「マーチ エルーラ」のコンセプトは時代を超えて輝く
カスタムカーの祭典「東京オートサロン2026」にて、どこか懐かしく、それでいて新鮮な存在感を放っていた展示車両が「MARCH Eloura(マーチ エルーラ)」だ。
「マーチ エルーラ」は、自動車整備やカスタマイズ等を学ぶ専門学校「日産京都自動車大学校」の学生(9期生)によって製作されたクルマ。ベースとなった車両は、同校の2期生が「K13型マーチ」をベースに「マーチニスモ」のエンジンを換装した「イタルマーチ」というカスタムカー。その基本構成を引き継ぎながら、「312型ブルーバード」のエッセンスを大胆に取り入れて製作された。
車名の「Eloura(エルーラ)」は、英語で“時代”を意味する「Era」と、イタリア語で“輝き”を意味する「Luce」を組み合わせた造語。製作を担当した学生はコンセプトについて、「過去から未来へ、時代を超えて輝く1台にしたいという思いを込めました」と語る。
旧車をそのまま再現するのではなく、“今の時代を走れるレトロカー”を目指した点が、このクルマのコンセプトの核となっているのだ。
ターゲットカスタマーは20~30代の女性で、街乗りで使えるセカンドカーを想定しているという。
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FRP加工で再構築したブルーバードの意匠
「マーチ エルーラ」最大の特徴はなんといっても「312型ブルーバード」の意匠を取り入れたフロントフェイスだ。
目を引くメッキパーツは、すべてブルーバード純正品を流用したもの。しかし、使用したパーツの状態は決して良好とは言えず、学生たちの手で下地処理から再塗装までが行われた。
「サビがかなりひどかったので、そのまま使うのは難しかったです。初めての挑戦でしたが、あえてメッキ塗装にチャレンジしてみました」
ボンネットやフェンダーは、ブルーバードの形状をFRPで型取りし、マーチの車幅に合わせて延長・再構築。フェンダーは、マーチ純正とブルーバードのフェンダーをつなぎ合わせることで、自然な一体感を生み出している。
なかでも苦労したのが、フェンダーの面出しだという。
「フェンダーは展示でも公道でも。人の目に一番入りやすい部分です。可愛らしさも残したいし、レトロ感も出したい。そのバランスが本当に難しかったですね。製作中はメンバーや先生に見てもらいながら、削る・足すといった調整を何度も重ねました」
また、ボンネットは前開き式を採用している。構造上の制約もあったが、結果的にクラシカルな印象を強める要素となった。
「最初は現代的な開き方も考えたんですが、ヒンジが埋まってうまく接続できず。方法を考えているうちに、レトロな前開きのほうがコンセプトに合うと気付いて、前開き式を採用しました」
街乗りを意識した一体感のあるデザイン
サイドビューでは、ブルーバードの特徴であるプレスラインをフロントフェンダーからリアフェンダーまで一直線につなげている。これはドアにFRPで成形した部品を付け、調整して実現したものだという。
リアには、ハッチバックである「マーチ」にはないトランクを採用。トランク内部はフレームを延長して、スペースを拡張し、ブルーバードのトランクを表現した。ちなみにリアランプ、バンパー、リアガラスなどはブルーバードから移植している。
トランクの開閉には磁石を使ったギミックを採用。リアバンパーに備わるバックランプの裏に仕込まれた電磁スイッチに、磁石を近づけるとロックが解除されるという珍しい方式となっていた。
全体としては、後付け感のあるエアロパーツを使わず、一体感のあるデザインにしたという。これは“街乗りスタイル”を重視して、親しみやすいクルマを目指した結果だ。
「後付けエアロだと、どうしてもスポーティすぎてしまいます。今回は街で自然に走れるデザインを意識しました」
女性ユーザーを想定したインテリア
インテリアは、ターゲットカスタマーである20~30代女性のイメージをさらに明確にして「スヌーピーが好きな女性が、旅行や街乗りを楽しむためのクルマ」という設定でデザインされた。
白を基調に、黒とブルーをアクセントとして取り入れ、可愛らしさとスポーティさを両立させている。シートはメーカー協賛のもと製作したオリジナルデザインで、白ベースに青いステッチラインを入れ、ヘッドレストにはロゴを刺繍した。
ボディカラーは、学生が考案したオリジナルツートーンカラーの「Sky Mirage(スカイミラージュ)」。ボディ全体をブルー、ルーフ部分はホワイトにすることで、青空の中を雲が優雅に泳ぐようなイメージを表現した。
また、“女性らしさ”をさらに取り入れるため、ホイールは学生の同級生や家族など、周りにいる女性に3つの候補から投票してもらい「WORK エクイップ03」を採用したのだとか。
ブルーバードの懐かしいデザインを採用するだけにとどまらず、今の時代をきちんと走れるクルマとして完成した「マーチ エルーラ」。学生たちの柔軟な発想と確かな技術が結実した1台は、会場を訪れた多くの来場者の印象に残っただろう。製作を担当した学生たちの今後の活躍にも期待したい。
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