筆者がまだまだ生まれていない、1960年代の「昭和」の時代。
現代のように、スマホからストリーミングでミュージックをリスニングして、スマイルすることができなかった時代。ドライブ中の暇つぶしは、車専用のラジオであるカーラジオの音を聞く以外には、車載用のオーディオ機器、カーオーディオを車に取り付けて、音楽を楽しむしか方法がありませんでした。
まるで魔法!?指パッチンで歌声が消えるマジカルヘッドホン「ARENA」
しかし、ブルーレイドライブ内蔵HDDカーナビなんてこの世に存在しなかった時代です。そもそも、カーラジオやエアコンも、当時はオプションが多かったので、多くの車が、ラジオなし、エアコンなし! そんな自動車が、そこかしこを走り回っていた、優雅で和やかな時代でした。いやはや、当時、夏のドライブは暑かったんですよ……。
あの頃は! 懐かし~い! オーディオ機器のパイオニアが登場!
1960年代。当時のオーディオ機器の世界では、当然ながら、まだスマホもiPodも、カセットテープレコーダーも蓄音機もなかった時代(蓄音機はありました)でした。
さすがにオープンリール・テープレコーダーは存在をしていましたが、ちょっとコレを車載するのは、躊躇(ちゅうちょ)しますよネ。ま、当然ですね。
しか~し! カーラジオだけでは当たり前の話ですが、電波の届かない場所だと受信できません。
今でもドライブをしていますと、ちょっと田舎道を走りますと、ラジオの電波が全然入らないことが、まれに良くあります。その間、無音のままでのドライブは退屈してしまいますし、次第に眠くなり、しまいには居眠り運転をしそうになるのは否めません。これは由々しき問題です。
そんな、まだまだ車載オーディオが標準仕様になる未然で未満の時代である1965年に、発明家のウィリアム・パウエル・リア・ジュニア氏が音頭を取り、RCAビクター社以下、数社の共同事業体によって、なんとステレオ録音された音楽を、車でも、お手軽簡単に再生できるメディアが開発されました。
そのメディアこそが……「8トラック」なのです!
ドライブ中にエンジョイ可能な「8トラック」とは?
8トラックとは、102 × 136 × 22mmのカートリッジケースの中に、6.35mm 幅の磁気テープがエンドレスの状態でつながれている、磁気テープの再生機、およびメディアのことを指します。
カセットテープレコーダーが2軸であるのに比べ、8トラックの構造は1軸でとてもシンプル。しかしその結果、逆回転や早送り、巻き戻しも不可能な構造でした。まあ音楽をダラダラとリスニングする用途であれば、当時はさほど問題ではなかったのかもしれません。
筆者は以前、「テープがエンドレスで、8の字のようにつながれているから8トラックなのでは?」と思っていた時期もありましたが、よく調べてみると実際はそうではなかったのです。
カセットテープはステレオチャンネルである「トラック」(磁気テープにおいて信号が記録される帯状の部分)が2つあるのですが、8トラックの場合、ステレオトラックが4つもあるのです。ようするに、2X4=8トラックの信号が録音されている、というのがその語源だったのです。目からウロコ!
その構造により8トラックは、4曲収録された音楽を、再生ヘッドの移動により切り替えて再生できました。また、アルミ箔(はく)の部分を検出して、再生の内容や動作を変更する仕様があるデッキもあったようです。
カセットテープレコーダーではそういった凝ったこと仕様ではありませんでしたので、曲の切り替え機能においてはある意味、一時的に退化したとも言えそうです。
しかし、イマドキのデジタルプレーヤーなら一発で曲の再生が可能です。若い人にとって「曲の頭出し」など、「何? 美味しい料理か何か?」といった感じなのであります。
8トラックの構造は簡単です。カートリッジをデッキに挿入すると、カートリッジの右上のピンチローラーによりテープがヘッドに密着して、リールを右回りに回転させて音楽再生する仕組みでした。
その構造上、録音にはあまり適しておらず、専ら再生専用として歌謡曲入りのテープなどがお店で発売されました。
以前は高速道路のサービスエリアなどで、よく曲入りの8トラックのテープを見かけました。今でもレトロオーディオのお店で、まれに見かけることがあります。
ちなみに、楽曲再生のテープが多く発売された関係上、カラオケ用の再生テープとしても広く普及しました。古いカラオケ喫茶やカラオケバーなどでは、たまに8トラックのテープやデッキを見かけることがあるようです。
また、8トラックは、巻き戻しが不要(というかできない)で、リピート再生が簡単だったため、「路線バスの業務アナウンス」などに利用されました。結構それなりに使われていた時期があったのです。
やがて8トラックは消えていった……
……しかし、その後の時代は一気にカセットテープが台頭し、さらに、CDやMDが普及しては消えていき、しまいには、デジタル音声合成再生技術が普及しました。
8トラックのデッキは生産終了し、テープも業務用として細々と作られている程度のようです。いずれ全滅することでしょう。残念ですね!
ですが、歌手の牧村旬子さんが「胸キュン 思い出の8トラック」という曲を発表されていることがわかるように、昔を懐かしむ人たちの心の中には、いつまでも8トラックは記憶の爪痕を残しております……。
そういえば、「母さん、僕がたくさんエアチェック(テレビやラジオの放送を録画・録音して楽しむこと、およびその媒体)で録音したカセットテープ、どこへ行っちゃったんでせうね?」……なんだかなくしてばっかりデス。
あの頃これが欲しかった! カーオーディオのスタンダードだった「8トラック」。
昔、デッキもないのに、ウッカリ8トラックのカセットを買ってしまった、悲しい思い出が甦(よみがえ)ってきました!
※資料・画像引用 筆者自身の撮影によるもの、もしくはメーカー・販売店サイト、又はWikipediaなど。
※本記事は、執筆時点でネットに公開された資料や取材による情報に基づく商品やサービスの異訳調の紹介風なエッセイとなりますが、筆者及び編集部はその内容や継続性等を保障するものではございません。(特に海外メーカーの場合、公開された仕様と実際の仕様が異なる場合があります)
※本記事に登場する、登場人物のキャラクターや言動は炎上しそうな箇所はおおむねフィクションです。
文/FURU
デジタル系ガジェットに散財する、サラリーマン兼漫画描き兼ライター。電脳ネタがテーマの漫画を得意とする→https://www.furuyan.com
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