軽自動車のキャンピングカーは「車中泊」ベストなのか
新型コロナウイルス禍が始まって以来、キャンピングカーの販売は宿の予約などに縛られない自由な旅ができるのに加え、プライベートな空間を持てることなどを理由に絶好調となっている。筆者は3年ほど前に雑誌「CARトップ」の企画で軽1BOXバンベースのキャンピングカーを約2カ月間お預かりしアウトドアなどに使った後、そのまとめとして東京から有料道路を使わず北海道をほぼ1周するという約2週間の旅をしたことがある。ここでは北海道ほぼ1周の旅の様子を振り返りながら、キャンピングカーの魅力を改めて考えてみた。
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苦楽を共にした相棒の「給電くん」
このときお預かりした軽キャンピングカーはオートワン(神奈川県藤沢市)が制作した、スズキ・エブリイのターボ+4WDをベースにサブバッテリーとソーラーパネルの装着により電気が使える点が大きな特徴となっている「給電くん」だ。現在の価格は消費税込みで180万円程度からとなっており、筆者がお預かりした「給電くん」はエンジンを掛けずに燃料タンクのガソリンを使って暖を取れるFFヒーターや電子レンジといったオプションを多数装着していたこともあり、250万円から300万円する仕様だった。
乗った印象はキャンピングカー化による重量増はあるが、ターボ車だったためパワー不足などはなく、乗り心地はむしろよくなった印象。全体的には普通の軽1BOXバンである。また「給電くん」はリヤシートがそのままのため(就寝は後席を倒してできたスペースにマットを敷く)、4人乗車+荷物という使い方も可能な点も非常に便利だった。
初日~7日目:下道で北上し青森、北海道へ
1日目 東京→茨城県日立市 約200km
この日は国道6号線に出て茨城県日立市まで移動。日立市にあるRVパークを利用しようと思っていたが、予約していなかったこともあり利用できず、スーパー銭湯で入浴し、道の駅で就寝という作戦に変更。夕飯は給電くんに電子レンジが付いていることもあり、電子レンジで温めるご飯とお惣菜という手軽な割に暖かいものが食べられ、ありがたかった。
2日目 茨城県日立市→宮城県石巻市 354km走行
国道6号線のバイパスに出ると流れに乗っているだけでかなりのペースで移動でき、燃費も稼ぎながら快適にドライブ。この日のゴールにした道の駅は入浴施設まである便利なところだった。
3日目 宮城県石巻市→岩手県宮古市 317km走行
この日は宮城県女川市で昼食に海鮮丼、宮城県南三陸町のさんさん商店街でデザートを食すなど、観光しながら移動。この区間は無料の実質高速道路となる三陸道があり、非常にスムースなドライブだった。
4日目 岩手県宮古市→青森県大間町 340km走行
この日は宮古市の読者の方とお会いしたため、昼過ぎに出発。時間の関係もあり青森県三沢市で入浴と夕飯を済ませ、本州最北端となる青森県大間町まで移動。
5日目 青森県大間町→北海道函館市→木古内町 90km走行
朝のフェリーで函館市に上陸。フェリーは90分とあっという間で、軽自動車は6m以下の乗用車に対し料金が25%安い点も有難かった。函館では朝市や函館山からの絶景を堪能した後、4日か5日に1回必要な洗濯のためコインランドリーを利用。乾燥まで全自動だと1000円ほど掛かるが、洗濯中に外に出るのも可能などと便利で、この旅の間数回使った。この日は移動計画の練り直しなどもあり、短い移動距離とした。
6日目 木古内町→岩内町 360km走行
6日目から本格的な北海道ほぼ1周を開始。函館から沿岸を時計回りに走り苫小牧を目指すという計画だ。この日は奥尻島も左側に見ながら夕方までひたすら沿岸部を移動し、食事はある意味北海道らしいコンビニのセイコーマートで3食済ませた(笑)。
7日目 岩内町→苫前町 358km走行
この日は積丹半島、余市町のニッカウヰスキー蒸留所見学。 小樽でちょっとした観光などをしながらの移動。目的地&宿泊地の道の駅の駐車場を見ると、キャンピングカーがほぼ毎日いたほか、福岡ナンバーの現行リーフがいたりと、車中泊ブームを実感した。
8日~12日目:車中泊の「戦友」もできた!?
