■初めてのF1GPはアルファ ロメオ「158」が優勝した
FIA(国際自動車連盟)は2020年5月13日、フォーミュラ1世界選手権(F1)開催から50周年を祝うリリースを発表した。
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F1は1950年に初開催。第1戦となるイギリスGPが同年5月13日、シルバーストーンサーキットにて開催されている。
当時のレギュレーションは、エンジン排気量が「自然吸気4.5リッター、過給器付き1.5リッター」、車体重量の制限はなし、300kmを超えた最初のラップで終了、あるいは3時間を超えた最初のラップで終了となっていたという。
初めて開催されたこのレースで、スターティンググリッドの1番目から4番目までは、すべてアルファ ロメオ「ティーポ158」で占められていた。そしてポールポジション・ファステストラップ、さらに優勝を飾ったのは、ジョゼッペ(ニーノ)ファリーナがドライブする158だった。
1950年開催のF1は第2戦モナコGP、第3戦インディ500、第4戦スイスGP、第5戦ベルギーGP、第6戦フランスGP、第7戦イタリアGPが開催されたが、第3戦インディ500を除いたF1規定で開催されたレースにおいて、アルファ ロメオが全勝。そのうち3勝をあげたファリーナがF1初代チャンピオンに輝いた。
またドライバーズポイントにおいて2位のJ.M.ファンジオ、3位のL.ファジオリも、アルファ ロメオ158を操縦していた。
※ ※ ※
そんな「アルフェッタ」158とは、いったいどんなマシンだったのだろうか。
車名の158とは、排気量1500cc、直列8気筒エンジンから名付けられたもので、1938年にジョアッキーノ・コロンボによって設計された。シングルステージスーパーチャージャーとDOHCを備えた最新のマシンで、軽量合金を使用することでエンジン重量を165kgにまで軽量化していた。
ギアボックスはディファレンシャルと一緒にリアに取り付けられていた。これは現代に続くトランスアクスルと呼ばれる方法で、2つのアクスル間で最適な重量配分を実現していた。
158は戦前のレース界で活躍したが、第2次世界大戦が激化し1943年にはイタリア・ミラノが占領された。158はポルテッロの工場内に保管されていたが、戦利品として持ち去られる危険性があり、アルファ ロメオの技術者は158をトラックで運び出し、ガレージや農場の小屋に運び込まれた。そして擬装された壁や丸太の山に隠されて、次の時代を待っていたという。
終戦後まもなく、158はポルテッロに戻され修復。そして1947年から1948年にかけて、数々のレースで優勝を飾っている。
さらに1950年に初開催されたF1で、158は上記のような大活躍を見せる。
1938年の初登場時、158のエンジン出力は185psだったが、戦後はスーパーチャージャーを2基備え275psに、そして1950年には350ps/8600rpmにまで達した。極めて軽量なボディだったため、パワーウエイトレシオはわずか2kg/ps。これは今日のスーパースポーツカーと同様の数値といえる。
アルファ ロメオのドライバー、ファリーナ、ファンジオ、ファジオリの3人は「3Fs」と呼ばれ、無敵のトリオとなった。参加したすべてのF1GPで優勝し、12回の表彰台、5回のファステストラップを記録した。
アルファ ロメオのデザイナーであり、コロンボの協力者であったジョゼッペ・ブッソはのちに「我々の最大の問題は、3人のドライバーのうちどのレースで優勝させるかを決めることだった」と語っている。
1950年9月3日にモンツァでおこなわれたイタリアGPで、158の後継となる159を投入。ファリーナのドライブでデビューウィンを飾っている。
翌年1951年はアルファ ロメオとフェラーリの戦いになった。159は450psのパワーを発生。全8戦中スイスGP、ベルギーGP、フランスGP、スペインGPで勝利を収め11回の表彰台と7回のファステストラップを記録する。最終戦のスペインGPでファンジオが優勝、世界チャンピオンを獲得。同時にアルファ ロメオの2連覇が確定した。
この1951年をもってアルファ ロメオはF1から撤退。その後ロードカーやスポーツカーの生産に専念していくことになる。
その後、1979年に再び自社開発のマシンでF1に復帰、1985年で撤退した。さらに2018年に「アルファ ロメオ・ザウバーF1」として再復帰、現在は「アルファ ロメオ・レーシング」として活動している。ドライバーにキミ・ライコネンとアントニオ・ジョヴィナッツィ、リザーブドライバーにロバート・クビサを擁しているが、今シーズンは世界的な新型コロナウイルス禍のため、F1開催は延期されている。
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