現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > なぜ政府は国民を苦しめる? 税金取りすぎ&“ガソリン減税法案”は廃案に… 今後ガソリン価格はどうなる?

ここから本文です

なぜ政府は国民を苦しめる? 税金取りすぎ&“ガソリン減税法案”は廃案に… 今後ガソリン価格はどうなる?

掲載 更新 149
なぜ政府は国民を苦しめる? 税金取りすぎ&“ガソリン減税法案”は廃案に… 今後ガソリン価格はどうなる?

■暫定税率廃止でも、ガソリン価格には焼け石に水? どうなるガソリン価格?

 これから先、ガソリン価格はどうなるのでしょうか。
 
 中東情勢が緊迫する中、原油価格が上昇する可能性があります。

【画像】「えっ…?こんな搾取されてるの?」 これが国民を苦しめる「ガソリン税の仕組み」です。画像で見る

 一方で、野党がいわゆるガソリン税に対して「来月(7月)からの暫定税率廃止」を求めて、国会に法案を提出しました。

 衆議院では野党による賛成多数で可決され、続く参議院の財政金融委員会で審議されたものの同委員会が散会。採決は見送られ、同法案は廃案になってしまいました。

 いったい、ガソリン価格はこれから上がるのか、それとも一気に下がるのか。

 ユーザーにとっては分かりにくい状況にあります。

 そうした中、石破茂首相は6月19日、ガソリン価格の変動が国民生活に影響を及ぼさないように配慮するとの姿勢を、改めて示しています。

 価格についてですが「ロシアのウクライナ侵攻前後の水準となっている現在の水準」という表現です。

 そこから大きく上昇させないよう努力するとのことです。

 では、「現在の水準」とはいくらなのでしょうか。

 経済産業省・資源エネルギー庁が、石破首相がコメントした前日に公表したレギュラーの調査価格は172.1円/L。

 また、ロシアのウクライナ侵攻の前後からの推移を振り返ってみますと、概ね170円~175円/Lの間で推移しています。

 よって、仮に中東情勢が悪化して原油価格が上昇したとしても、ガソリン価格は170円台/Lで収まることを、政府は確約したことになります。

 その仕組みですが、「燃料油元売り」と呼ばれる石油精製業者や石油輸入業者に対して、国が補助金を出すというもの。

 これにより、燃料油元売りからガソリンスタンドやホームセンター等の燃料油販売業者への卸売り価格が抑制されるという流れです。

 ただし、この仕組みはこの数年で何度の変更が加わっています。
 ユーザーにとっては、この仕組みがどうであれ、ガソリン小売価格が下がればよいので、詳しいプロセスを知る必要はないかもしれません。

 ですが、ここへきてユーザーとしても気がかりなことが出てきました。

 この仕組みが導入されたのは、2022年1月。

 施策の名称は、「燃料油価格激変緩和対策事業」です。

 当初は、基準価格と高補助率発動価格を設定して、補助率を決めていましたが、2025年1月からは、これらを新基準価格で一本化しました。

 そう聞いてもピンとこない人が少なくないでしょう。

 具体的な補助額でみると、2022年6~7月のレギュラーガソリン価格は補助金なしの場合、210円台半ば/Lに達しており、ここに41.9円を投じて170円台/Lに調整していました。

 2024年7月も200円/L超えのところを32.3円抑制。年後半は190円台/L円台前半に対して15.7円補助で、175円/L程度を維持。

 こうした仕組みが、2025年5月22日に変わりました。

 施策の名称は「燃料油価格定額引下げ措置」です。ガソリンと軽油で10円/L、灯油・重油では5円/Lという定額です。

 仕組みが変わった背景に、「暫定税率」の議論があります。

 資源エネルギー庁は「当面、当分の間税率(以下、旧暫定税率という)の扱いについて結論を得て実施するまでの間、足元の物価高にも対応する観点から、現行の燃料油価格激変緩和対策事業を組み直し、定額の価格引下げ措置を実施する」と公表しました。

 つまり、原油価格の変動があるていど落ち着いた中で、与野党間での「暫定税率」に関する議論が高まっていることを考慮した、ということです。

■ガソリン減税(暫定税率)はどうなる?

