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ワイパーだけ気にしていても無意味!!  豪雨に勝つ運転に必要な知識とは?

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ワイパーだけ気にしていても無意味!!  豪雨に勝つ運転に必要な知識とは?

 今年もやってきた突然の豪雨シーズンが到来する。街が水に沈むとき、ドライバーは何をするべきなのか? 都市部の冠水、タイヤの限界、そして意外なトラックとの比較まで。水に強いクルマと運転テクニックの「本当の意味」を知れば、雨の日が怖くなくなる。

文:中谷明彦/写真:ベストカーWeb編集部

ワイパーだけ気にしていても無意味!!  豪雨に勝つ運転に必要な知識とは?

【画像ギャラリー】ドライバーが気をつけるべき豪雨のなかでの運転テクニック(6枚)

ワイパーに頼るのは控えるべし

ワイパーにも限界があるので頼りすぎるのはよくない(jittawit.21@Adobestock)

 今年の梅雨は例年になく早く明けた。しかし梅雨が終わったからといって、降雨が終わったわけではないことを忘れてはいけない。むしろ、これからはいわゆるゲリラ豪雨など大雨の本番である。

 突発的なゲリラ豪雨、台風の接近、局地的な線状降水帯が近年は全国各地を襲う。都市部に張り巡らされたアスファルトは、激しい雨水を十分に排水できず、瞬く間に水が溢れる。

 その時、クルマを走らせている我々はどう備え、どう対処すべきか。雨天時におけるドライビングのノウハウを、ここで再確認しておきたい。

 多くのドライバーは、雨の日の視界確保をワイパー性能にゆだねがちだ。しかし、それだけでは十分と言えない。ワイパーが払う視野は限定的であり、夜間やトンネル付近では光の反射やギラつきで視界が遮られることもある。

 ワイパー自体も強い紫外線の影響でゴムの劣化が早まっており、近年では3年も持たない。また低コスト化の影響を受け、フロントガラスの質も低下している車種があり、ワイパー作動で傷がついて夜間の雨天ではギラつきが酷いものもある。

 そこで重要なのは日頃のメンテナンスだ。撥水剤を塗布し、水を弾くこと。ガラス表面の埃や汚れをこま目に清掃し綺麗に保つことが重要だ。ワイパーゴムの劣化やブレードの定期的な交換、ウォッシャー液の補充など日頃から気をつけておきたい。

ピット作業中にフロントガラスを拭くメカニック

 ちなみに・マン24時間レースを走ったグループCなどのレースカーで降雨に遭った場合、高速でのワイパーの浮き上がりを防止するエアロブレード、ピットイン時にメカニックが脱脂剤で汚れを拭き上げるかフロントガラス(アクリルだが)の保護幕を剥がして綺麗な面を露出させる。

 高速走行時は撥水性に任せワイパーをあえて使用しない、フロントガラスの曇りによる視界低下を防ぐ電熱デフォッガーを備えるなど、とにかく視界の確保は重要課題だった。

 これがフォーミュラカーであればワイパーはなく、ヘルメットのシールドに何層もの捨てバイザーをつけてレース中に1枚ずつ剥がして視界を確保していた。現代のF1でもその原始的手法が引き継がれているのは驚きだ。そろそろ画期的な視界確保の素材が開発されてもいいと思うのだが。

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知らぬ間に低下しているタイヤの空気圧

雨が降るとタイヤのグリップが低下するが多くのドライバーはその問題に気づいていない

 雨天時の操作ミスは、すべて「急のつく運転操作」に集約されると言っても過言ではない。なぜなら、ウェット路面ではタイヤのグリップ限界が大幅に低下するからだ。路面が濡れているだけならミューの低下として単純に速度を落とせばグリップの回復点を見つけられるだろう。

 しかし大雨で路面に水が溢れた状況だと速度を落とすことすら難しくなる。速度を落とすのは通常ブレーキを操作することだが、ブレーキ力を路面に伝えるタイヤがグリップ力を発揮できていなければ、ブレーキを踏んだ瞬間にタイヤがロックしてしまい速度はなかなか低下しない。

 特に路面水量の多い状態だとハイドロプレーン(アクアプレイニングとも言う)状態になり、ブレーキ力も操舵力も伝わらない。ハイドロプレーン現象は、V(ハイドロが起きる速度)=63√P(タイヤ空気圧)で導かれる。

 例えばタイヤ空気圧が2.0kgf /平方センチメートルだとすると、V=63×1.14=71.82km/hとなる。つまり高速道路でも71km /h以下で走っていればハイドロは絶対に発生しないのだが、ミューは相応に低くなっているので、速度には注意が必要だ。

 レースではより低い空気圧を使うのでハイドロが発生しやすい。そのためにタイヤに特別なグルーブを施した大雨専用タイヤを装着し、水深の浅いラインを優先して走らなければならない。

