現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 50年も前にミッドシップ+4ローターのロータリーエンジン搭載のコルベットが計画されていた! オイルショックさえなければ……な「エアロベット」

ここから本文です

50年も前にミッドシップ+4ローターのロータリーエンジン搭載のコルベットが計画されていた! オイルショックさえなければ……な「エアロベット」

掲載 10
50年も前にミッドシップ+4ローターのロータリーエンジン搭載のコルベットが計画されていた! オイルショックさえなければ……な「エアロベット」

 この記事をまとめると

■コルベットには現行C8以前にもミッドシップ計画が存在した

【試乗】狙うは欧州スーパースポーツ! ミッドシップ&右ハンドル化のコルベットに乗った

■コードネームXP-882「エアロベット」はロータリーエンジンを搭載していた

■オイルショックと経営判断で市販化はならず幻に終わった

 半世紀以上前からあったミッドシップ・コルベット

 ディープなコルベットファンなら、2020年に発売されたC8がミッドシップだったことに「やっとかよ!」と嘆息したかもしれません。じつは50年以上前からコルベットにはミッドシップ計画が存在し、なんとロータリーエンジンを搭載するプランまであったのです。さまざまなハードルによって、ミッドシップ計画はC8までおあずけとなってしまったのですが、現代の目で見ても、ミッドシップ「エアロベット」のカッコよさにはため息しか漏れません。

 1960年代に入ると、ミッドシップスポーツカーがぼちぼちと発売され始めました。筆頭は、もちろんランボルギーニ・ミウラであり、フォロワーは雨後の竹の子状態だったこと、ご存じのとおり。もちろんGMでもスポーツカーディヴィジョンがミッドシップモデルを見逃すわけもなく、チーフエンジニアのゾーラ・ダントフ(コルベットの父とも称されるベルギー生まれのエンジニア)がV8スモールブロックをミッドに縦置きしたマシンを開発しています。

 が、これはCERV(コルベット・エクスペリメンタル・リサーチ・ヴィークル)と称したまったくの研究車両。保安部品や居住性などを度外視したレーシングカーと呼んでもいいでしょう。ちなみに、第2世代CERVは当時イケイケだったフォードGT40に対抗してレースエントリーも見込まれたほどでしたが、ジョン・デロリアン(いうまでもなく後にデロリアン・カーズを創立した人物。当時はGMのディビジョンマネージャーという重役でした)によって中止されています。

 とはいえ、CERVで培われたミッドシップに関わる技術は、XPと呼ばれる市販車のプロトタイプへと継承されました。そこで、最初に生まれたミッドシップコンセプトカーはXP-880(通称アストロII)として、1968年のニューヨーク自動車ショーに出品。ですが、コルベットのバッジはどこにも付いていませんでした。これまた、コルベットの伝説的デザイナー、ラリー・シノダによる流麗(かつディノ246によく似た)なアルミボディをまとっているにもかかわらず、どういうわけかGMはコルベットを名乗りたくなかった模様。

 じつはデロリアンが、「ミッドシップスポーツカーはさほど売り上げにならない」と判断した結果のようですが、その考えはすぐさま覆されました。というのも、ミウラに加えフォードがデ・トマソ・パンテーラを自社ディーラーで販売することや、AMCやメルセデス・ベンツ、果てはBMWまでもがミッドシップスポーツカーの販売を計画していることを知ったからにほかなりません。

 テクノロジーを詰め込んだが市販は叶わず

 そして、1970年に引っ張り出されたのがXP-880の後継モデル、XP-882、通称「エアロベット」だったのです。当初、V8横置きのテストカーでしたが、GMが新たに買収したロータリーエンジン技術を紹介するため、ビル・ミッチェルがスタイリングを担当。当時としては画期的だった風洞トンネルでの結果を全面的に押し出したデザインとされています。

 また、GMはそれまで2ローターエンジンのコンセプトカー(シボレー・ベガ)は作っていたものの、4ローターはエアロベットが初めての挑戦となりました。エンジンベイを透明なカバーで覆ったのは、これをアピールするためにほかなりません。もちろん、ガルウイングドアの採用もコルベットとしては初めてのスタイル。これには、イタリアのカロッツェリアも度肝を抜かれたことでしょう。

 4ローターエンジンは、約6.2リッターの4チャンバー付きで、およそ420馬力を発揮。車重はレイノルズ製アルミボディと相まって1180kgというライトウエイトクラスでしたから、パフォーマンスはずば抜けていたこと間違いありません。ちなみに、XP-897というべつのコルベット・コンセプトカーは2ローターが試されたものの、1990年代に売却されたあとにマツダの13Bを積んで復活を遂げています。

 この後、1976年までにエアロベットはいくつかの変更を加えられましたが、1980年から市販車として販売することが決定されていました。残念ながら、ロータリーエンジンは「コストがかかる」と、首脳陣が却下。それでも、6.6リッターのV8エンジンを縦置きミッドシップとするパッケージには、コルベットファンでなくとも夢をふくらませたはず。ですが、これまたオイルショックという自動車界にとって最悪なダメージに見舞われ、エアロベット計画は中止の憂き目に。

 GMが1968年に登場させたコルベットC3を1985年まで長期にわたって生産しつづけた裏では、オイルショックの影響もさることながら、エアロベット計画の中止が尾を引いたに違いありません。ところで、デロリアンは1973年にGMを退職しており、DMCデロリアンは「隠れたエアロベット生産モデル」といったら邪推と叱られてしまうでしょうか。

