現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > カオスなモナコ頭脳戦で規則の抜け穴突いたレーシングブルズ、2台入賞にCEOも満足「戦略家の“天才的な一手”があった」

ここから本文です

カオスなモナコ頭脳戦で規則の抜け穴突いたレーシングブルズ、2台入賞にCEOも満足「戦略家の“天才的な一手”があった」

掲載 8
カオスなモナコ頭脳戦で規則の抜け穴突いたレーシングブルズ、2台入賞にCEOも満足「戦略家の“天才的な一手”があった」

 今年は特別規則により2回のピットストップが必須となったF1モナコGP。メディアセンターの中でも、このルールがうまく機能したかどうかが議論の的となったが、結局のところは「この規則を活かして賢く戦ったチームには有効だったし、そうでないチームは痛い目を見た」という指摘が最も的を射ていた。

 実際、ピレリのモータースポーツ部門責任者マリオ・イゾラは決勝前の時点で、このモナコ特有の新レギュレーションを最大限に活かすには「ストラテジスト(戦略家)ではなく“天才”が必要だ」と語っていた。

■F1分析|チームメイトをサポートする”抑え込み”チェスゲーム。翻弄された角田裕毅に打破する策はあったのか?

 そしてモンテカルロのピットウォールで天才的な判断を下したと言えるのが、レーシングブルズだった。アイザック・ハジャーとリアム・ローソンが連れ立って走っていた彼らは、後ろのローソンがスロー走行で後続を引き留めることで、前を走るハジャーがポジションを落とさずに義務ピットを消化できるという戦略を採用。このやり方はウイリアムズやメルセデスも追随したが、最初に遂行したのはレーシングブルズだ。

 この戦略を採ったレーシングブルズは予選の好結果を活かしてハジャー6位、ローソン8位とダブル入賞。チームにとっても最高の結果となった。CEOのピーター・バイエルも、ServusTVで“天才的な戦略”を賞賛した。

「見ての通り、チーム全員がガレージに集まって本当に喜んでいる。チームにとっても、アイザック、リアムにとっても興奮する結果だ」

「我々のストラテジストたちは素晴らしい仕事をしてくれた。ローレン(メキーズ/チーム代表)とはこれまで戦略面でいろいろ悔しい思いもしてきたが、今日はまさに“天才的な一手”を打ってくれた。少しリスクはあったと思うが間違いなくうまくいった」

「理論的には、もっと上も狙えたかもしれない。確かにリスクは大きかったが、“ノー・リスク、ノー・ファン”とは言ったものだ。とはいえ、ルイス(ハミルトン/フェラーリ)を先に行かせるという決断をしたことで、我々が2台でレースをコントロールできる状態になった」

「我々はソフトタイヤを使う必要があり、ソフトは長く持たないのでそのスティントはできるだけ短くする必要があった。ただ本当にチーム全員が完璧に遂行してくれた。リスクを負って正解だったと心から思うよ」

 このレーシングブルズの働きぶりは、他チームからも讃えられた。メルセデスのトト・ウルフ代表は、ウイリアムズに同じような戦略で蓋をされた時は苛立ったとしつつも、レーシングブルズは「体重以上のパンチを見せた」……つまり格上の相手にも張り合えるほどの健闘を見せたと評した。

「もちろん、今回の12ポイントは選手権を考えても非常に重要だ」とバイエルは続けた。

「これで我々は(ランキングで)ハースのすぐ後ろに付けた。でもそれ以上に大事なのは、マシンとチームがうまく機能していて、そこに調和があるということ。チームのエネルギーや、みんなが仕事から得ている喜びが本当に伝わってくる。確かに3連戦はきついけど、今の雰囲気なら笑顔でバルセロナに向かえるし、楽しみにしているよ」

 またルーキーのハジャーにとって、今回の6位は自己ベストの成績。デビュー戦のオーストラリアではレース開始前にクラッシュして涙を流した彼も、最近ではその実力を遺憾なく発揮している。ただそんなハジャーも、今回のレースは楽しめなかったと語った。

「問題だったのは、タイヤマネジメントをしている時はほとんど寝そうになっていたことだ。すごく退屈だったよ」とハジャーは言う。

「退屈だから、時々わざとペースを上げたりしていた。フィニッシュまでは本当に長く感じた。予選はこれまでで一番集中力を使うくらい、超ハードな1日だったと思う。あれは本当に大変だった」

「今日はかなりリアム頼みのところもあったから楽だった。彼が戦略と計画を完璧に実行してくれて、僕はかなり早いタイミングでピットに入ることになった。それが狙いだったし、完璧に遂行された」

 ローソンもまた、レッドブルから姉妹チームのレーシングブルズに降格となってから初の入賞。彼はチームメイトのアシストに徹するレースとなったが、与えられた仕事を淡々とこなした結果が見事に報われた。

「まあ、こういうことになる可能性も常にあるし、今回こういう決断を下したことで、自分のレースは8位でほぼ決まってしまったようなものだった」

 ローソンはそう語る。

「でも正直、ここモナコではどうせ追い抜きなんて難しいんだ。だから自分たちの結果は昨日の予選でほとんど決まってしまったようなものだけど、チームにとっては素晴らしい結果だね」

