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「岩城滉一率いる51ガレージの始動を追う」クラブマンロードレース第1戦に参戦【ベテラン勢の熱い挑戦とレースの舞台裏】

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「岩城滉一率いる51ガレージの始動を追う」クラブマンロードレース第1戦に参戦【ベテラン勢の熱い挑戦とレースの舞台裏】



バイクレースに7年ぶりに復活した、岩城滉一が率いる”51ガレージ”。先日、筑波サーキットで開催されたMCFAJ主催クラブマンロードレース第1戦に、5台ものエントリーをした上に、自身はクラス3位入賞というリザルトを残した。岩城が率いるチームのレースデイを、元全日本A級ライダーにして、51ガレージのライダーを務めた今井伸一朗の視線でレポートしよう。

→【画像17枚】「岩城滉一率いる51ガレージの始動を追う」ベテラン勢の熱い挑戦を画像で見る

●レポート:今井伸一朗 ●まとめ:石橋 寛 ●写真:藤田昌久/川田明夫(FROG PHOTO WORKS) ●取材協力:BURN! H-D SPORTS(TEL 04-2994-2975)/KTM川崎中央(TEL 044-948-7316)

7年のブランクを感じさせない”74歳”!

“チームイワキ”や”K’s Garage”の名前で知られた岩城滉一さんが率いるチームは、昨シーズンから”51ガレージ”と名乗って、7年ぶりに活動を再開しました。

そもそも、ボク(今井伸一朗)は1993年のスーパーバイク(カワサキZXR 7)で”月木レーシングwith チームイワキ”からエントリーした時からのお付き合い。

昨年の4月に「またやろうぜ」と誘われた時には、正直なところ面食らいました。なにせ、岩城さんは73歳を迎えたばかりでしたから「ほんまかいな」と耳を疑ったのです。

ところが、久しぶりに筑波で走っている姿を見ると、年齢など関係なくどんどんアグレッシブな走りを取り戻していくのです。これにはボクだけでなく、まわりの仲間も目を丸くして驚いたのと同時に、「さすが岩城さん、昔取った杵柄は健在だ」と感心することしきり。

そんな昨シーズンは、MCFAJのロードレースと、オーバー60キッズという60歳以上のレースに出場するなど、これまたアグレッシブな走りを披露してくれました。

―― 写真は2025年のMCFAJのクラブマンレース、岩城さんのスターティンググリッドはご覧の通り大盛況。いい仲間に恵まれているのも51ガレージの見逃せない特徴です。

刺激を受け、参戦を表明する人多数

これに刺激を受けたのはボクだけでなく、岩城さんとともにクラシックバイクや茂木の耐久レースを走った大浦聡さんも。

バイクレースの復活はなんと24年ぶりというから、申し訳ないけどこれまた「ほんまかいな」という印象(笑)ですが、大浦さんは1999年当時XR750で筑波のコースレコードを樹立していて、883のワンメイクレースにも岩城さんと一緒に参戦していたエキスパート。

ハーレーの883スポーツスターでリハビリ練習を重ねるうちに岩城さん同様、すぐさま昔の走りが蘇っていました。

そして、岩城さんのマネージャーを長年務めている豊田剛さんが「オレもレースに出たい」と手を挙げると、岩城さんは練習用として手に入れてあった旧型のKTM RC390を「これで出なさい」と快く提供。

その後サーキット初走行だった豊田さんに対して、岩城流のスパルタ教育だったことは言うまでもないでしょう(笑)。さらに、ヤングマシンをはじめとしたバイクやクルマのメディアでライターをしているバッシーこと、石橋寛さんまで51ガレージに合流。

新車のRC390をゲットするなど、やる気が認められたのでしょう。が、豊田さん同様レース未経験という腕前なので、どうなることやらと誰もが心配そうな顔を浮かべていたのでした。

肝心のボクのマシンといえば、ドゥカティ996というなかなかのマシン。岩城さんが岡山国際で1分39秒というコースレコードを打ち立てているので、こちらも身が引き締まる思い。

それにしても、総勢5台でのエントリーというのもさすが51ガレージ、周囲からの視線にも全日本のレースとは違った緊張を覚えたものでした。

―― スタート前にヘルメットを渡しているのは、チャンプこと辻本聡さん。岩城さんとは8耐やモテ耐など長く深いお付き合い。ちなみに、画面左端には長瀬智也さんもチラリと。

―― 岩城さんがスタート直前に話していたのは、883を仕上げてくれたBURN! H-D SPORTSの奥川さん。ご自身もハーレーのレース経験豊富なので、息の合ったマシンづくりができたとのこと。

◆スタート前にヘルメットを渡しているのは、チャンプこと辻本聡さん。岩城さんとは8耐やモテ耐など長く深いお付き合い。ちなみに、画面左端には長瀬智也さんもチラリと。

◆岩城さんがスタート直前に話していたのは、883を仕上げてくれたBURN! H-D SPORTSの奥川さん。ご自身もハーレーのレース経験豊富なので、息の合ったマシンづくりができたとのこと。

クラス優勝と3位をゲットする「激走」に

MCFAJのクラブマンレースといっても、当日はAVCC(American Vintage Competition Clubman Roadrace)やLOC(Legend of classic)、MAX10グループなど個性的なオーガナイザーが結集したイベントです。

