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懐かしい「アルファ ロメオ3兄弟」とは? ツーリングカーレースの主人公だった黄金期を振り返ります

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懐かしい「アルファ ロメオ3兄弟」とは? ツーリングカーレースの主人公だった黄金期を振り返ります

1980年代後半からはツーリングカーレースに専念しての活動が始まった

以前、“日産の“ターボ3兄弟”を紹介したことがありました。長男に見立てたスカイライン・ターボを登場させ、続いて弟分の2台を紹介するつもりでしたが、モータースポーツシーズン開幕の忙しさを理由になかなか紹介することができず……。そちらについてはまた別の機会に置いておくとして、今回は2022年に訪れたアルファ ロメオの歴史博物館の収蔵庫で見かけた3兄弟を紹介しようと思います。

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アルファ ロメオとレースは切っても切り離せない関係がある

今回紹介するアルファ ロメオの3兄弟は、ツーリングカーレースで華々しい活躍をした3兄弟、ということになります。具体的には1988年の「75 Turbo Evoluzione IMSA」と1996年の「155 V6 TI」、そして 2003年の「156 GTA D2」です。

それぞれ個別に紹介する前に、アルファ ロメオがツーリングカーレースで活躍した“歴史”を振り返っておきましょう。アルファ ロメオの前身であるアルファが誕生したのは1910年のことでした。そして同年の末には最初の製品である24HPをリリースしているのですが、驚くべきことには翌1911年にはこの24HPでレース活動を始めているのです。アルファ ロメオとレースは切っても切り離せない関係があることの証左です。

その後はグランプリやミッレミリアなどの公道レースで活躍するのですが、その活躍は1冊の書籍にも簡単には収まらないほどのボリュームがあるので、ここでは割愛して、1986年にフィアット・グループの一員となって経営状況も安定してきたアルファ ロメオに、『ツーリングカーレースは任せる』とフィアットが発表して以降の活躍をメインにストーリーを進めていくことにします。

アルファ ロメオは1980年代に、F1GPからツーリングカーレース、さらには世界ラリー選手権(WRC)のツール・ド・コルスを筆頭とするターマック(舗装路)ラリーなど広範囲なモータースポーツ活動を展開していました。しかしアルファ ロメオは営業的に苦しかったことで、資金面でも苦戦を余儀なくされてしまうのです。

そんなアルファ ロメオですが、フィアット・グループの一員となり、フィアットの『ツーリングカーレースは任せる』という鶴の一声でモータースポーツ活動の資金面での心配はなくなり、ツーリングカーレースに専念できることになりました。

ジロ・ディ・イタリアに参戦するためにワークスで開発されたマシン

その初期のモデルが75であり、その集大成となった車輌が75 Turbo Evoluzione IMSAでした。ベースとなったアルファ ロメオ75は、2代目ジュリエッタの後継モデルとして1985年に登場したモデル。創業75周年に因んで命名されたとも伝えられています。

2代目ジュリエッタは1972年にデビューしたアルフェッタをベースにしていたことから、この75もコンサバな後輪駆動の4ドアセダンでしたが、トランスアクスルやリアのド・ディオン式サスペンションなど、当時としてもなお“先進的”なメカニズムで武装されていました。1986年には1.8L 直4ツインカムにターボを組み込んだ1.8ターボが追加されると、ターボ係数を乗じても3L以下となるようオリジナルの1779ccから1761ccに排気量を縮小したエボルツィオーネが登場。

グループAにホモロゲートされてイタリア・スーパーツーリスモ選手権に参戦し、1988年にはジャンフランコ・ブランカテリがチャンピオンに輝いています。ここで紹介する75 Turbo Evoluzione IMSAは、何も北米のIMSAシリーズに参戦した、という訳ではなくイタリア最大のロードレース、サーキットを転戦して戦うジロ・ディ・イタリアに参戦するためにワークスで開発されたマシン。IMSAエンデュランス・レギュレーションに則ってチューニングされたモデルも出場が可能で、アルファロメオは75 Turbo Evoluzione IMSA、つまり最強の75を生み出したのです。