 時にウエットではアウト・アウト・アウトといったラインが取られるが、これはコーナーのカントの上部は水捌けがよく、濡れているだけの路面状態であることが多いからだ。

 一般的にウェット路面のミューは0.4~0.6と言われ、乾燥路面と比べて濡れたアスファルトでは制動距離が約1.5倍から2倍に延びる。ハイドロが起こればミューは限りなく0に近くなってしまうので、一刻も早く速度を落とし、ミューを回復させなければならない。

グリップ力の高いタイヤを履いている=大丈夫は大きな過ち

近年では左右非対称のトレッドパターンを採用するケースが増えている

 勘違いされがちなのは、ハイグリップタイヤを履いているから大丈夫、とか大型トラックよりはグリップしている、といった考え方だ。ハイグリップタイヤの多くはトレッドパターンの溝が少なく、排水性が低い。

 ハイドロでトレッドが路面に付かなくなっていればハイグリップのコンパウンドも機能しない。また大型トラックはタイヤの空気圧が乗用車の10倍くらい高い。すなわち公道上で大型トラックが出せる速度でハイドロは起こり得ない。

 溝が完全になくてもハイドロ速度は変わらないので、大雨下でトラックを追い越そうとしてラインを変えた途端、ハイグリップのスポーツカーがハイドロを起こしてクラッシュしてしまう、という事故が多発する。(ベストモータリングビデオ「死なない運転テクニック」で詳報)

ウエットコンディションでレースを行うF1マシン

 レースではウエットレース中でも走行ラインは水量が低下してラインができる。だが追い越そうとしてラインを変えた瞬間にハイドロを起こしスピン、クラッシュしてしまう状況が多く発生する。こうした場面では遅い車に追いついてもオーバーテイクしないのが鉄則で、ストレスが溜まるのだ。

 大雨下でライバルより有利な状況を作るためにタイヤの空気圧を5kg /センチメートルに高めて走ったことがある。これでハイドロ速度V=140.8km/hとなり、中速コーナーでハイドロを恐れずライバルをオーバーテイクできたのである。

タイヤが進化しているからといって油断は禁物

 タイヤは年々進化している。とくにウェット性能の分野では、排水能力とグリップの両立と相反する要求に対して、構造と素材の両面から技術革新が続けられてきた。

 現代のプレミアムタイヤは、非対称パターンや多方向溝設計によって、走行中にあらゆる方向へ水流を排出できる構造を採っている。また接地圧の分散とナノ技術によるコンパウンドの吸水性により、偏摩耗を抑えつ安定した制動力を実現している。

 ウエット路面では、「いかに水膜を破るか」がカギとなる。ここで力を発揮するのがシリカ主体のコンパウンドである。シリカは水と親和性が高く、柔軟性に富み、低温下でも高い粘着性を維持できるため、雨天時における初期グリップが向上する。

 加えて、シランカップリング剤によって均一に分散されたシリカ粒子は、ドライ・ウェットの両性能を引き上げる鍵を握っている。こうした技術はタイヤメーカーにとって企業秘密とも言える部分。

 ミシュランが1990年代にレース用タイヤにシリカを使い始めた頃、スリックタイヤなのにウェットでのグリップ力の高さに驚かされた。

 だが、いかにタイヤが高性能であっても、摩耗していてはその性能を発揮できない。溝の深さが3.0mmを下回ると、排水性能は急激に落ち、ハイドロプレーニングのリスクが跳ね上がる。JATMAでは1.6mmをスリップサインとしているが、実用上の安全限界は4.0mmとされている。

 さらに、空気圧の管理も見落とせない。とくに長距離移動や積載重量も増す夏の行楽シーズンでは、過負荷によりタイヤへの負担が増すことを肝に銘じておきたい。

 タイヤは進化した。車両姿勢の電子制御システムも、制動補助も格段に進歩した。しかし、それらはあくまで「限界を引き上げる」技術ではない。「限界をなくす」魔法は存在しないのだ。

 制御不能になる前に、スピードを緩める。水膜の厚みを読み、水の少ない路面を選ぶ。こうした知識を養い、実践することが雨のドライビングにおける最も堅実なリスクマネジメントになるのである。


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文:ベストカーWeb ベストカーWeb
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みんなのコメント

2件
  • ねこにごはん
    →また低コスト化の影響を受け、フロントガラスの質も低下している車種があり、

    具体的にどこのメーカーのなんて車種か教えて欲しい。
    質が上がることはあっても下げることは無いと思うがな。
  • tondemo310
    1)直ちに徐行後、速やかに安全な場所で停止
    2)走り出さない(予報を見て)
    3)早めの避難(住居が周りに較べて低地の場合)
    まあ3に関しては「もう箱物は作らせない」で避難所が全く足りない、あっても劣悪だが。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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