文:WEB CARTOP 石橋 寛
【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

数々の偉業を達成したホンダ/HRCとレッドブルの提携が終了「ホンダの技術と人材が貢献できたことは大きな喜び」とHRC渡辺社長
数々の偉業を達成したホンダ/HRCとレッドブルの提携が終了「ホンダの技術と人材が貢献できたことは大きな喜び」とHRC渡辺社長
AUTOSPORT web
2025年王者ランド・ノリス、来季カーナンバー「1」を使用へ「『オレたちはナンバー4だ!』って言うのは、あんまり格好良くないからね」
2025年王者ランド・ノリス、来季カーナンバー「1」を使用へ「『オレたちはナンバー4だ!』って言うのは、あんまり格好良くないからね」
motorsport.com 日本版
東武線「寝過ごし注意の駅」が1年で最も賑わう!?  一大イベントに1万5800人が詰めかける
東武線「寝過ごし注意の駅」が1年で最も賑わう!? 一大イベントに1万5800人が詰めかける
乗りものニュース
ポルシェ、ペピタやタータンなど歴史的シート生地を復刻…旧車のレストアを支援
ポルシェ、ペピタやタータンなど歴史的シート生地を復刻…旧車のレストアを支援
レスポンス
アジア最大規模のアートブックの祭典「TOKYO ART BOOK FAIR」が今年も開催!
アジア最大規模のアートブックの祭典「TOKYO ART BOOK FAIR」が今年も開催!
GQ JAPAN
「ランクルを“装甲化”するらしいんですが」民生車の軍事転用、成功には何が必要? 軍採用メーカーの答えは
「ランクルを“装甲化”するらしいんですが」民生車の軍事転用、成功には何が必要? 軍採用メーカーの答えは
乗りものニュース
薄型0.3cmで収納力アップ! “忘れ物・探し物が減る”ノートPC用ガジェットポーチに新色が登場 高機能なのにコストパフォーマンスに優れた一品とは
薄型0.3cmで収納力アップ! “忘れ物・探し物が減る”ノートPC用ガジェットポーチに新色が登場 高機能なのにコストパフォーマンスに優れた一品とは
VAGUE
次世代モビリティ集結、川崎・橘公園で12月13日オープニングイベント…試乗会や子ども免許証発行も
次世代モビリティ集結、川崎・橘公園で12月13日オープニングイベント…試乗会や子ども免許証発行も
レスポンス
より上質な室内空間を目指してレクサスUX300hがマイナーチェンジ
より上質な室内空間を目指してレクサスUX300hがマイナーチェンジ
カー・アンド・ドライバー
運転上手の共通点はステリングの足し算とペダルの引き算! 今からできる良いドライバーになる運転術
運転上手の共通点はステリングの足し算とペダルの引き算! 今からできる良いドライバーになる運転術
ベストカーWeb
約169万円! “デカグリル”採用のトヨタ「“5人乗り”スライドドアワゴン」! 「TOYOTA」文字ロゴもイイ「SUVワゴン」ダンクとは
約169万円! “デカグリル”採用のトヨタ「“5人乗り”スライドドアワゴン」! 「TOYOTA」文字ロゴもイイ「SUVワゴン」ダンクとは
くるまのニュース
【情報アップデート】伝統と現代性の融合 新型メルセデスGLC EQ 489馬力とエアサスペンションにより、この巨体はオフロード走行にも適している!
【情報アップデート】伝統と現代性の融合 新型メルセデスGLC EQ 489馬力とエアサスペンションにより、この巨体はオフロード走行にも適している!
AutoBild Japan
【クルマ文化を一緒に盛り上げたい】レーシングドライバー塚本ナナミがS耐参戦へ向け、クラウドファンディング開始!
【クルマ文化を一緒に盛り上げたい】レーシングドライバー塚本ナナミがS耐参戦へ向け、クラウドファンディング開始!
AUTOCAR JAPAN
計画から68年、なかなかできない超重要道路「横浜藤沢線」12月に一部4車線化! 圏央道アクセス担う
計画から68年、なかなかできない超重要道路「横浜藤沢線」12月に一部4車線化! 圏央道アクセス担う
乗りものニュース
ハーレー「“新型”ミドルクラスネイキッド」登場! “440cc”のちょうどいいサイズで扱いやすい! “X”シリーズの新顔「X440」インドで発表
ハーレー「“新型”ミドルクラスネイキッド」登場! “440cc”のちょうどいいサイズで扱いやすい! “X”シリーズの新顔「X440」インドで発表
くるまのニュース
スズキ初の量産EV『eビターラ』、最高評価の5つ星を獲得…インドNCAP
スズキ初の量産EV『eビターラ』、最高評価の5つ星を獲得…インドNCAP
レスポンス
【ホンダ・リード125】定番の原付ニ種スクーター、カラーバリエーション変更で2026年1月29日発売! 価格は35万2000円
【ホンダ・リード125】定番の原付ニ種スクーター、カラーバリエーション変更で2026年1月29日発売! 価格は35万2000円
モーサイ
キャンピングカー市場1100億円突破! なぜ市場は「新車」「中古」で二分されるのか? 市場拡大の裏側で進む変化とは
キャンピングカー市場1100億円突破! なぜ市場は「新車」「中古」で二分されるのか? 市場拡大の裏側で進む変化とは
Merkmal

みんなのコメント

10件
  • やふたろう
    当時、GMがロータリーエンジンを搭載したスポーツカーを計画してる記事は
    何度か見た事があったので知ってたけど、実車の画像を見るのは初めてだ。
    さすが、WEB CARTOPはシブいクルマを出してくるね
    毎回、アホみたいな記事しか出てこない 【くるまのニュース】とは大違い
  • ヤングハート
    この巨体で4ローターって・・・リッター500mくらいか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

329 . 7万円 425 . 3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

60 . 0万円 328 . 0万円

中古車を検索
シボレー アストロの買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

329 . 7万円 425 . 3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

60 . 0万円 328 . 0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村