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極上のSUVとは? ロールス ロイス カリナン試乗記

「『カリナン』を“仮ナン(バー)”ででもいち早く借りなむ」と、思っていたら、ま、より正確にはそういうダジャレを考えていただけですけれど、カリナンのブラック バッジが2019年11月に上陸してしまった。

なので、筆者にとってカリナン ブラック バッジがカリナン初体験になる。

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ギャラリー:極上のSUVとは? ロールス ロイス カリナン試乗記搭載するエンジンは6749ccV型12気筒DOHCターボ(600ps/5250rpm、900Nm/1700~4000rpm)。トランスミッションは8AT。マニュアルシフト機構などは備わらない。ステアリング ホイールはオーディオ&運転支援系スウィッチ付き。センターコンソールに集約された車高調整やヒルディセントコントロールのスウィッチ類。マスコット「スピリット・オブ・エクスタシー」は、電動格納式。電動式ヒッチメンバーも装備。CTEK製のバッテリー チャージャーは、ロールス ロイス専用デザイン。物理的なスウィッチが目立つインパネ。エアコンスウィッチは、ほかのモデルとおなじくダイアル式。試乗車のシートカラーはパープルだったが、ほかのカラーも選べる。紫はイギリスでは高貴な色だ。前後のドアは、電動で閉まる。リアシートは電動リクライニング機構付き。スライドはしない。3人がけのベンチタイプ以外に、2人がけのセパレートタイプも選べる。リアドア内に格納されたアンブレラ。リアシート用エアコンスウィッチと吹き出し口はセンターコンソール後端にある。フロントシートのバックレスト裏は、リアシート用インフォテインメントモニターとテーブル付き。リアシートのバックレストは40:60の分割可倒式。リアシートの格納機構はロールス初という。ラゲッジルーム容量は通常時560リッター。試乗車はオプションの「ビューイング スウィート」付き。ワンタッチで、ピクニック用シート&テーブルが、ラゲッジフロアから出てくる。で、とにかくその乗り心地の新次元に驚嘆した。こんな乗り心地の自動車は地球上に存在しなかった。少なくとも私は初体験だと申し上げたい。記憶のなかの「ファントム エクステンデッド ホイールベース(EWB)」よりも、静かで快適だと思う。

【主要諸元(カリナン ブラック バッジ)】全長×全幅×全高:5349mm×2000mm×1835mm、ホイールベース3295mm、車両重量2750kg、乗車定員5名、エンジン6749ccV型12気筒DOHCターボ(600ps/5250rpm、900Nm/1700~4000rpm)、トランスミッション8AT、駆動方式4WD、タイヤサイズ(フロント)255/45R22(リア)285/40R22、価格4530万円(OP含まず)。ファントムEWBの乗り心地がギリシャ神殿の大理石のフロアの上に敷いたカーペットの上を歩いているようなものだとすれば、カリナン ブラック バッジ(BB)はもうちょっと絨毯がぶ厚くて、フロアが石ではなくて柔らかめのウッドのプライベート空間。静かなリゾートにある、超高級ホテルの部屋ごと移動している感じ。

前255/45、後ろ285/40の、ともに22インチという巨大なタイヤを履いているなんて、自分の目で見ても信じがたい。

タイヤはコンチネンタル社製。アルミホイールのセンター部分にあるロールスロイスのロゴは、特殊な構造によって、走行中もつねに直立している。V12の凄みカリナンは、機構的にはファントムをSUV化したクルマだ。R-Rは2017年に発表した新型ファントム以来、独自のアルミ スペースフレームをすべてのR-Rファミリーに使うと宣言しており、2020年半ばの登場を予告している新型ゴーストもまた、このスペースフレーム ベースでつくられることになる。

で、カリナンはSUV化に当たって、ホイールベースをファントムの3552mmから3295mmへと縮め、オフロードでは最低地上高を上げられるように、エア サスペンションのエアの量をファントムよりも大幅に増やしている。筆者のイメージだけれど、空気がたくさん入る風船のほうが、空気が少ししか入らない小さな風船よりも、お尻に敷いたときの座り心地がよさそうだ。ふわふわだけれど、空気がいっぱい入っているからふわふわしない。

一方、カリナンはR-R史上初のSUVで、駆動方式は4WD である。つまり、前輪にもパワーを伝えるシャフトを持っている。そのため、車重がファントムよりも重い。メーカーの発表値だと、ファントムが2560kgなのに対して、カリナンは2660kgと100kg増えている。一般に、重いと乗り心地はよくなる。しかも、SUVタイプのほうが乗用車タイプよりサスペンションのストロークをとりやすいし、必要だというのもあって、ようするにサスペンションのストロークがたっぷりある。

最高速度は250km/h(メーカー公表値)。カリナンの場合、漬物石より重たい石が上にのっかっていて、その漬物石をエアサスが下支えしている。上からと下からの力が、ちょうどいい具合に釣り合いが取れている、ということなのか、3トン近い重さがさほど重く感じない。それにはもちろん、後述する900Nmもの大トルクを極低速から生み出す6.75リッターV型12気筒ツインターボの存在もある。

そう、この超静かで超トルキーなV型12気筒も、超絶快適な乗り心地実現の、もうひとつのカギなのだ。しずしずしず~っとしたエンジンのフィールは、しずしずしず~っとした乗り心地と相関関係にある。ガサガサしたエンジンだったら、これほどの快適性は得られない。車重2720kgと、スタンダードのカリナンよりさらに60kg重いカリナン ブラック バッヂ。ボディ サイズの割には軽いかもしれないけれど、絶対的にはスーパー・ヘビー級のこの巨体を、ゼロ発進からでも、しずしずしず~っと走らせる。

