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山本尚貴が鈴鹿テストを訪問。新たにスーパーフォーミュラで目指したいオンリーワンの役割【鈴鹿テスト2日目インサイド】

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山本尚貴が鈴鹿テストを訪問。新たにスーパーフォーミュラで目指したいオンリーワンの役割【鈴鹿テスト2日目インサイド】

 鈴鹿サーキットで開催中の公式テスト/ルーキーテストでは国内外から多くのドライバーが参加しているが、コースサイドでは今季限りでスーパーフォーミュラからの引退を決断した山本尚貴の姿が見られた。レーシングスーツやチームウエアではない山本の姿は、メディアには新鮮に映ったが、山本どのような目的で鈴鹿のテストを訪れていたのか。話を聞いた。

「今回、鈴鹿に来ることになったきっかけのひとつは、JRP(日本レースプロモーション/スーパーフォーミュラの運営団体)さんからお声がけを頂いたことです。選手権の盛り上げの部分で現役に近い選手の意見などを役立てたいということで声をかけて頂いたというのがひとつで、そして、僕もスーパーフォーミュラを15年乗せてもらって、スーパーフォーミュラのマシンを降りた今、スーパーフォーミュラから離れてしまうのも寂しいし、もったいないかなと思っていまして、何かこの業界、このカテゴリーに関して貢献できることがあればしていきたいなと思っている中で、自分に何ができるのかなと。それを探す意味でも今回の現場に来たというところがあります」

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「そしてもうひとつが、僕はホンダの契約ドライバーであり、今年の年内に関してはナカジマ・レーシングとの契約も残っているので、シリーズスポンサーさんが来られるシーズンエンド・パーティも開催されたので、そこで感謝の気持ちを伝えられる場でもありますので、チームの一員としても今回のテストには来ている部分もあります」と山本。

 3日間のテストの初日走行後に行われたアフターシーズンパーティには、同じく今季でスーパーフォーミュラの引退を発表した国本雄資とともに登壇した山本。そういった招かれた仕事だけではなく、山本自身にもドライバーという立場を離れて、視点を変えて今後のスーパーフォーミュラについて見て学びたいという考えがあった。

「もちろんスーパーフォーミュラを盛り上げたいという思いがあるものの、個人的に思っているのが選手に寄り添った立場でこの業界に貢献できたらなと。具体的に何か決まっているわけではないですが、選手とJRP、そして選手とメディアなど、選手と何かの間役、パイプ役として自分が何かひと役買うことができればなと思っています」

「ですので今回、選手と話す時間をなるべく持たせてもらって、選手からの意見を吸い上げてJRPにトスしたり、逆にJRP側からの希望とか意見を選手に伝えたり、そういう橋渡しが自分が担えたらなということを考えています。それで自分に何ができるのか勉強がてら来たというのが今回の来場の経緯ですね」

 山本は長年、スーパーフォーミュラの参戦ドライバーで構成されているFRDA(フォーミュラ・レーシング・ドライバー・アソシエーション)の会長を務め、JRP、そして国内統括団体の日本自動車連盟(JAF)、その他の関係団体との協調をはかりつつ、ドライバーの立場から国内最高峰フォーミュラシリーズおよびモータースポーツ全体の振興と安全に関して活動を行ってきた。その延長線で、今後はメーカー間を超えてた立場での活動を考えているようだ。

「現役中にFRDAの長をやらせてもらっていて、現在はトヨタとホンダ、TGR(TOYOTA GAZOO Racing)とHRC(Honda Racing)で分けられてはいますが、会長は僕がやらせてもらって、副会長は今は坪井(翔)選手がTGRの代表としてもやってもらっているので、そこでのメーカー間のやり取りに問題があったとは思っていません」

「ただ、現役の選手がやるべきことではないようなことも正直、あったので、選手のみなさんが良ければ、現役の選手の負担にならないように、選手が自分たちのパフォーマンスをしっかりと発揮できる環境を作りを、現役の選手じゃない人がやってくれればいいなと当時は思っていました。そこを個人的には自分がちょっとだけ、サポートできたらいいなと思っていますね」

 これまであまり表には出ていないが、山本はFRDA会長として、サーキットのクラッシュパッド、タイヤバリアの設備の確認といった安全性やクラッシュ時のドライバーのサポート体制、さらに悪天候やウエットコンディションで走行が可能か否かの判断など、ドライバーの立場でさまざまな提案や意見をサーキットや運営組織に提案していた。たしかに、現役ドライバーであれば目の前のクルマの改善やチームとのコミュニケーション、そしてタイムを出しにいくための集中したい時にそういった活動を求めるのには少々、酷なところがあった。

「やっぱり今回、JRPの方から力を貸してほしいとお声がけしてくれたのはドライバーとしても嬉しいですね。スーパーフォーミュラに関してはメーカーにあまり拘らずに選手と、それぞれのメーカーとJRPと、いい形になれるような潤滑油的な感じにもしなることができたら、いいなと個人的には思っています」

 その山本のこれまでの豊富な経験、そしてその高い自覚を、JRPの上野禎久社長も粋に感じている。

「当然、スーパーフォーミュラで長年の経験があって、3回チャンピオンを獲得している彼ですので、選手の立場で我々のスーパーフォーミュラを今後良くしていくために、いろいろな意見をもらいたいと思っています。具体的に何をしてもらうかは今はまだ決まったものはないですが、まずは今回のテストに来てもらって、いろいろな現場の声とか、彼なりに外からの立場で見たスーパーフォーミュラに対する感想を聞かせてもらいたくて今回、来てもらいました」

「これまでのドライバーとしての立場、そして長い間FRDAの会長も務めて、選手がどうあるべきかという考えも持っていますし、スーパーフォーミュラに限らず、このモータースポーツ業界を良くしていこう、活性化していこうという時にすごく大事な役割になると思っていますし、彼もそういった自覚がすごく強いので、しっかりとタッグを組んでいきたなと思っています」

 そしてさらに、上野社長ならではの願望も吐露した。

「あと、これは個人的な意見になりますが、チャンピオンを獲ったドライバーはやっぱり、その業界に貢献していくという責任や義務が伴うと思っています。それは山本尚貴だけでなく、国本雄資も然り。石浦宏明も開発テストで協力してくれましたし、やはり次の世代に向けて、さらにこの業界を良くしていくには、チャンピオンを獲得した人たちの義務だと思っています」

 ちなみに、一般的に引退したドライバーは中継の解説者や現場レポーター、さらにはレース運営や接触時の判断を下すレースダイレクターなどの職に付くことが多いが、「まだスーパーGTに参戦していますし、他のドライバーを評価したりすることは現役のうちはしたくないなと思っています」と今のところの興味はないようだ。

 その山本、走行初日と同日に発表された2025年のホンダ/HRCの四輪レース体制発表会では、スーパーGTで継続して牧野任祐とともに継STANLEY CIVIC TYPE R-GTで参戦することが発表された。2025年はコース内外で山本がどのような活躍を見せるのか、楽しみだ。


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