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日本参入する英国「超リアル鉄道ゲーム」開発責任者の“鉄道史観” ただ新作は「地下鉄レースゲーム」!?

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日本参入する英国「超リアル鉄道ゲーム」開発責任者の“鉄道史観” ただ新作は「地下鉄レースゲーム」!?

「超リアル」の鉄道ゲームは今後どうなる?

 鉄道運行シミュレーションゲームの世界大手Dovetail Gamesがこのほど、バーチャルであることを忘れて運転士になりきって列車を運行できる『Train Sim World6』を発売しました。単独インタビューに応じた開発責任者マット・ペドルスデン氏は、今後は「超リアルを追求する鉄道シミュレーションゲーム」と、「リアルとは全く別次元」で「あらゆる規制を取り払ったようなゲームらしいゲーム」の2本の柱で開発を進めていくことを明かしました。なぜそう考えたのでしょうか。

【超リアルだけど非現実】新作『Metro Rivals』のスクリーンショット(画像)

 Dovetail Gamesは、英国ケント州に本社がある2008年創業、従業員約200人の企業です。同社の今までの主力商品は、「超リアル」を追求したシミュレーションゲームでした。特に2017年に発売した『Train Sim World』シリーズは、そのリアルさがファンの心をつかみました。

 写実性を実現するために、「時にはアメリカ航空宇宙局(NASA)が提供している地形データも使ったり、ファンからの要望に応えて新機能を加えたり、調査のために開発スタッフを現地に行かせたりする」とペドルスデン氏は説明しました。

 2025年10月1日に発売された同シリーズ最新作『Train Sim World 6』の提供を受けた筆者(赤川薫:アーティスト・鉄道ジャーナリスト)は、試しに今までに乗ったことがある路線をいくつか選んで運転してみましたが、そのリアルさに思わず、自分が過去に撮った写真とゲームのスクリーンショットを見比べてみたほどでした。

 そして、この先、ますます鉄道ゲームが進化すれば、激混みの鉄道イベントで雨に濡れながら場所取りをしたり、長時間スタンバっていた撮影スポットに傍若無人な人がやってきてストレスを溜めたりする必要はなくなるのかもしれない、とさえ思ったのです。

「まだまだリアルさを極める計画はたくさんある」とペドルスデン氏は胸を張ります。

 ますますリアルに進化するとなると、気になるのが自動運転の存在です。列車の自動運転が普及すると「運転シミュレーション」の存在がなくなってしまうのではないかと思ってしまいます。

 しかし、開発責任者のペドルスデン氏は「(秒刻みで定刻であることが期待される)過密な区間では運転士がいても自動運転に切り替えることが増えている」と認めつつ、「自動運転がいくら普及しても、運転士が鉄道から完全にいなくなることはない」と断言しました。

「超リアル」が狙う別視点での活路

 また、「超リアル」を追求する鉄道シミュレーションゲームは、現実世界の鉄道の今後の発達とは無関係な別の視点での活路を見出せそうです。つまり、同氏が口にした「すでに失われたものの復元シミュレーション」です。

 それが凝縮されるのが、2026年春に同シリーズでアジア初の路線として追加される日本のJR只見線になりそうです。同社の協力企業Union Workshopから発売されるJR只見線のアドオンでは、2011年7月の新潟・福島豪雨により壊滅的な被害を受ける前の地形が再現され、そこを2020年に惜しまれながら定期運行を終了したキハ40系気動車が走るそうです。

 同氏は只見線のゲームを開発する際に、只見線の絶景だけでなく、「写真を見ただけでも欧米ではないと分かるような(日本特有の)空気感を大事にしたい」と述べました。そうした「超リアル」の追求の中に、もう見られない光景や、乗れない車両・路線を運転したり、旅したり、撮り鉄したりできるという「非現実」を加えていく――。ペドルスデン氏自身も個人的に「古い列車の方が好きだ」と語ったことからも、今後はそんな風にノスタルジーを追いかけられる、時空を超えた鉄道の旅を楽しめるシミュレーションゲームが増えるのかもしれないと思えました。

 開発責任者に直撃できる好機に、筆者は、日本の新幹線0系をゲームに追加する計画はないのか、同氏に問いかけてみました。

 すると、深く、深く考えながら、「同シリーズに日本の新幹線を加えるなら0系は絶対にやりたい」と、頭の中でいろいろと確認するように幾度となくうなずきながら言いました。

