2023年に初代モデルをもって日本市場から姿を消したトヨタのコンパクトSUV「C-HR」。欧州では2代目モデルが登場していますが、さらに2025年3月には「C-HR+」という新たなモデルも発表されました。
名前こそC-HRですが、中身はBEV専用プラットフォームを採用した最新の電動SUVです。スタイリッシュなデザインと600km級の航続距離を備えた魅力的な内容ですが、現時点、日本導入の予定はありません。日本未導入がもったいなさすぎる欧州専売「C-HR+」についてご紹介します。
【画像ギャラリー】日本未導入はもったいなさすぎる!! 欧州でBEVとして登場したトヨタ「C-HR+」(15枚)
文:吉川賢一/写真:TOYOTA
C-HRの名前を受け継いだが、中身は完全な別物
トヨタ「C-HR」は、2016年に登場したコンパクトSUVです。デザインと走りに徹底的にこだわったモデルとして国内外で高い評価を受けましたが、日本国内では2023年に初代モデルをもって生産終了となりました。欧州では現在も2代目C-HRが販売されており、HEVやPHEVを設定するなど、トヨタの主力SUVのひとつとして進化を続けています。
ただ、今回の「C-HR+」は、名前こそC-HRを冠しているものの、従来のC-HRとはほぼ共通点のない新世代BEVです。プラットフォームには、トヨタのBEV専用アーキテクチャー「e-TNGA」を採用しており、基本骨格は「bZ4X」や「bZ4X Touring」と共通。
ボディサイズは全長4,520mm×全幅1,870mm×全高1,595mm、ホイールベース2,750mmと、bZ4X(全長4,690mm)やbZ4X Touring(全長4,830mm)よりもコンパクトなパッケージにまとめられています。
バッテリーは57.7kWhと77.0kWhの2種類を設定。航続距離は77.0kWh搭載の前輪駆動モデルで最大約600km(WLTPモード)を実現。さらに最大150kWのDC急速充電に対応するほか、充電前にバッテリー温度を最適化するプレコンディショニング機能も採用しています。
初代C-HRが大切にしていた「走る楽しさ」も
デザイン面では、最新トヨタ車に共通する「ハンマーヘッド」デザインを採用。ルーフからリアへ流れるクーペSUVらしいシルエットは、初代C-HRの個性を受け継ぎながらも、ハリアーのような上質感を感じさせます。
走りにも力が入っています。前輪駆動モデルは最高出力167hp(約169PS)または224hp(約227PS)を発生し、最上級のAWD仕様では343hp(約348PS)を発揮。0-100km/h加速は5.2秒と公表されており、BEVならではの力強い加速性能も魅力です。
海外メディアの試乗レポートでは、パワフルな動力性能だけでなく、自然なアクセルレスポンスや扱いやすいハンドリングも高く評価されています。速さを追求するだけでなく、日常域での運転のしやすさにも配慮されている点は、初代C-HRが大切にしていた「走る楽しさ」を感じさせます。
英国での価格は約660万円から それでも魅力的!!
国内トヨタのBEVは、現時点でbZ4XとbZ4X Touringの2モデルのみ。国内市場全体を見渡しても、C-HR+のようにデザインや走りの楽しさを前面に打ち出したBEVは多くありません。BEVであっても「カッコよさ」や運転する楽しさを求めるユーザーにとって、C-HR+は魅力的な選択肢になりそうです。
ただ、C-HRはもともと初代モデルから欧州市場を強く意識して開発されてきたモデルであり、2代目C-HRも今回のC-HR+もその流れを受け継いでいます。BEVに対する需要も、欧州とは違い、日本は(拡大傾向にはあるものの)依然として限定的。2025年度の新車販売に占めるBEV比率も約2%にとどまっており、主流になっているとはいえません。
価格もハードルです。C-HR+の英国での価格は3万2995ポンド(約660万円、英国政府のEV補助金1500ポンド含)から。上級グレードでは4万ポンド(約800万円)を超えています。仮に日本で販売されたとしてもかなりの高額車となるでしょう。
それでもC-HR+には、現在の日本市場に少ない「スタイリッシュなミドルサイズBEV」という魅力があります。航続距離や性能だけではなく、所有する満足感やデザイン性も重視するユーザーにとっては、有力な選択肢になり得る存在。とくに343psを発揮するAWDモデルは、国産BEVにはあまりないポーティなキャラクターも備えています。
かつてのC-HRは、実用性だけではなく、大胆なスタイリングや低重心な走りなど、それまでのトヨタSUVとは異なる個性が評価され、国内販売開始翌年の2017年には年間117,299台を販売。SUV新車販売台数1位を獲得しました。
C-HR+もまた、その個性を現代のBEVとして受け継いだモデルに映ります。日本導入のハードルは決して低くありませんが、日本でもこうした選択肢が増えることはBEV市場の活性化につながるはずです。欧州専売のままにしておくには、少々もったいないモデルではないでしょうか。
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