DTM用に開発されたのが155 V6 TI

75 Turbo Evoluzione IMSAの次に紹介するのは155 V6 TIのITC仕様です。1992年に75の後継モデルとして登場した155ですが、フロントにエンジンを縦置き搭載した後輪駆動の75からは一転、フロントにエンジンを横置きした前輪駆動へと駆動パッケージが一新されていました。

また前輪駆動だけでなく全輪駆動(4輪駆動)もラインナップされていましたが、アルファ ロメオのワークスチームは、この4輪駆動モデルの155 Q4をベースにツーリングカーレース用の競技車両を製作したのです。まずはイタリアの国内選手権用に155GTAが製作され、1992年シーズンには20戦中17勝を挙げる圧倒的な速さ・強さを見せつけてランキング上位を独占します。

1993年から同選手権はクラス2規定、いわゆるニューツーリングカー規定で戦われることになり、アルファ ロメオは“最強のハコ車レース”として人気の高かったDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)へと戦いの場を移します。そしてDTM用に開発されたのが155 V6 TIでした。

4WDシステムはそのままに、エンジンを2L 直4ターボから新開発のNA2.5L 60度V6に変更。1993年シーズンのDTMでは全20戦中12勝を挙げ、デビューシーズンにいきなりメイクスタイトルに輝き、10勝を挙げたニコラ・ラリーニがドライバーチャンピオンでダブルタイトルを獲得しています。DTMから誕生した国際ツーリングカー選手権(ITC)が開催されるようになり、マシンもさらに過激なものへと変革していきました。

アルファ ロメオ歴史博物館の収蔵庫で見かけた155 V6 TIはITC仕様の最終モデル。前後サスペンションをダブルウィッシュボーンに変更、エンジンもシーズン途中から新設計の90度V6にコンバートされています。メイクス最多の10勝を挙げ、ドライバーとしてもアレッサンドロ・ナニーニが最多の7勝を挙げたものの、ともにタイトルには一歩手が届きませんでした。

ツーリングカーの王者だった156 GTA D2

最後に紹介するのは 156 GTA D2です。1997年に155の後継モデルとして登場した156は、ウェッジシェイプを採用して直線的だった155からはスタイリングを一新、ふくよかな曲面でまとめられていました。ツーリングカーレースに参戦したマシンは、車両規定が大きく変わりスーパーツーリングやスーパー2000など、DTMの時代とは様変わりしていました。

参加する競技シリーズもITCが終了し、DTMも様変わりしていたために、156 GTA D2の活躍の場はヨーロッパ・ツーリングカー選手権(ETCC)に移っていきますが、その速さは相変わらず。ファブリツィオ・ジョバナルイディが2000年(ヨーロッパ・スーパー・ツーリング・カップ)、2001年(FIAヨーロッパ・スーパー・ツーリング選手権)、そして2002年(FIAヨーロッパ・ツーリング・カー選手権=ETCC)とシリーズタイトルが変わって行く中3連覇を果たしています。

2002年には初めて設定されたメイクスタイトルをアルファ ロメオが獲得し、見事ダブルタイトルに輝くことになりました。参戦最終シーズンとなった2003年は、前年と同様にFIA ETCCタイトルが懸けられていて、BMWに移籍したジョバナルディに代わりアルファ ロメオのエースを務めたガブリエル・タルクィーニがドライバーズチャンピオンに輝き、有終の美を飾ることになりました。

アルファ ロメオ歴史博物館の収蔵庫で出逢ったのは2003年、つまり最終モデルとなった156 GTA D2です。収蔵庫では偉大なる先輩に挟まれて、控え目に振舞っていたようにも感じられましたが、いずれツーリングカーの王者だったことに違いはありません。

* * *

日産のターボ3兄弟のように、同時期に覇を競い合った3兄弟も凄いのですが、1980年代から1990年代、そして2000年代と時を重ねながらツーリングカーレースの主人公であり続けたアルファ ロメオのツーリングカー3兄弟も素晴らしい。そう思わずにはいられない3ショットでした。

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みんなのコメント

2件
  • DTMの終焉を招いたと言われる155V6TIですね。
    蛇と盾が赤地に白で映えていました。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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