■新旧カローラが併売される理由はボディサイズの拡大にあった
2019年9月にトヨタ「カローラ」がフルモデルチェンジしました。これまで「カローラアクシオ」という名称だったセダンはカローラに、ワゴンタイプの「カローラフィールダー」は「カローラツーリング」として販売されています。
トヨタ 新型「カローラ・アルティス」発表! カローラ初となるHV投入
新型カローラ/カローラツーリングはボディが3ナンバーサイズに拡大され、TNGAプラットフォームを生かした低重心なシルエットや車体のワイド感が表現されたスポーティなデザインが採用されました。
一般的には、新型モデルが登場すると、旧型モデルは生産を終えます。ところがカローラでは、フルモデルチェンジ後も旧型モデルが継続して販売されています。なぜ新型モデルと旧型モデルを併売するのでしょうか。
新型と併売されている旧型カローラは、セダンのカローラアクシオ、ワゴンのカローラフィールダーともに用意され、エンジンは1.5リッターのノーマルタイプとハイブリッドがあります。
グレード名は「EX」で、装備内容は以前の「X」に近く、ノーマルエンジン車のエアコンはマニュアル式で、オート機能は備わりません。
新型と旧型を併売する理由について、新型カローラの開発者は次のように説明します。
「カローラアクシオとカローラフィールダーは、法人のお客さまが多かったです。セダンのアクシオは、法人のお客さまが約50%を占めていました。主な用途として営業などに使われます。またワゴンのフィールダーでも、25%前後は法人のお客さまです。
法人の場合、社内的な規則で5ナンバー車しか購入できないこともあるため、旧型も併売しています。
また一般のお客様も、アクシオの購買層は平均年齢が70代、フィールダーでも50代から60代です。旧型は視界が抜群に良く、運転しやすいというメリットがあるので、高齢者にも優しいです。そこも考慮して併売しています」
※ ※ ※
新型カローラは、走行安定性、乗り心地、内装の質、前席の座り心地、安全装備、運転支援機能など、さまざまな性能が先代型に比べて向上しました。
新型を積極的に売り込めば良いだろうと思いますが、法人需要がセダンの50%で、なおかつ5ナンバー車でないと買えない事情まであれば、旧型も供給する必要があるようです。
■新型が登場した後の旧型カローラの売れ行きは?
日本自動車販売協会連合(自販連)が発表した2019年10月の登録車の販売ランキングにおいて、カローラは1万1190台を登録して、ランキングトップを獲得しました。
この1万1190台には旧型のアクシオとフィールダーの台数も含まれているのですが、旧型はどの程度の売れ行きなのでしょうか。販売店スタッフは次のようにいいます。
「新型カローラが発売された直後なので、アクシオとフィールダーを求めるお客さまは少ないです。それでも法人のお客さまの場合、価格を安く抑えた5ナンバー車を求めることが多いので旧型も必要です。
また高齢のお客さまでは、ディスプレイオーディオが必要ないという人もいます。自宅付近の移動がほとんどだから、ラジオが付いていれば十分、というお客さまも少なくありません。
アクシオとフィールダーは視界も良くて運転しやすいので、必要に応じて提案しますが、EXはハイブリッドでないとエアコンがマニュアルになってメッキパーツもほとんど付きません。安っぽいという指摘もあります。以前の『1.5G』に相当する上級グレードが欲しいです」
旧型のアクシオ&フィールダーにも相応の需要がありそうですが、EXは法人向けと割り切ってシンプルな仕様にしているため、ユーザー層を狭めているようです。
カローラは2019年10月に1万1190台を登録しましたが、2018年10月と比べると前年対比129.5%、30%上乗せされています。
トヨタが発表した月販目標台数は、セダンが1700台、ツーリングは5400台、2018年6月から設定されているスポーツは2300台で、合計9400台です。
この目標は平均値なので、発売から数年を経て売れ行きが下がったときのことまで考えると、発売当初は目標以上の台数を売る必要があります。
この実績をどのように評価するのか、トヨタの商品企画担当者に尋ねました。
「カローラの受注状況を見ると、当初予想したよりも、売れ行きは大人しいです。新型の販売比率は、ツーリングが70%、セダンが30%です。お客さまの内訳は、新型になってもセダンの半数近くは法人が占めています」とコメントしました。
これまでカローラは、「クラウン」などと同様に、既存のユーザーが乗り換えやすいフルモデルチェンジをおこなってきました。しかし新型カローラは、かなり印象の違うクルマになっています。
路線を変えた現行クラウンにも当てはまることですが、ユーザーが戸惑ったり躊躇している面はあるでしょう。
国内向けのカローラは、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)をカローラスポーツと同じ数値に抑えて小回り性能の悪化を抑え、先代「プリウス」と同じ全幅1745mmにするなど、3ナンバー車としながら相応に気を使って開発されています。
そして先に述べた通り、走行安定性から運転支援機能まで、商品力は大幅に進化しました。今後はこのアピールを入念におこなうと同時に、ディスプレイオーディオが非装着で、好みのディーラーオプションを選べる仕様を用意するなど、従来型のユーザーが乗り替えやすいように配慮することも大切です。
また販売店スタッフが述べた通り、カローラアクシオとフィールダーに、1.5Gに準じた上質なパッケージオプションを設定する必要があるかも知れません。
あるいはカローラEXを旧型の継続版ではなく、安全性の優れた「ヤリス」のセダンに置き換える工夫も求められるでしょう。
かつての「ヴィッツ」をベースにしたセダンの「プラッツ」や「ベルタ」は、5ナンバーサイズのカローラセダンがあったから目立ちませんでしたが、いまなら存在感を発揮できます。
※ ※ ※
トヨタの特徴は、常にユーザーに寄り添った商品開発と販売をおこなうことです。メーカーからの提案も重要ですが、トヨタはユーザーの希望を汲んだ展開を続けることで、小型/普通車市場において50%近いシェアを築きました。
カローラはそのようなトヨタ車の代表ですから、今後もユーザー目線の開発と販売を続けていくと思います。いまのカローラをそこに向けた出発点に位置付ければ、販売目標もクリアできるでしょう。
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