WRCのホモロゲーションモデルとして、2020年に登場したGRヤリス。グループBやグループAのマシンたちが奮闘していた時代は多くのホモロゲモデルが出ていたが、それ以降はなかなか出ていなかっただけに、非常に珍しい1台だ。そんなGRヤリスも販売から4年が経過して、後期型へ。同時に前期型の中古車が増えつつあるが、どのようなユーザーにオススメなのか!?
文:永田恵一/写真:ベストカーWeb編集部
[深く考察] 今GRヤリスの中古車が劇的に急増中!!!!! ランエボやWRXより超オススメな理由
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■前期型の中古車流通が増加傾向!?
GRヤリスはWRCの参戦見据えて登場したホモロゲーションモデル
WRCを頂点とした国際格式まで含め、ラリーを中心としたモータースポーツ参戦ベース車両という目的で2020年に登場したGRヤリス。2024年3月にはビッグマイチェンを受けて、進化型とトヨタが呼ぶ後期型となった。
後期型GRヤリスは、全日本ラリーやスーパー耐久といったモータースポーツで鍛えられた8速ATの採用をはじめ、その進化度の大きさもあり、現在注文可能すら定かでないほどの人気となっている。
その一方で初期モデル(以下前期型)の中古車は前期型から後期型へのGRヤリスの乗り換えや初回車検を迎える時期となっているのもあり、流通が増加傾向にある。
そんな背景もあり、ここでは前期型GRヤリスの中古車価格を紹介。前期型GRヤリスの中古車が「どんな人になら向くか?」を考えてみよう。
■前期型GRヤリスの中古車価格をおさらい
中古車市場で前期型の球数が増加傾向にある
まず、2024年11月末時点で中古車検索サイトを見ると、240台ほどが流通している前期型GRヤリスの中古車がある。
●1.6ℓターボ+4WD(6速MTのみ)
・RC(競技ベース車) 流通は5台から10台
280万円から(中心価格は340万円から350万円)
新車価格は当時330万円から、現在349万円から
・RZ(標準グレード) 流通は25台ほど
310万円から(中心価格は360万円から380万円)
新車価格は当時396万円から、現在448万円から
・RZハイパフォーマンス(上級グレード) 流通は110台ほど
330万円から(中心価格は390万円から430万円)
新車価格は当時456万円から、現在498万円から
●1.5ℓNA+FF(CVTのみ)
・RS 流通は65台ほど
220万円から(中心価格は250から260万円)
新車価格は当時265万円から、現在は絶版
まとめると、3年くらいは使ったクルマという前提に加え、前期型と後期型の新車価格を見ると一目瞭然、「GRヤリスって中古車でもそんなにするの?」と言わざるを得ない。
なお、競技ベースのRCの中古車価格が新車価格を考えると際立って高いのは、GRヤリスをラリーやダートラなどの競技に使いたい人が多い割に、当然ながら新車自体あまりないから中古車もさらに少ないため、相対的にさらに需要が多くなっているせいだろう。
つまり前期型GRヤリスの中古車は基本的には「中古車と新車の価格差がこのくらいしかないなら、仕様も選べて車検と保証もフルに付く新車の方が良くない?」と感じてしまう、人気車の中古車あるあるの、中古車のメリットや旨味が薄い典型である。
逆に考えれば、今前期型GRヤリスに乗っている人には嬉しいことだ。
■ランエボXやWRX STIより現実的な選択肢
すでに販売から長い月日が経過しているが、中古車価格が下がることないランサーエボリューションX
前期型GRヤリスの中古車は前述したことを総合すると「広くはオススメしにくい」というのが結論なのだが、それでも中古車を買うメリットのある人、選び方を考えてみた。
GRヤリスがすぐ欲しい人の場合、新車の納期はどんなに早くても半年。1年は掛かると思われるので、新車の納期と中古車価格を天秤に掛けて納得できるなら、アリとは言える。
また、GRヤリス1.6ℓターボ4WDはずいぶん前に絶版になった三菱ランサーエボリューションやスバルWRX STIの現代版。つまり令和のランエボ、WRX STIである。
そのためこの種のクルマは完全に趣味のモノだけに、いかがなものかとも思うが「車種にあまりこだわりなくこの種のクルマが欲しい」というケースを想定して、最終年式に近いランエボとWRX STIの中古車価格を見てみる.
ランエボX(2014年から2016年) の場合は300万円から800万円で、中心価格は450万円から500万円。WRX STI (2018年から2020年) は300万円から800万円で、中心価格は400万円から500万円。
そんなわけで、ランエボXとWRX STIは名声に加え絶版車ということもあり、年式など考えると中古車が驚くほど高く、前期型GRヤリスよりずっと高値安定となっている。
以上を踏まえると、4ドアセダンと3ドアハッチバックという違いはあるにせよ、思い入れが薄くこの種のクルマが欲しいなら、前期型GRヤリスの中古車はランエボXとWRX STIよりはリーズナブルとも言える。
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■前期型はすぐにカスタマイズしたい人にもオススメ!!
後期型GRヤリスは性能向上の大きさゆえ、アフターパーツが前期型との互換性のないものもある。一例としてはシートを変える際に必要なシートレール、車高調サスペンション (フロントのアッパーマウントの形状の違い) 、マフラーだ。
もちろん後期型用のアフターパーツもいずれ出るとは思うが、まだ時間が掛かるものもあるだろう。
そのため登場から4年が経った前期型なら、アフターパーツが十分流通しているのの加え、パーツによっては買ってもいい中古品という選択肢も。「GRヤリスを買って、すぐにカスタマイズしたい」という人は、前期型GRヤリスの中古車を買うメリットがある。
RSは後期型だとカタログ落ちしている。GRヤリスは1.6Lターボが基本なだけに、パワーが半分以下となるRSだと車体に強烈な余裕があり、「そういった余裕を楽しみたい」という人にはオススメだ。
前期型GRヤリスの中古車価格。今後も大幅に下がることはないにしても、後期型の中古車が流通し始めると下がる可能性もあり、GRヤリス前期型の中古車の増加により中古車まで含めたスポーツモデルの選択肢が増えたことは歓迎したい。
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