まるでタイヤがゴムの塊ではなくて、ウィルトン カーペッドでできているみたいな乗り心地なのである。それでいて、路面から隔絶しているのではなくて、ちゃんと路面とのコンタクトを感じる。いくら「マジック・カーペット・ライド」だといっても、タイヤと接地している以上、浮かんでいるわけではないのだから、当たり前かもしれない。でも、ドライバーにとって路面の感覚が伝わるというのはいいことである。

100km/h以上になると、ステレオ カメラが前方の路面を見ていて、その路面の変化に合わせてサスペンションを最適に制御している、という。

ロード ノイズはほとんど伝えない。タイヤは、ファントムも履いていた、静粛性重視でコンチネンタルと共同開発したコンチスポーツコンタクトである。100km/h巡航時に室内で聞こえてくるのはエアコンの音だけ。モーターの音ではない。風の音だ。信号待ちでは、まるでアイドリング ストップしているかのごとくに静かで、筆者はてっきりエンジンが止まっていると勘違いした。

6.75リッターV型12気筒ツインターボは、ターボなので、アクセルを全開にするとグワッと加速する。タコメーターはないので回転数は不明ながら、高回転域ではクオオオオッという快音を控えめに発する。最高出力600psを5250rpmで、900Nmもの最大トルクはわずか1700rpmから4000rpmの広範囲で生み出す。スタンダードのカリナンは、それぞれ571ps/5000rpm、850Nm/1600rpmなので、プラス29psと50Nmを発生するべく、わずかに高回転型になっている。。エンジンは基本的には同じながら、エグゾースト システムを新調しているという。高回転時の控えめな快音はこのエグゾースト系がつくり出しているのだ。

こんなウルトラ・スーパー・ラグジュアリーなSUVをどうやって考え出したのか? その想像力と創造力に敬服します。と、同時に、もしもレンジ ローバーを超洗練させたら、こうなるのかも……と、思った。

かつて“砂漠のロールス ロイス”と、呼ばれたレンジ ローバーを、本家が本歌取りした。親会社のBMWが第3世代のレンジ ローバーの開発に携わっていた縁もある。R-Rがカリナンをつくりなむとしたときに、BMW経由でその知識と経験を借りなむとした。というのは筆者の勝手な想像です。

意外なほど運転しやすい2019年、R-Rは116年の歴史のなかで史上最多の5152台を販売したと発表されている。これは2018年の25%増にあたる。2018年に発表したカリナンを、通年で生産したことが、業績に大きく貢献したという。さらにそこにカリナンのブラック バッジの追加である。

静止状態から100km/hまでに要する時間は5.2秒。ブラック バッジとはロールス ロイス(R-R)からのダークな分身、アルターエゴとして2016年に「レイス」と「ゴースト」に、さらにその1年後には「ドーン」にも設定された、フツウにいえば、スポーティ モデルを指す。そのスポーティヴネスの根拠というか源泉というか、を、モータースポーツではなくて、ストリートに求めたところに21世紀のR-Rの発明がある。

R-Rは、チャールズ ロールズがドライバー&セールスマンとして活躍していたごく初期をのぞいて、コンペティションとのかかわりを持ってこなかった。そこで彼らは、ダンディズムの祖とされるボー ブランメル的な真っ黒けのシンプルさに範を求めた。クロムハーツとかヒップホップ カルチャーにもヒントを得ているように思われる。黒光りするスピリット オブ エクスタシーはその象徴と解すことができる。

あるいはその正反対の黄色いボディにサイケデリックな模様を描いたジョン レノンのファントムVとか、古くは『グレート・ギャツビー』の、やっぱり黄色いボディに緑色の革シートの“サーカスのクルマ”みたいなロールス ロイスとか、つまるところブラック・バッジは伝統的な英国貴族趣味とは異なる世界観をR-Rに導入した。それを本来は伝統的な英国貴族趣味の守護者がやっているという逆説が今日的なわけである。いや、英国貴族趣味が反順応主義の精神性の趣味への反映であるとするなら、ブラック・バッジこそがむしろ、本来の英国貴族趣味の面目を施したものであるのかもしれない。エキセントリック(反・求心的)であることはジェントルマンの必須要素のひとつである、というではないか。

R-R史上初のSUVということで、カリナンはこれまでR-Rとは縁もゆかりもなかった新しい顧客を開拓しているという。ショーファーではなくて、自分でステアリング ホイールを握るクルマとして購入するのだ。

実際、とても運転しやすい。ファントムより全長が短くて、ファントム同様、4WSがついている。だから、巨体にもかかわらず、動きが素早い。そのカリナンにくわわったアンチ貴族趣味(あるいは真性貴族趣味)のブラック バッジは、それゆえ、さらにいっそう資産30億円以上の超富裕層を引きつけるに違いない。

ゆいいつの欠点は、シフト レバーとワイパーのレバーが近いので、間違えて動かしちゃうことだけれど、借りもんだから致し方ない。買ったもんだったら大丈夫でしょう。

車両価格は4530万円。スタンダードのカリナンは3920万円なので610万円高い。もっとも、R-Rは基本的に注文生産なので、これは最低価格であるに過ぎない。4万4000色もの膨大なボディ色から始まり、ビスポークで、好きな内装に仕立てることもできる。

超富裕層ではない一般人、私にとって、カリナンにどんな意味があるのか? とにもかくにも、スーパー・ラグジュアリーSUVのピナクル、頂点を一段高くした。現代のテクノロジーができることを実物で示したのだ。賛辞に値する、と思う。

文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.)

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