 そもそも、ガソリン税の暫定税率は1974年に道路整備の財源、およびオイルショックによる原油価格高騰を補う一時的な措置でした。

 しかし、その後も道路整備の維持などを目的として継続されているのが実情です。ガソリンの暫定税率は25.1円/L。

 暫定税率廃止に向けては、与野党間で基本的な合意があるものの、廃止後の財源確保等や廃止の時期などについては意見が分かれている状況です。
 
 また、自動車の税金については、性能環境割、自動車税、自動車重量税について抜本的な見直しが2026年4月以降に実施される見込みで、それに向けて与野党や自動車業界での議論が高まっているところです。

 本来、ガソリン税も含めて、自動車に関わる税金のあり方全体を適正化するべきですが、足元での物価高を受けて、ユーザー視点では「まず暫定税率廃止でガソリン価格が下がってほしい」と思うのは当然でしょう。

 そこで、まずは「定額10円/L引下げ」という方法をとったというわけです。

 ところが、その仕組みが始まって1ヶ月もしないうちに、中東情勢が緊迫し原油価格高騰の危険性が高まり、前述のような実質170円台/Lていどを維持するという、補助事業に転換せざるを得なくなったのです。

 要するに、ガソリン価格の最大要因として、日本が海外からの輸入に頼っている原油価格に大きく左右されることに、今後も変わりはありません。

 その上で、暫定税率など税金のあり方を議論しているのです。

 そのため、仮に暫定税率が廃止されても、原油価格の高騰が続けば、国としては施策の名称がなんであれ補助制度によってガソリン小売価格を抑制するしか手がないと言えます。

 武藤容治・経済産業大臣は20日、閣議のあとの会見で「脱炭素などの流れを踏まえるとガソリン価格の支援をいつまでも続けるものではない」との考えを示したと報道されています。

 そうとはいえ、短期間にEVや燃料電池車が普及することは事実上、難しいでしょう。

 さらには原油に頼らないカーボンニュートラル燃料やバイオ燃料の開発が進んでいるものの、ガソリンに比べるとかなり割高なのが実状です。

 脱炭素の動きをスピードアップさせることは必要だとしても、当面の間、国はなんらかの補助によってガソリン価格上昇を抑制するしか手立てがないように思います。(桃田健史)

