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次期クラウンがクロスオーバーSUVに!! 大丈夫か…?? 予想される苦難と心配

掲載 更新 65
次期クラウンがクロスオーバーSUVに!! 大丈夫か…?? 予想される苦難と心配

 トヨタ「クラウン」がこのほど、リフトアップしたクロスオーバー風になる、といった情報が舞い込んできた。これまで長きにわたって日本のセダンとして君臨してきたクラウンがクロスオーバーになる、というのは、すこし寂しい気もするが、非常に興味深いことでもある。

 世界的なSUV人気が「ブーム」ではなく「定着」しつつある現在だが、ステーションワゴンをリフトアップしたクロスオーバーも、昔から根強く人気がある。スバルのアウトバック、メルセデスのオールテレイン、VWのオールトラック、ボルボのクロスカントリー、などだ。

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 だが、「セダンタイプのリフトアップ」というのは聞いたことがなく、クラウンは、筆者が知る限りでは前例のないチャレンジに挑むことになる。はたして、セダンをリフトアップしたクロスオーバーは成功するのだろうか。

文:吉川賢一
写真:TOYOTA、SUBARU、Mercedes-Benz、VW、Audi、VOLVO

FFベースのAWDとクロスオーバーで再起をかける

 クラウンの現行モデルは、2018年6月より発売となった15代目だ。世代を追うごとに、顧客の平均年齢も上がり、いまでは60代にも届いているという。これまでにも、顧客の若返りを目的としてデザインを変えてみたり(時にはピンク色にもなったり)、ニュルブルクリンクへ行って走行性能に磨きをかけたりと、果敢なチャレンジをしているモデルでもある。

 歴代のクラウンは、おおよそ5年毎のフルモデルチェンジ(FMC)が行われており、周期が同じだとすれば、いまから1年後の2023年にはFMCとなる予定だ。その次期型クラウンは、FFベースのAWDを採用した4ドアクーペ風へと切り替わる予定だというが、「大径タイヤとリフトアップで新しいボディタイプ、全車ハイブリッドで4WD化、セダンからセダンプラスへ進化」といった情報もあり、どうやらクラウンは次期型で「クロスオーバー風のセダン」という新ジャンルにチャレンジするようだ。

 当初は、クーペ風セダンのボディ後端までルーフを伸ばしたステーションワゴンをリフトアップしたものが登場するものと考えていたが、あくまで「セダン(もしくは4ドアクーペ)」のようだ。この新たなジャンルのクルマは、果たして受け入れられるのだろうか。

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セダンのリフトアップは、スタイリング以外のメリットがない

 セダンのリフトアップにどんなメリットがあるのか、ステーションワゴンのリフトアップの特徴を整理しながら、考えていこう。

 「使い勝手の良さ」が最大のメリットのステーションワゴン。荷室の積載量が多くて(後席シートバックを押せば大きく長いものでも積載可能)バックドアがルーフの高さまで開くので出し入れがしやすく(荷室の入り口が低くフラットで乗せやすい)、クルマの重心が低くてドライバーのアイポイントも低いので、ロングドライブでも安心感に優れる。

 そのステーションワゴンをリフトアップしたクロスオーバー仕様は、ロードクリアランスが増して悪路走破性が上がる、というメリットが追加される。日本でそのメリットをどれだけ享受できるかはユーザーの環境次第だが、大量の荷物を乗せての長距離移動などでは、非常に優れた乗り物だ。

 例えば、2022年1月18日に日本デビューしたメルセデスベンツCクラスのオールテレインは、通常のステーションワゴンの良さをそのままに、車高を40mmほどリフトアップしており(最低地上高は150mmに)、大径タイヤと樹脂製フェンダー、といったオフロードテイストのパーツが加えられたことで、ずいぶんとワイルドな雰囲気になった。スタイリングのカッコよさは人それぞれの好みなので触れないが、オフロード感は十分に出ているように感じる。

 これを、セダンをベースにつくるとどうなるのか。まず、荷室エリアの使い勝手が悪化する。セダンの特徴でもある「隔離された荷室スペース」は、キャビンへの騒音侵入をシャットアウトしてくれるメリットがあるが、その分、積載量は圧倒的に少ない。昨今は、後席シートバックを倒せるトランクスルー機能を有したセダンも多いが、それでも、ステーションワゴンの荷室の使い勝手には敵わない。

 また、荷物の出し入れも不便。荷物を持ち上げて、上から入れ降ろすトランクスペースは、ステーションワゴンやSUV使いからすると不便だ。リアバンパーレインフォースの高さを下げればよいのだが、この部材が高い位置にあるおかげで、セダンは音振や乗り心地が非常に良いため、位置を下げることはしたくないはず(※ステーションワゴンはリアゲートの縁を強化して車体剛性を確保している)。

 そんなデメリットは、トヨタは百も承知だと思うし、リアハッチゲートは、従来のセダンとは違う改良がなされるとは思うが(アウディA7スポーツバックのように、リアガラスごとリアハッチが持ちあがるスタイルになる可能性もある)、ある程度使い勝手が悪くとも、セダンをリフトアップした新ジャンルのクラウンを出したいという意図だとすれば、そこにも心配事がある。それは、どういった顧客に向けて販売するのかが見えないことだ。

オールドセダンの姿のまま消滅した方がいいのでは!??

 前述したように、既存のクラウン購入者の平均年齢は60代だ。クラウンのオーナーの中には、40代の若い世代もいるようだが、大半の方は、「オールドスタイルのセダンこそがクラウンに相応しい」と考えている方が多くいる。

 新しいスタイルは、珍しモノ好きな方には響くかもしれないが、過去に実績のないクルマをあえて買う、というチャレンジはなかなかしないだろう。予算も、輸入車とほぼ同等の価格になれば、ますます難しくなる。

 今までクラウンが響いていなかった層を振り向かせるという戦略であれば一理あるが、それならばいっそのこと、「クラウン」のネーミングからは離れたほうがいいと筆者は考える。新ジャンルへのチャレンジは大いに応援したいところではあるが、いまわかっている情報からだと不安はつきず、いっそのこと、クラウンは、従来通りのオールドセダンの姿のまま消滅した方がいいのでは、とも考える。

 早ければ2022年夏前、遅くても年内には発表される見込みだという、次期型クラウン。日本の名車「クラウン」がこの先どうなっていくのか、刮目していきたい。

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みんなのコメント

65件
  • クラウンがここまで落ちるとは誰が想像できたでしょう。
    中国版のクラウンが売れてるからそっちに寄せるのか?
    落ちぶれたもんだな。^_^
  • もうカムリじゃん。
    マツダとFRプラットフォームを共有するって話は
    どうなったんだ?
    雑誌はテキトーだからなぁ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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