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BJRが来季トヨタ陣営へのスイッチを表明。強豪T8のフィーニー連勝で選手権首位浮上へ/RSC第4戦

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BJRが来季トヨタ陣営へのスイッチを表明。強豪T8のフィーニー連勝で選手権首位浮上へ/RSC第4戦

 隣国ニュージーランドのタウポ・モータースポーツパークに続き、5月9~11日にも島部開催となるタスマニア州シモンズ・プレイン・レースウェイにて開催されたRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ第4戦『タスマニア・スーパー440』は、土曜に連勝を飾った名門トリプルエイト・レースエンジニアリング(T8)が運営するレッドブル・アンポル・レーシングのブロック・フィーニー(シボレー・カマロ)に対し、日曜最終ヒートで“伏兵”が逆襲。前戦タウポで2勝を飾ったマット・ペイン(グローブ・レーシング/フォード・マスタング)がわずか0.05秒差の“フォトフィニッシュ”でフィーニーを撃破している。


■カマロからスープラを作る

フォード・マスタングが躍動。ペインが2勝、モスタートも今季初勝利/RSC第3戦NZ

 シリーズの盟主に君臨するT8の来季フォード陣営スイッチに端を発し、第3戦タウポでの週末にはGMシボレー陣営が新たなホモロゲーションチームとして、チャーリー・シュワルコート率いるチーム・エイティーン(チーム18)を正式に指名。その流れを受け、今回のレースウイーク前にGMはシリーズ3冠、そして聖典『バサースト1000』で7勝を誇るレジェンド、クレイグ・ラウンズの「2026年ワイルドカード起用」を示唆した。

 そのラウンズ自身は、この3月にも長年チームの顔として活動してきたT8と袂を分かち、ともにフォードには移籍せず、今後もGMのアンバサダーとしての役割を継続すると発表していた。

「正直に言うと、私はこれまでのキャリアで両方の陣営に所属してきたが、真の盟友はGMだと思っている。1996年にGMでキャリアをスタートさせ、ともに成長し、心から愛することができたメーカーのひとつだからね」とラウンズ。

 これで来季2026年はチーム18を筆頭に、エレバス・モータースポーツ、マット・ストーン・レーシング(MSR)、そしてプレミアエア・レーシングがGMシボレー陣営として参戦する公算となるなか、現時点でその一角を占めていたブラッド・ジョーンズ・レーシング(BJR)が、新規参入予定のトヨタ・ガズー・レーシング・オーストラリア陣営に鞍替えすることを正式アナウンスした。

「これでパズルの最後のピースが完成する。BJRを我々の陣営内に迎え入れることができ、大変うれしく思う。これでグリッド上でのカバー範囲が広がり、新しい『A90型GRスープラ・スーパーカー』は6台体制となり、非常にエキサイティングな見通しだよ」と語ったのは、現地トヨタ・オーストラリアのマーケティング責任者を務めるショーン・ハンリー。

 その言葉どおり、今回の発表によりすでにトヨタのホモロゲーションチームに指名されているウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド(WAU)が2台のスープラを投入し、参戦初年度は合計6台の陣容が確定。うちBJRの数台はチームの既存車両シボレー・カマロZL1を改修した個体となる模様だ。

​​「4台もの新車を開発するのは、我々にとって負担が大きすぎると思う。毎年1台の新しいシャシーを製作しており、すでにその作業は始まっている」と明かしたのは、BJRのオーナーであるブラッド・ジョーンズ。

「まず1台か2台を製作し、その後数台のマシン……おそらく3台はリスキンすることになるだろう」と続けたジョーンズ。

 現在のBJRにはアンドレ・ハイムガートナー、ブライス・フルウッド、マコーレー・ジョーンズ、ジャクソン・エバンスの4名が在籍するが、来季ラインアップはまだ未定としている。


■追突をきっかけに“場外乱闘”が勃発

 そんなニュースが相次いだタスマニア・ラウンドに向け、シリーズ主催者は同等性評価の一環として、フォードとシボレーのエンジンマッピングを変更し、MoTeC社が供給するECUソフトウェアの書き換えと調整を実施。公称テスト温度より低い温度域ではフォードエンジンがわずかに有利となり、高い条件ではGMエンジンがわずかに有利となることが判明し、その微調整が施された。

 結果、フォード陣営の第7世代マスタング“Gen3”が躍動した前戦タウポから一転。金曜開幕FPから2セッション連続でフィーニーがトップタイムを刻むが、同FP2で3番手を記録していた僚友の王者ウィル・ブラウン(レッドブル・アンポル・レーシング/シボレー・カマロ)は思わぬ災難に見舞われることに。

 セッション終盤にピットエントリーを回った際、背後から来たニック・パーカット(マット・ストーン・レーシング/シボレー・カマロ)が追突。最初の接触後、ブラウンがブレーキを踏み込んだことでさらなる激突を引き起こし、抗議の意思を込めファストレーンを蛇行した1号車だったが、無線では「ヤツがカマを掘ってきた」と主張するブラウンに対し、パーカットは「チャンピオンにブレーキテストされた」と応じるなど平行線に。T8のクルーはFP2終了から2時間以上経っても、見た目以上のダメージを受けた車両修復作業に従事する状況に。

