIVING PLEASURE」は要チェックです
12月1日は岡山国際でドラテク磨き! 初心者向け「カルガモクラス」もある「TOYO TIRES PROXES DRIVING PLEASURE」は要チェックです
Auto Messe Web
F1第22戦水曜会見:レースディレクター交代は「知らなかった」と驚くラッセル。一方で対話を続ける意思も明かす
F1第22戦水曜会見:レースディレクター交代は「知らなかった」と驚くラッセル。一方で対話を続ける意思も明かす
AUTOSPORT web
いすゞ新型「FRマシン」発表! 斬新「スポーティ顔」採用&四駆設定あり! “新開発エンジン”と8速AT搭載の「D-MAX」「MU-X」タイで発売!
いすゞ新型「FRマシン」発表! 斬新「スポーティ顔」採用&四駆設定あり! “新開発エンジン”と8速AT搭載の「D-MAX」「MU-X」タイで発売!
くるまのニュース
大人気の輸入車コンパクトSUVが進化! VW改良新型「Tクロス」はどう変わった? 乗って思った「これでいいんだよ」感とは
大人気の輸入車コンパクトSUVが進化! VW改良新型「Tクロス」はどう変わった? 乗って思った「これでいいんだよ」感とは
VAGUE
トラックの頭と積荷が載ったトレーラーの知られざる接続部! 最後のロックはあえて「手動」にしていた
トラックの頭と積荷が載ったトレーラーの知られざる接続部! 最後のロックはあえて「手動」にしていた
WEB CARTOP
いよいよラリージャパン最終日。勝田貴元の“全開プッシュ”は見られるか?「難しい1年を支えてくれたチームのために仕事をしたい」
いよいよラリージャパン最終日。勝田貴元の“全開プッシュ”は見られるか?「難しい1年を支えてくれたチームのために仕事をしたい」
motorsport.com 日本版
伝説のジャガーXJSが現代に蘇る、660馬力V12スーパーチャージャー搭載『スーパーキャット』誕生
伝説のジャガーXJSが現代に蘇る、660馬力V12スーパーチャージャー搭載『スーパーキャット』誕生
レスポンス
ヒョンデのタナクが総合首位をキープ。トヨタのエバンスとオジェが続く……勝田貴元5番手|WRCラリージャパンDAY3午後
ヒョンデのタナクが総合首位をキープ。トヨタのエバンスとオジェが続く……勝田貴元5番手|WRCラリージャパンDAY3午後
motorsport.com 日本版
岩佐歩夢の気になる去就。「F1に向いているハイブリッド思考」担当の小池エンジニアが話すローソンとの比較
岩佐歩夢の気になる去就。「F1に向いているハイブリッド思考」担当の小池エンジニアが話すローソンとの比較
AUTOSPORT web
F1ラスベガスGP FP2:好調メルセデスのハミルトンが最速。角田は初日10番手、アルピーヌやハースもトップ10入り
F1ラスベガスGP FP2:好調メルセデスのハミルトンが最速。角田は初日10番手、アルピーヌやハースもトップ10入り
AUTOSPORT web
レクサス「FRスポーツカー」がスゴイ! 5リッター「V8」&4.7m級の“美しすぎる”「流麗ボディ」採用! 豪華内装もイイ「LC」とは
レクサス「FRスポーツカー」がスゴイ! 5リッター「V8」&4.7m級の“美しすぎる”「流麗ボディ」採用! 豪華内装もイイ「LC」とは
くるまのニュース
フェルスタッペン、特化仕様のリヤウイングがなく「2戦を棒に振っている」予算の影響で2022年から”割り切り”
フェルスタッペン、特化仕様のリヤウイングがなく「2戦を棒に振っている」予算の影響で2022年から”割り切り”
motorsport.com 日本版
高性能Aクラスの集大成、メルセデスAMG『A45 S ファイナルエディション』が限定発売
高性能Aクラスの集大成、メルセデスAMG『A45 S ファイナルエディション』が限定発売
レスポンス

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

697.01445.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

143.01180.0万円

中古車を検索
ジュリアの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

697.01445.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

143.01180.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村