もくじ
どんなクルマ?
ー フォルクスワーゲンらしいアーバンSUV
どんな感じ?
ー 見かけ以上に広い車内と良質なインテリア
ー 輝く乗り心地やハンドリング
「買い」か?
ー 質実的で真面目なクロスオーバー
スペック
ー フォルクスワーゲンTクロス1.0TSI 115 SELのスペック
どんなクルマ?
フォルクスワーゲンらしいアーバンSUV
現在の自動車産業を見ていると、小型車を成功に導くには、ややボディが大きく背の高いモデルを生み出す必要があるようだ。つまり国際市場において、コンパクトカーから充分な収益を得るには、小ぶりなクロスオーバーをラインナップさせるのが手っ取り早いということ。
事実、欧州では車高を上げた5ドアモデル、SUVの市場は過去5年間で2倍にまで拡大している。たとえ世界最大級の自動車メーカーであっても、この魅力的な市場を無視する訳にはいかないはず。他メーカーが収益を上げてゆく中で、フォルクスワーゲンはいつものとおり、充分に自社のプロダクトの立ち位置や、どうあるべきかを熟考したようだ。
クラスでの中価格帯に焦点を当て、サイズやスペックもど直球。それがフォルクスワーゲンTクロスとなる。フォルクスワーゲン・ポロよりも全長は数センチ長く、全高は150mmほど高い。全幅は同クラスのSUVの中では最も狭い1756mmとなっている。フォルクスワーゲンによれば、オフローダーというよりもアーバンSUVとして、都市部での使用を前提としており、四輪駆動モデルはラインナップされていない。
2種類の出力設定を持つ1.0ℓの3気筒ガソリンターボ・エンジンに、6速MTか7速デュアルクラッチATが組み合わされ、フロントタイヤを駆動するモデルが、当面は英国での選択肢となる。今回われわれが試乗したのは、よりパワフルな115psを発生する1.0TSI 115 SELというグレードだった。
どんな感じ?
見かけ以上に広い車内と良質なインテリア
標準モデルと比較した時に、充分に広いスペースと実用性が付加されていない限り、コンパクト・クロスオーバーは評価できるクルマだとはいえないと、わたしは思う。実際、そんなクルマは少なくない。だがTクロスは、いい意味で期待を裏切ってくれた。
車内は同クラスのクルマよりも幅広く感じらるし、前席は脚まわりも肩まわりも充分に余裕がある。後席も一番後ろまでスライドさせれば、身長180cmの大人が座っても、充分快適な姿勢を取ることができる。ラゲッジスペースはそれなりで、ポロよりも10%ほど大きい385ℓの容量だが、それは後部座席が標準的な位置に合わされた状態。一番前方までスライドさせれば、455ℓにまで容量は増える。
Tクロスの車内は、フォルクスワーゲンのモデルから期待するよりも、いくぶん上質な雰囲気が漂っている。組立て精度は価格なりだとしても、硬質な成形部品は手に触れにくい場所が中心。全般的に堅牢そうでしっかりしており、不快な印象はない。
素材的な豪華さはないものの、フォルクスワーゲンの優れたテクノロジーを強調してくれるのが、「アクティブ・インフォ」デジタル・インスツルメントパネルと、インフォテインメント・システムの大きなモニター。Tクロスの車内を魅力的に演出している。
輝く乗り心地やハンドリング
それ以上に、このクルマの優れたドライビングの質感は、より明確に輝いている特徴だといえる。今回の試乗車は115psの1.0TSIだったが、このクラスのクルマでは類を見ないほど快適な乗り心地で、路面からの振動や騒音もしっかり遮断する仕上がりを得ている。またハンドリングも、ヴォルフスブルクならではの安定した、予見通りの不安感のない挙動を示してくれる。
もちろん熱中してしまうような、若々しくエネルギーに溢れた、わかりやすい設定がなされているわけではない。20代の若者がサーフショップへの足にするのではなく、どちらかといえば定年を迎えた夫婦が、ガーデニング用品を買いに出かけるのに向いている性格とでもいえようか。実際の利用シーンにはとても調和することだろう。
足回りの衝撃吸収性も良く、街なかでの走りも穏やか。コーナーや駐車場などでも扱いやすく、運動性能にも不足はない。クルマの反応も自然だから、とても直感的で運転しやすく感じる。フォルクスワーゲン製の1.0ℓの3気筒ガソリンターボ・エンジンも充分なトルクがあり、力強く感じられるだけでなく、回転域の柔軟性にも優れている。
ただし、ターボエンジンの性格としては、回りたがりというわけではなさそう。時々レスポンスが悪く感じられ、イザという時にややもたつく印象が垣間見られてしまう。それでも洗練性は充分に高いうえ、穏やかにクルージングしている時なら、17km/ℓ以上の期待を上回る優れた燃費も発揮してくれるだろう。
全般的に好印象だが、実際に中間グレードのクルマを英国の一般道で走らせるまでは、最終的な結論を述べるのは避けておきたいと思う。実際のオーナーにより近い目線で、クルマを評価することが大切だ。
「買い」か?
質実的で真面目なクロスオーバー
英国に限らず日本でも、Tクロスの成功のカギのひとつは価格設定。ポロをベースとしたクルマではあるが、価格を考えるとゴルフレベルの質感を得られていないことは残念に感じるところではある。しかし、ゴルフを諦めてこのTクロスを選んだとしても、恐らく後悔することはないだろう。仮にクラス・リーダーだとはいえなくても、少なくとも今回の試乗で、大きな欠点を見つけることはできなかった。
ベールモデルの面影を残したクロスオーバー・モデルのように、派手でもないし、スポーティでもない。でもその分、軽く見られない質実的なクルマではある。充分に煮詰められた、完成度の極めて高いプロダクトであることは間違いないだろう。
フォルクスワーゲンらしい真面目なクルマづくりのなされた、実直なクルマ。このセグメントのライバルに欠けていた部分を備えた、心が惹かれるモデルが登場したといえそうだ。
フォルクスワーゲンTクロス1.0TSI 115 SELのスペック
■価格 2万1650ポンド(307万円)
■全長×全幅×全高 4110×1756×1559mm(予想)
■最高速度 193km/h
0-100km/h加速 10.2秒
■燃費 -
■CO2排出量 -
■乾燥重量 1730kg
■パワートレイン 直列3気筒999ccターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 115ps/5000-5500rpm
■最大トルク 20.4kg-m/2000-3500rpm
■ギアボックス 6速マニュアル
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