8日目 苫前町→湧別町 445km走行
冷たい雨の朝となったこの日は冬物(持ってきて良かった!)に着替え出発。日本最北端の宗谷岬を経由するなどしながら、オホーツク海側へ突入。計画していた雄武町には早めに着いたものの、この日から2日ほどは5月ながら雪の心配もあり、後々フレキシブルに動けるよう目的地を70km先の湧別町に変更。明るいうちに到着し、前日に続きお風呂とお食事処もある素晴らしい道の駅で快適に床に就いた。
9日目 湧別町→知床半島→根室市 419km走行
絶景の知床半島に備え、給電くんをコイン洗車し出発。サロマ湖などを経由し、北海道ほぼ一周のハイライトでもある知床横断道路へ。走りやすいワインディングロードと絶景を堪能し、夕方予定した目的地の羅臼町へ到着。しかし雪の心配は変わらず、目的地を120km先の根室市に変更。北海道らしいペースで移動し、銭湯での入浴や洗濯を済ませ、日付けが変わる前に就寝。長い1日だった。
10日目 根室市→厚岸町 183km走行
雪が降りそうな曇り空ながら、幸いにも雪は回避。この日は移動しながら夕方近くまで原稿書き。給電くんはFFヒーターによる暖房、電源、車内の照明、簡易な机があるので、スマホのテザリングなどによる通信環境があればデスクワークにも対応するのに加え、テレビに代表される誘惑もないので、家より原稿書きは進むくらいだった。
11日目 厚岸町→浦幌町 143km走行
計画よりかなり先行できたため、のんびりと出発。釧路和商市場で勝手丼など海の幸でお腹を満たし、午後の早いうちに目的地の浦幌町へ。昼寝の後、スパルタンな銭湯で早めに入浴し、「たまには」と明るいうちから道の駅併設のお食事処で飲んで早々に就寝。
12日目 浦幌町→新ひだか町 218km走行
この日は襟裳岬などを経由し、前日同様早めに目的地の新ひだか町に到着。 このころになると「あのハイエースのキャンピングカー、何日か前もいた」など、同志も見つかるものである。スライドドアを開けながらノンビリしていると、鹿児島から犬を連れて車中泊の旅をしているというおじ様が声を掛けてくれ、夜は飲むことに(クルマ好き世代の方だけにCARトップもご存知だった)。人見知りで仕事以外あまり外に出ない私だが、旅らしさを味わいつつ、旅の楽しさも分かってきた。
13日~15日目:そして感動のゴールへ
13日目 新ひだか町→むかわ町 211km走行
寝床にした道の駅はなんと朝風呂もやっており、迷わず利用しフレッシュな状態で出発。この日は担当のCARトップ編集部Oさんがやってくる日で、待ち合わせまで翌日のロケハンも兼ねながらのんびりと移動。合流後むかわ町で昼食に名物のししゃもなどを食し、町内のキャンプ場へ。明るいうちから飲み、早寝。
14日目 むかわ町→新冠町周辺→恵庭市 345km走行
この日は新冠町にあるディマシオ博物館とレ・コード館という文化関連施設の見学と、読者の方にお会いするという1日。終了後は千歳空港で編集部Oさんと別れ、恵庭市の道の駅を目的地にした。
15日目 恵庭市→札幌市→苫小牧市 108km走行
いよいよ最終日。本州への帰りは「一人なら苫小牧から大洗へのフェリーも極力自走作戦も金額と時間は同等」ということもあり、気分を変えてフェリーを選択。フェリーは夕方発なので「札幌観光でも」ともくろみながらも、じつはこの2日ほど前からパソコンの不調に遭い、日中はその対処に追われどこにも行けずという筆者らしいオチに。それはともかく、大洗へのフェリーは船が新しくなっていたこともあり非常に快適かつ船員さんも親切と、レンタカーなどではなく自分のクルマで北海道を走れることも含め、北海道に行く際に時間に余裕があるならぜひ候補に入れたい選択肢だ。なお、このときの北海道ほぼ1周では本州から約4000kmを走り、軽キャンピングカーの燃費はほどほどのペースでの巡航がほとんどだったこともあり14km/L程度と良好だった(下記の表は2018年取材時点の価格)。
まとめ:「維持費が安い」「快適」軽キャンピングカーで人生が変わる!?
軽キャンピングカーを2カ月お借りしいろいろ使ってみたことで、安い旅費で移動できるだけでなく、車内で快適に仕事ができ休めるというキャンピングカーの素晴らしさを堪能した。さらに軽キャンピングカーなら日常ユースにも十分対応しながら維持費などの負担も軽く、自分のモノに出来たら生活が変わるのは間違いないだろう。
それだけにキャンピングカーが欲しいならレンタカーなどで試したあとにでも、リセールバリューが高いのもありなるべく早く購入することを勧める。ただ最近は冒頭に書いた新型コロナウイルス禍によるキャンピングカー人気もあり、新車は納期が長期化し、中古車も値上がり傾向となっている点だけが難点である。
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