 直後、王者ブラウンは自身のファミリーが経営する中古車販売業も念頭に、自身のSNSに「中古車(チャンピオン獲得経験のある自身のシャシー)を安く買いたいなら、今度気軽に聞いてくれ」と投稿。パーカットもこの投稿に「君みたいな怪しい中古車販売員からはクルマは買わないよ」と笑顔の絵文字を添えてコメントした。

この投稿をInstagramで見る Will Brown(@willbrown38)がシェアした投稿

 そんな場外乱闘を経て迎えた予選では、最初のトップ10シュートアウトこそトーマス・ランドル(ティックフォード・レーシング/フォード・マスタング)に譲ったものの、フィーニーが今季早くも5度目のポールポジションを獲得してみせる。

「クルマは初日からとても速かったと感じている。最初にトラックインしたマシンだとトウをもらうのはかなり難しいから、予選で好成績を収めトップを走れたのは最高だ。ご存知のとおりここは今とても寒い(フォードに有利)ので、簡単そうに見えるだろうが、実際には非常に大変な作業だよ」とフィーニー。

 そのままオープニングヒートでポールシッターのランドルに追随したフィーニーは、序盤のターン5に差し掛かるところでマスタングのオーバーテイクに成功。約8秒差でフィニッシュラインを通過して最初の勝利を収めると、続くレース2の義務ピットでも4本のタイヤ交換でラップペースを維持し、逆襲の“2タイヤ(2本交換)”を選択したパーカットらを仕留めて見事な連勝劇を演じてみせた。

「また勝てて本当にうれしい、クルマはロケットシップのようだった」と、キャリア99戦で14勝目、続く節目の100戦目も連勝で自らを祝ったフィーニー。「レース1の最初の数周でスピードは充分にあると分かっていたから、あとはトーマス(・ランドル)を抜くタイミングを待つだけだった。彼は素晴らしい走りをしていたからね。レース2は多くのライバルが“2タイヤ”を選択するなか、4本交換で苦労した。こんなにたくさんのクルマが前に出てくるとは思っていなかったが、ニック(・パーカット)と素晴らしい勝負ができた」

「レース終盤に感情的になるとは思っていなかったけど、残り数周で『これは本当に特別なレースになるぞ』と感じた。チーム、家族、そして100戦出場を支えてくれたすべての人々に、感謝してもし切れない。改めて今日の2レースともに優勝できたことは、本当に特別なことだね」


■波乱のレースを制しランキング3位をキープ

 明けた日曜の最終予選では「昨夜はノートパソコンを家に持ち帰り、ブロック(・フィーニー)のラップをずっと研究して、どこで彼が僕よりも良い仕事をしているのかを探っていた」と語ったブラウンが復活を遂げ、自身8度目のポールポジションを獲得。「結局のところ、彼と同じマシンに乗っているんだから、立ち直って最高の仕事をする必要があった」と、最終レース3に向け完璧なお膳立てを整える。

 しかし最終レース3では、グリッド4番手からジェームズ・ゴールディン(プレミエア・レーシング/シボレー・カマロ)がターン1でトップに躍り出ると、序盤ターン4のヘアピン進入時にクラッシュが発生。チャズ・モスタート(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド/フォード・マスタング)を起因にジェームス・コートニー(ティックフォード・レーシング/フォード・マスタング)、ウィル・デイヴィソン(シェルVパワー・レーシング・チーム/フォード・マスタング)、ジャック・ルブローク(エレバス・モータースポーツ/シボレー・カマロ)らが巻き添えの犠牲となる(モスタートに15秒加算のペナルティ)。

 さらに29周目には2023年王者ブロディ・コステッキ(シェルVパワー・レーシング・チーム/フォード・マスタング)がブライス・フルウッド(ブラッド・ジョーンズ・レーシング/シボレー・カマロ)との接触後、ターン3でスピンしてウォールに激突。車両回収が必要となり、ここでセーフティカー(SC)が導入される。

 こうした混乱のなか、義務ピットストップのウインドウが開くとSCピリオド終了時に2回のピットストップを選択したペインが、他陣営とは異なる戦略で先行。終盤に猛追を見せたフィーニーがランドル、ブラウンをパスして残り2周で背後に迫ると、最終ラップの最終コーナー立ち上がりで両者はドラッグレースに突入。ここでかろうじて先行したマスタングが0.0550秒差でカマロZL1に勝利し、ペインが前戦に続く連続勝利をマークした。

「本当に素晴らしいレースだったよ。最後は本当に接戦になるだろうと思っていた」と満面の笑みで振り返ったペイン。

「タイヤは本当によくグリップしてくれたし、4回もグリーンを走れたのが助けになった。最後のバトルはヘアピンを抜けた瞬間に後ろで彼をカバーできたと思ったけど、それでも彼はいい戦いを見せた。ここで勝てて本当にうれしいし、苦労が報われたのは間違いない」

 これでランキング首位フィーニーが33ポイント差でブラウンをリードし、背後に75ポイント差でペインが続くスタンディングとなった2025年のRSCシーズン。続く第5戦『パース・スーパー440』は、6月6~8日にワネルー・レースウェイで開催される。

[オートスポーツweb 2025年05月14日]

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