文:くるまのニュース 桃田健史

関連タグ

【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

「中古軽の税免除」なぜ? 一部条件で非課税に! 対象は展示車!? 26年度に千葉市が導入へ 狙いは?
「中古軽の税免除」なぜ? 一部条件で非課税に! 対象は展示車!? 26年度に千葉市が導入へ 狙いは?
くるまのニュース
クルマの「新しい車検」スタート! 「良いこと? 悪いこと?」何が変わった? 改正から約3ヶ月… みんなの反響は
クルマの「新しい車検」スタート! 「良いこと? 悪いこと?」何が変わった? 改正から約3ヶ月… みんなの反響は
くるまのニュース
「ランクル」国内むけディーゼル廃止はない? 「騒音規制」「排ガス規制」が噂の”決定打”にならないワケ
「ランクル」国内むけディーゼル廃止はない? 「騒音規制」「排ガス規制」が噂の”決定打”にならないワケ
ベストカーWeb
日産が新型「エルグランド」&「パトロール」発売へ!? 「軽・小型車・ミニバン」しか売れてない“現状”から脱却か?「魅力的な新型車」投入で業績回復に期待大!
日産が新型「エルグランド」&「パトロール」発売へ!? 「軽・小型車・ミニバン」しか売れてない“現状”から脱却か?「魅力的な新型車」投入で業績回復に期待大!
くるまのニュース
「トヨタのハイエースが買えません…」 受注停止で中古車相場さらに高く… 人気「商用バン」の現状はどうなっている?
「トヨタのハイエースが買えません…」 受注停止で中古車相場さらに高く… 人気「商用バン」の現状はどうなっている?
くるまのニュース
全長4.9m! トヨタ最新型「フォーマルセダン」がスゴい! 精悍“サメ顔”×流麗「クーペデザイン」で超カッコいい高級モデル! 堂々サイズの「11代目カムリ」日本で売られていない理由とは
全長4.9m! トヨタ最新型「フォーマルセダン」がスゴい! 精悍“サメ顔”×流麗「クーペデザイン」で超カッコいい高級モデル! 堂々サイズの「11代目カムリ」日本で売られていない理由とは
くるまのニュース
ホンダはなぜ「大型EV」を捨てたのか? 北米「11万台の壁」と25%関税――三重苦からの再編戦略とは
ホンダはなぜ「大型EV」を捨てたのか? 北米「11万台の壁」と25%関税――三重苦からの再編戦略とは
Merkmal
マツダ新型「CX-5」世界初公開! 9年ぶりの全面刷新でディーゼルモデル廃止!? 「主力SUV」の“電動化”が確実なワケとは!
マツダ新型「CX-5」世界初公開! 9年ぶりの全面刷新でディーゼルモデル廃止!? 「主力SUV」の“電動化”が確実なワケとは!
くるまのニュース
スズキ「“新”軽セダン」発表に反響殺到! 「かわいい」「いい選択肢です」 新車114万円で「リッター28.2km」走る「新アルト」! 「MTのワークスも!」の声も!? 仕様変更が話題に
スズキ「“新”軽セダン」発表に反響殺到! 「かわいい」「いい選択肢です」 新車114万円で「リッター28.2km」走る「新アルト」! 「MTのワークスも!」の声も!? 仕様変更が話題に
くるまのニュース
国民ブチギレ!? 「遅すぎる」「まだ甘い」「どれだけ外国人優遇?」 話題の「外免切替」ついに旅行客は認めず
国民ブチギレ!? 「遅すぎる」「まだ甘い」「どれだけ外国人優遇?」 話題の「外免切替」ついに旅行客は認めず
くるまのニュース
「セルフ式ガソリンスタンド」での“NG行為”に「意外といるよね」「見たことあるけど怖かった」「危険すぎ」「心配になる」の声も! 知らずにやっているかも!? “給油する時の注意点”に反響集まる!
「セルフ式ガソリンスタンド」での“NG行為”に「意外といるよね」「見たことあるけど怖かった」「危険すぎ」「心配になる」の声も! 知らずにやっているかも!? “給油する時の注意点”に反響集まる!
くるまのニュース
税関はここまで見ている! 500万円級中古車の「不正輸出」が即バレする理由
税関はここまで見ている! 500万円級中古車の「不正輸出」が即バレする理由
Merkmal
日産「新型スカイライン」登場へ 13年ぶり“全面刷新”で「セダン廃止」の可能性も!? “急ピッチ開発”が進む「日産の伝統モデル」がどうなるのか 考えられる現実的な“シナリオ”とは
日産「新型スカイライン」登場へ 13年ぶり“全面刷新”で「セダン廃止」の可能性も!? “急ピッチ開発”が進む「日産の伝統モデル」がどうなるのか 考えられる現実的な“シナリオ”とは
くるまのニュース
【オーストラリア】トヨタ新「ランドクルーザー“ハイブリッド”」発表! 475馬力の「高性能モデル」に!? 3.5リッター「V6」×10速AT×モーターの「新モデル」豪州にも登場へ
【オーストラリア】トヨタ新「ランドクルーザー“ハイブリッド”」発表! 475馬力の「高性能モデル」に!? 3.5リッター「V6」×10速AT×モーターの「新モデル」豪州にも登場へ
くるまのニュース
BYD「軽EV」参入の衝撃――絶対王者「N-BOX」は安泰か? 価格破壊を超えた戦略に日本勢は本当に対抗できるのか
BYD「軽EV」参入の衝撃――絶対王者「N-BOX」は安泰か? 価格破壊を超えた戦略に日本勢は本当に対抗できるのか
Merkmal
ホンダ新「アコード」登場! “手放し運転”OKな「画期的システム」搭載!? 全長5m級「豪華セダン」販売店に寄せられた“声”とは
ホンダ新「アコード」登場! “手放し運転”OKな「画期的システム」搭載!? 全長5m級「豪華セダン」販売店に寄せられた“声”とは
くるまのニュース
スズキ新型「コンパクトSUV」初公開! 全長4.3mで“日本にちょうどいい”サイズ採用! スズキ初の「四角いハンドル」も搭載した“めちゃ斬新モデル”新型「eビターラ」に期待大!
スズキ新型「コンパクトSUV」初公開! 全長4.3mで“日本にちょうどいい”サイズ採用! スズキ初の「四角いハンドル」も搭載した“めちゃ斬新モデル”新型「eビターラ」に期待大!
くるまのニュース
「中古車が高くて買えない」 輸出1.5兆円市場の功罪──需給の再設計は可能か?
「中古車が高くて買えない」 輸出1.5兆円市場の功罪──需給の再設計は可能か?
Merkmal

みんなのコメント

149件
  • tak********
    隠れてやるから信用されない。良いことも悪いことも、
    正直に運営できない政党とはやっていけない。
    約束を守り、誠実にやっていれば、ガソリンが高くなろうと納得する。耐える。我慢する。
    でも自民党は不誠実。裏金、企業献金や視察という海外旅行など、舐めてる。組織として無理。
  • xbx********
    税金を取って国民が苦しむ
    そしたら誰が裕福になりますか?
    お金を使い放題してるのは誰ですか?
    それが答えです
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村