この記事をまとめると
■レイバックの新CMが釧路で撮影された
台数は少ないが存在感をみせるBRZ勢! TGR GR86/BRZ Cupの第3戦は大波乱のレース展開に
■そのCMの雰囲気を味わえる試乗会が釧路で開催
■試乗車は抽選でレヴォーグになったがスバルのGT性能を体感できた
CMはイケイケ感のあった昔のスバルを思い出させるもの
7月半ば、スバルが釧路を舞台に催した試乗会に参加してきた。昨年の佐渡島に続き、「いつかは行ってみたい」企画の第2弾なのだそう。なぜ今か? といえば、2023年から発売されている「レイバック」の新CMがここ、釧路近くの絶景地を舞台に制作されたためだ。
新CM自体は7月3週目の週末から放映開始。道東の雄大な自然のなかを、若そうだけど成熟世代風の男女が爽やかに駆け回る映像に「レイバック~レイバック~」という令和っぽい即サビながら、’80sリメイクめいたオリジナル曲まで、近ごろのスバルにしては洋楽っぽくてアイサイトを強調するでもない、世代を問わずの作りが、印象的な一篇だ。元・平成のヤングとしてはブルース・ウィリスやロッド・スチュワートを起用していたころの、レガシィのCMをふと思い出す。あのころはバックの曲だけ元ボン・ジョヴィのリッチー・サンボラを起用したり、スバルがホントに疾走しまくっていた。
話がいきなり横に逸れたが、いずれレイバックの販売テコ入れの一環とはいえ、スバルが掲げる「安心と愉しさ」の素となるグランドツーリング思想は、初代レガシィより連綿と進化させてきたもの。レガシィアウトバックが終売を迎えた今や、ステーションワゴンGTの系譜は「レヴォーグ」、そして派生モデルにしてカジュアルSUVである「レイバック」に託されているのだ。
その魅力とは、乗員全員の荷物が収まる積載性と、重心の低さゆえのスポーティな動的性能、双方のバランスよさにある。そんなパラメーター上で、とくにスポーツ性を重視しているのがSTIスポーツの2.4リッターターボに代表されるレヴォーグ。逆に、地上高と車高を少しもち上げたレイバックはドライビングの自在感はステーションワゴン仕込みながら、コンフォートと利便性をも重視。スバルのSUVラインナップのなかではフォレスターの弟分にしてクロストレックの兄貴分で、アクティブなアウトドア志向にも応えられる車種といえる。
かくして新CMを観た流れでレイバックに試乗……かと思いきや、今回はくじ引き配車で、レヴォーグの最新特別仕様車のひとつ、1.8リッターターボの「STIスポーツR-ブラックリミテッド」に落ち着いた。スペック面では2.4リッターターボに譲るが、レカロのシートやダッシュボードトリムにブラックのウルトラスエードを採用し、ミラーやホイールの凹面もブラックで統一され、走りと同じぐらい上質仕立てをも意識した、まさにステーションワゴンGTといえる1台だ。
霧が濃いので、まずは釧路市内で早めのランチへ。釧路のソウルフードのひとつ「スパカツ」を味わいに、市内で1959年創業という老舗、「レストラン泉屋」にお邪魔した。山盛りのスパゲティ・ミートソースに分厚いトンカツをのせ、さらにミートソースを重ねがけ、これが熱々のステーキ皿でサービスされる。釧路といえば海鮮モノやシンプルな炉端焼きが大定番だからこそ、洋食と肉モノが贅沢という地元コンテクストを差し引いても、パンチ力抜群の一皿だ。
ランチのあとは北海道の多くの都市で見られる、碁盤の目の市街を抜け、東へ。牡蠣の名産地で知られた厚岸町を抜け、CMロケ地となった涙岬の周辺を目指す。内陸ではいく分か霧が薄まったものの、外海に面した辺りはその先にある霧多布岬のネーミングどおり。白く覆われてほとんど見通しが利かず、かくしてCMのような絶景にはありつき損なったのだった。
運転の過程を楽しめるスバルのGT性能
でも、そんな条件下でレヴォーグSTIスポーツR-ブラックリミテッドを走らせたからこそ、色々と気づくことがあった。まずシメトリカル4WDならではの、左右対称にして前後もほぼ60 :40という重量配分のよさ。静的なバランスよさだけでなく、駆動配分もこれに準じるため、素直で無理のない挙動というか、動的な質の高さが一貫して腰や手もとに伝わって来る。当然それはロングドライブに心地よく、ドライバーにも乗員にも安心感をもたらす。