「(スロー走行は)思っていたより集中力が必要で、実は結構難しかった。でも、チームのためには間違いなく意味のあることだったと思う」

【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

”同士討ち”経験者ロズベルグが語るノリスの弱点「彼には精神的な脆さがある」
”同士討ち”経験者ロズベルグが語るノリスの弱点「彼には精神的な脆さがある」
motorsport.com 日本版
フェラーリがF1カナダGPで“大失敗”した理由とは? チーム代表が指摘。1-3達成メルセデスの仕事ぶりも教訓に
フェラーリがF1カナダGPで“大失敗”した理由とは? チーム代表が指摘。1-3達成メルセデスの仕事ぶりも教訓に
motorsport.com 日本版
アンドレア・キミ・アントネッリ、18歳で初F1初表彰台「歓声に鳥肌が立った」王者フェルスタッペンからは今後の活躍に太鼓判も
アンドレア・キミ・アントネッリ、18歳で初F1初表彰台「歓声に鳥肌が立った」王者フェルスタッペンからは今後の活躍に太鼓判も
motorsport.com 日本版
メルセデス代表、チーム内バトル経験した”先輩”としてマクラーレンにアドバイス「ルールを確立する必要がある」
メルセデス代表、チーム内バトル経験した”先輩”としてマクラーレンにアドバイス「ルールを確立する必要がある」
motorsport.com 日本版
我々はBoPが嫌いだ。メルセデスF1ウルフ代表、ル・マン挑戦に後ろ向きな理由を明かす「F1こそ理想の形。ピュアなレース」
我々はBoPが嫌いだ。メルセデスF1ウルフ代表、ル・マン挑戦に後ろ向きな理由を明かす「F1こそ理想の形。ピュアなレース」
motorsport.com 日本版
「全てが間違っていた」16位と苦戦アイザック・ハジャー、カナダGPはペース不足で打つ手なし
「全てが間違っていた」16位と苦戦アイザック・ハジャー、カナダGPはペース不足で打つ手なし
motorsport.com 日本版
カナダ7位に笑顔のアロンソ、クビサのル・マン優勝を祝福「お祝いを邪魔したくないから、あとで連絡するよ!」
カナダ7位に笑顔のアロンソ、クビサのル・マン優勝を祝福「お祝いを邪魔したくないから、あとで連絡するよ!」
motorsport.com 日本版
フェラーリ代表、カナダGPは「最初からチーム全体でミスが多すぎた」とライバル勢に比べオペレーション面で躓いたと認める
フェラーリ代表、カナダGPは「最初からチーム全体でミスが多すぎた」とライバル勢に比べオペレーション面で躓いたと認める
AUTOSPORT web
レッドブルのホーナー代表、フェルスタッペン出場停止危機へのライバル”駆け引き”は想定内? ラッセルへの抗議は不発も運営に警告
レッドブルのホーナー代表、フェルスタッペン出場停止危機へのライバル”駆け引き”は想定内? ラッセルへの抗議は不発も運営に警告
motorsport.com 日本版
太田格之進、アメリカでの次なるステップは? インディカー転向でアレックス・パロウの成功を再現できるか
太田格之進、アメリカでの次なるステップは? インディカー転向でアレックス・パロウの成功を再現できるか
motorsport.com 日本版
近年で最も苦しいル・マンとなったトヨタ、首脳陣も「完敗」「力不足」と総括。挑戦者の立場でパフォーマンスアップを目指す
近年で最も苦しいル・マンとなったトヨタ、首脳陣も「完敗」「力不足」と総括。挑戦者の立場でパフォーマンスアップを目指す
motorsport.com 日本版
ラッセル、メルセデスとの契約延長交渉は進展なし……しかしフェルスタッペン加入は心配せず?「僕は自分の価値を証明してきた」
ラッセル、メルセデスとの契約延長交渉は進展なし……しかしフェルスタッペン加入は心配せず?「僕は自分の価値を証明してきた」
motorsport.com 日本版
F1で一番大変なのはドライビングじゃない……新人ボルトレト、“過度な”メディア&スポンサー対応量を指摘
F1で一番大変なのはドライビングじゃない……新人ボルトレト、“過度な”メディア&スポンサー対応量を指摘
motorsport.com 日本版
ルクレール、戦略面でチームと対立し、苛立ち示す「僕は1ストップで行けると考えていた」
ルクレール、戦略面でチームと対立し、苛立ち示す「僕は1ストップで行けると考えていた」
AUTOSPORT web
平穏だったはずの2026年に向けたF1ドライバー移籍市場……しかし爆発的に活況を見せる兆しアリ。フェルスタッペンの動き次第でドミノ的連鎖が起きる!?
平穏だったはずの2026年に向けたF1ドライバー移籍市場……しかし爆発的に活況を見せる兆しアリ。フェルスタッペンの動き次第でドミノ的連鎖が起きる!?
motorsport.com 日本版
カナダでの同士討ちはノリスの”転機”になる? バトンが示唆「彼がそこから前進するのが楽しみ」
カナダでの同士討ちはノリスの”転機”になる? バトンが示唆「彼がそこから前進するのが楽しみ」
motorsport.com 日本版
「100周あればよかったのに!」カナダGPはマクラーレンの強みが活かせなかったとピアストリ
「100周あればよかったのに!」カナダGPはマクラーレンの強みが活かせなかったとピアストリ
motorsport.com 日本版
ピレリ、敬遠される“C6”タイヤ続投に意志「異なる戦略が生まれた」ただし改善点も認識
ピレリ、敬遠される“C6”タイヤ続投に意志「異なる戦略が生まれた」ただし改善点も認識
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

8件
  • nor********
    抜けないモナコだから良くも悪くも話題になるけど、「1台がペースを抑え犠牲になり、もう1台を先行させる」なんて戦略は昔からの基本だよね。
    マンセル+パトレーゼ、プロスト+ヨハンソン、シューマッハ+アーバインなんかがよくやってた。
  • pmt********
    角田がいた時に、こういう戦略してあげてほしかったものですね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村