 そして、「世界中のどの国の鉄道にもそれぞれの問題点や課題があり、それを乗り越えようと開発努力を続けたことで、各国の鉄道が独自の進化を遂げた。(地形的に細長い日本では)長い距離をいかに短時間で人を輸送するかが常に課題だった。(0系は)それを見事に実現させた。鉄道にとって新たな夜明けを開いた」と称賛しました。

 路線をゲーム化するにあたって、鉄道史や各国の文化を鑑みながら深く熟慮する同氏の姿勢が垣間見られました。新幹線を同シリーズに追加するという確約は得られませんでしたが、一鉄道ファンとしてはゆるりと待ってみたいところです。

新機軸の「ゲームらしいゲーム」

 こうしたリアルさの追求から一転、同社は、2026年に今までにない新しい鉄道ゲーム、『Metro Rivals』を発売すると発表しました。

 同ゲームではロールプレイングの要素もありつつ、複数のゲーマーがオンラインで同時に地下鉄の列車を運転して、その速さを競う対戦プレイの機能もあると言います。現実世界では絶対にあり得ない、あってはならない「地下鉄のレース」へとファンを誘うわけです。

「もっとゲームっぽい要素やストーリー性を取り入れて欲しいというファンの要望に答えたかった」と説明する開発責任者のペドルスデン氏。インタビューを通じて見えてきたのは「仲間で遊ぶ楽しみ」を追求する心でした。

 ペドルスデン氏が鉄道ゲームに出会ったのは、2001年にイギリスのゲーム会社から発売された『マイクロソフト・トレイン・シミュレータ』だったそうです。「即座に鉄道ゲーム用のウェブサイトを立ち上げ、それが情報交換のためのコミュニティのような場になっていった」と回顧しました。「かつて同サイトで一緒に遊んでいた仲間の多くが、今日の鉄道ゲームの開発を牽引(けんいん)する存在になっている」そうです。

 同ゲームや、1997年に発売された日本の『電車でGO!』は、家庭用列車運行ゲームの黎明期を飾った代表的なゲームといえます。そして、この時代は、インターネットが爆発的に普及した時代でもありました。

「もしインターネットが存在しなかったら、あるいはインターネットがそれほど面白くなかったら、間違いなく鉄道シミュレーションは今日のようなものにはならなかった」と同氏は断言します。

 同氏が興奮しながら回想した当時の話からは、インターネットの普及でネットコミュニティが拡大していくのとともに、草の根レベルで鉄道ゲームが成長していった様子がありありと伝わってきました。そんな同氏だからこそ、インターネットがここまで進化した時代に合わせ、オンラインで仲間とワイワイと遊べる鉄道ゲームが欲しかったのかもしれません。

 今までの鉄道ゲームはどれも、基本的には一人で遊んで楽しむゲームでした。ところが、そのような一人用のゲームでも「ネット掲示板などでゲームの進捗状況を自慢しあったり、運転技術をYouTubeで披露したり、結局、プレイヤー同士でお互いに競い合っている」と同氏は指摘します。「それなら、友達とオンラインで対戦プレイすればいい」というわけです。

 調子に乗った筆者は、日本の誇りである新幹線0系(1964年デビュー・世界初200km/h超の営業運転)と、英国の誇りである世界最速の蒸気機関車マラード(1963年引退・最速記録203km/h)という、たった一年の差ですれ違うように交替した鉄道の新旧エースのレースはいかがですかと提案してみました。

「面白い」と大笑いしてくれた同氏でしたが、そんな夢のレースに興じられる日は来るのでしょうか。今後も同社の開発チームの動向から目が離せません。

文:乗りものニュース 赤川薫(アーティスト・鉄道ジャーナリスト)

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みんなのコメント

2件
  • zr7********
    変な流行られ方すると
    迷惑な人引き寄せるから厄介
  • *******
    グランツーリスモみたいに、独自のチューンナップ出来るのか? そもそも各社局が車両使用ライセンス出さないだろうな。

    “はっしょ” や、 “ちしょー” とかにはウケそうだが、ガチ鉄やクズ鉄からはウケ悪そう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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