ボクサー4気筒の1.8リッターターボは、300Nmとトルクは十分だが最高出力は177馬力でけっこう控え目。だがスムースさは並の4発より抜きん出ているし、リニアトロニックCVTと相まってダイレクトな加速、息つぎのない駆動レスポンスを味あわせてくれる。
いわばレヴォーグは、アウトバーンをドーンと飛ばして目的地にさっさと着くことに重きがあるドイツ車ライクなグランドツアラーではなく、移動すること自体、走らせるプロセスそのものをドライバーが噛みしめられるタイプのそれ、だ。だから目的地での目的が悪天候でポシャっても、無駄足だったとかいう後悔の念や徒労感より、むしろ残念だったけどまた来たい、そんな気にさせてくれるポジティブな乗り味が際立つ。
それを支えるのが、スバルが0次安全と呼ぶところの見切りのいい視界や、扱いやすい車幅のボディ。加えて馴染みがよく正確なステアリングフィールや、制動キャパが大きいだけでなくしっとりと御しやすいブレーキタッチに表れているような、アクティブセーフティ面の確かさだ。
何よりレカロのシートは座り心地や横方向のサポートもさることながら、骨盤を立てて座りやすいので疲れづらく、シャシーや駆動のフィールもキチンと伝わってくる。アイサイトなど予防安全にまつわる機能も確かに充実していて、前走車がいる局面での追走やレーンキープぶりも申し分ないが、それ以前の基本部分がとにかく盤石なのだ。
加えてSTIスポーツにはZF製の可変減衰力ダンパーが備わり、ステアリングホイール右下あたりの物理的スイッチで、シャシー設定をサクサク切り替えられる。道や気分、走るペースに応じて、コンフォート/ノーマル/スポーツ/スポーツ+の4段階、プラス個別設定という5種類の走行プログラムを使いわけられるのだ。
コンフォートでは揺れが収束するまでにバウンスするほど柔らかいが、スポーツ+でもガチガチに締め上げるでなく、しなやかにボディの姿勢をコントロールする方向性が一貫していて、制振性の素早さが増していく感覚だ。逆に、パッチ路面や継ぎ目で足の吸い込みが少し神経質に感じることはある。また鈍くはないがステアリング中立近くの遊び幅と直進時の微調整、転舵時にゲインが利くまでのひと呼吸には、慣れる必要も感じた。とはいえワインディングでの4輪の接地感、スタビリティと軽快さを両立させた走りは、1.8リッターのSTIスポーツならではと唸らされる。
惜しむらくは、ボクサー1.8リッターターボはスムースだが官能的ではないところがひとつ。ふたつ目は内装、とくにインターフェイス上のデザインで、ひとつひとつは読み取りやすいが、ゴシック体フォントの表示が全体として説明書っぽく煩雑に見えるところ。人によりけりだが、たとえばUSB-Cの接続口に「3.0A」、同Aのそれに「2.4A」といったアンペア表示は、省いても困らなさそうなものと映る。
3つ目は外装、塗装面の平滑性が低いこと。もっと周囲の景色がボディに美しく映り込んでくれたら、グランドツアラーとして完成度、オーナーの満足度はさらに高まるはずだ。外面的なことより、リヤハッチに電動開閉を備えているとか、雪道やラリーでガシガシ走らせるからこそ塗装表面より防錆コートの方が大事というのが、従来的スバルらしさかもしれない。が、円安で輸入車難民が増えている今だからこそ、惜しい部分なのだ。
とはいえ北海道を走っていると、スバル車とすれ違う頻度はほかのどの土地より多く感じる。独自AWDの走りによる安心感と信頼性が、根を張っている様子は存分に伝わってきた。それこそが絶景ロングツーリングへの背中を押す、欠くことのできない何かなのだ。
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みんなのコメント
これを提灯記事と言う
鮭の ときしらず 美味しいですし
レヴォーグ小石でフロントガラス直撃の時に割れやすいのが無ければ良い車だと思います