2025年にスタートした顧客向けサービス
フェラーリ・ジャパンは、『フェラーリ・モバイル・サービス』(以下FMS)と呼ばれる顧客向けサービスを2025年からスタートさせている。
【画像】日本でサービスが始まった『フェラーリ・モバイル・サービス』の実例を北海道帯広市で取材 全50枚
モバイルと聞いて思い浮かべるのは、スマートフォンのアプリかもしれない。事実、フェラーリは『マイ・フェラーリ(MyFerrari)』と呼ばれるオーナー向けアプリを用意しており、本稿を書く際にアンドロイド版を調べたところ、既に世界で5万件以上のダウンロードがあった。
しかし今回取材したFMSはむしろ逆で、オンラインではなくリアルの話だ。簡単に書けば、フェラーリ正規ディーラーによる出張メンテナンスサービスとなる。
フェラーリ・ジャパンの担当者に聞いたところ、こちらは既にグローバルで展開されていたという。それが2025年に入ってからアジア・パシフィック地域でも力を入れることになり、日本国内でサービスを開始することになった。
ただ、国や地域によって状況やニーズが異なり、サービスの活用方法も様々な形が想定される。そのため日本でも全国一律のサービスにするのではなく、各ディーラーでカスタマイズを可能とする、実態に即した運用となっている。これは世界的にCI統一が前提のハイブランドでは、珍しいケースと言えるだろう。
今回はFMSをいち早く導入し、既にサービスを始めている北海道札幌市のフェラーリ正規ディーラー、『MID Sapporo』(以下、MID)が実際に出張して作業する様子を取材することができた。
サービスカーは同じイタリアの道具車
出張先となったのは北海道帯広市。目的地に到着すると、駐車スペースには8台のフェラーリがズラリと並んでいた。こちらは全て取材にご協力頂いたオーナーさんの所有車で、最新のモデルばかり。12チリンドリが早くも納車されているのに驚いた。
今回実際にサービスを担当したのは、MIDのサービスアドバイザー/サービスマネージャーの山中俊夫さんとテクニシャン(メカニック)の森下翼さん。また、取材ということもあり、ゼネラルマネージャーの佐野哲也さんも同行された。
サービスカーは同じイタリアの『道具車』であるフィアット・ドブロで、ボディカラーはフェラーリではお馴染み『ロッソコルサ』に変貌。まさにフェラーリのサービスらしい雰囲気となっている。ちなみに希望ナンバーは119だ。
ドブロに搭載するのはフェラーリ専用のテスター(DEIS)、エアーコンプレッサー、家庭用蓄電池、エアージャッキ、工具一式などで、簡単な整備ならその場でひと通りできてしまう装備。この日は機器の出番がなかったが、オイル交換も可能とのことだ。
今回の作業目的はローマ・スパイダー、296GTB、296GTSの点検。まずはローマ・スパイダーから作業開始となった。
森下さんはテスターを担当。今どきは、車両に繋ぐユニットとPCはブルートゥース接続するそうで、少し驚いた。ちなみにテスターの記録は、本国のデータベースとリンクさせることが可能となっている。
ふたりの動きは阿吽の呼吸
森下さんがテスターを確認している間に、山中さんは次の作業の準備を行いつつ、タイヤの空気圧をチェック。さらに増し締めを行っていくのだが、ふたりの動きはまさに阿吽の呼吸で感心した。しかし顧客の軒先で行うサービスとして、こういった手際のよさは求められる部分とも言えそうだ。
テスターでのチェックが終わった森下さんは、続いてエアコンのフィルターを交換。さらにエンジンオイルとバッテリーをチェックし、1台目が終了。その後、296GTS、296GTBと順番に作業が続いた。
作業後に山中さんにお話を伺ったところ、こうしたサービスは以前からやりたいと思っていたので、FMSの話が出てから真っ先に手を上げ、社内で話をしたという。それはもちろん、北海道という地域性が大きく影響している。
例えば今回も札幌から帯広への移動は約3時間を要し、整備のためだけにフェラーリを移動させるのは、自走ではリスクがあり、積載車は費用と手間がかかる。特に積雪の時期は自走も難しく、リスクはさらに高まる。しかし今回のように3台同時に作業できるとなると、往復約6時間かけても移動する価値は大いにあるだろう。
山中さんはFMSがスタートしたことで、本格的にスタートした昨年9月以降、積極的に出動しており、まずは複数台を所有する顧客を対象に、北海道全域をカバーしたいそう。
今回並んでいた8台以外にもフェラーリを複数台所有するというオーナーさんは、MIDが主催するイベントはもちろんのこと、フェラーリ本社が主催するイタリア本国などのイベントに参加するほどのフェラリスタ。
走るのがお好きとのことで、こういったサービスで愛車のコンディションをチェックできることは、かなりのメリットとなるであろう。
もちろん都市部ではサービスセンターに持ち込んだほうが早い、あるいは顧客の自宅に作業スペースがないケースも考えられ、日本全国どこでも即導入すべきサービスではないかもしれない。しかし今回取材したケースは顧客、ディーラー双方にメリットがあり、今後は地方を中心に活用が広がりそうだと感じた。
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