岩城/大浦はAVCCのCSSC、すなわちXR1000や750、そして883が走るクラスへ2台の883でエントリー。ボクはMCFAJのオーバー40という40歳以上、400cc以上のバイクで競い合うクラス。

豊田/石橋はMAX10Jrというレースで、筑波のタイムが1分10秒まで、4スト400ccまでというRC390にはちょうどいいクラス。各レースとも基本的に複数クラスの混走なので、ライダーとしては速度差もあったりして歯ごたえ強めですが、観客のみなさんはバラエティ溢れるマシンの闘いがとても面白かったのではないでしょうか。

たとえば、CSSCはFSCRというショベルのオープンクラスと混走なので、排気量は倍近い違いがあり、岩城さんによれば「直線の速さがけた違い」となるわけです。

ちなみに、51ガレージの883は当時のワンメイクレースにほど近いカスタム、といえば聞こえはいいのですがほとんどノーマル車両。これで、大排気量車に挑む、あるいはレーサーとして作られたXRと闘うのですから、見方によっては無謀の誹りすら受けかねないでしょう。

とはいえ、予選から決勝までの展開は見事の一言でした。タイムアタック2週目で互いにベストラップを出したり、決勝では岩城さんが大浦さんの後ろを守りつつ、中団を突き放していくところなど、とても74歳&還暦すぎのライダーとは思えません。

長年のコンビネーションから生まれた戦略がピタリとはまっただけでなく、「重い&曲がらない」883をアグレッシブで華麗に走らせた腕前には頭が下がる思いしかありません。

もちろん、結果もついてきて、大浦さんは1分11秒281をマークして堂々のクラス優勝! 惜しくも3番手となった岩城さんも1分12秒838と、ノーマル883とは信じがたいタイムをたたき出したのでした。

ちなみに、長瀬智也さん(FSCRクラス)も混走しただけでなく、岩城さんと競り合う場面もあったりして、歓声&嬌声でもってサーキットがあたかもアリーナのような盛り上がりとなりました(笑)。

―― AVCCのCSSC/FSCRクラスのスタートは、ハーレーのVツインエンジンが全開となるので、ちょっと異質(?!)な轟音。ニーグリップがしにくい883を駆る岩城/大浦のポジションにも注目。

―― AVCCのCSSCクラスで優勝した大浦選手と、3位入賞の岩城選手。間の2位を勝ち取ったのは#3の伊東一也選手。この2台に囲まれたのはさぞやプレッシャーだったに違いありません(笑)。

結果も重要だけれど、そもそも乗っていてとても楽しかった!

そして、豊田/石橋のMAX10jrもまた3クラス混走という白熱を帯びたもの。しかしながら、豊田さんはレース2度目、バッシーに至ってはデビューレースということもあり、いかんせん経験不足が目につきました。

それでも、そつなくレースをこなしただけでなく、オーバーテイクも決めるなど豊田さんには見るところもあり、今後の成長に期待できるでしょう。

残念ながら、バッシーはスタートの失敗を挽回できずにクラスでブービー賞という惨憺たる結果。それまでのレースが赤旗となって、周回数が減らされた(7→6周)とはいえ、結果にこだわる51ガレージとしてはこれからの奮起を期待するしかありません。

もっとも、ボクのリザルトもクラス4位と褒められたものでもありません。不慣れな乾式クラッチながらなんとかスタートには成功したものの、並み居る現代のリッターバイクには追いつくのが精いっぱい。パワーの差を6周で攻めきれなかったのが悔しくてなりません。

ちなみに、ドゥカティ996は30年近く前のマシンですが、フレームの柔軟性やエンジンのキャラはまさにレーサーで、乗っていてとても楽しかったこともご報告しておきましょう。

―― 51ガレージのライダーとして、ドゥカティ996を駆る今井伸一朗選手。慣れない乾式クラッチといいながら、ロケットスタート見せてくれました。鋭い視線で51ガレージを冷静に分析中

「若手のみなさんがもっとバイクに乗って、レースを楽しんでほしい」

最後にボスのコメントも紹介しておきます。3位のお立ち台での言葉を要約しました。

「7年ぶりに復活して、なんとか乗れることは証明できたと思う。けど、いつまでもこうして闘えるとは思っていない。だからこそ、若手のみなさんがもっとバイクに乗って、レースを楽しんでほしい。

オレはレジェンドなんて呼ばれることもあるけど、次世代のレジェンドは、ここ(筑波)に来てくれたみなさんの中から生まれるのだから」

51ガレージの次戦は来る11月9日のMCFAJロードレース第3戦に決定しています。出走クラス、そしてマシンもほぼ緒戦と同じフォーメーションとなるでしょう。

緒戦を応援してくださった方はもちろん、来られなかったファンの方々も、ぜひ第3戦の応援にいらしてください。

オッサンばかりのチームとはいえ、ピリッとしたレースをお見せすること請け合いですからね!

―― #51岩城滉一 AVCC/CSSC 3位 BL 1’12.838 5/5Lap

―― #50 大浦聡 AVCC/CSSC1位 BL 1’11.281 4/5Lap

―― #51 今井伸一朗 Over40-Legend 4位 BL 1’04.686 2/6Lap

―― #511 豊田剛 Max10jr 4位 BL 1’15.906 4/7Lap

―― #69 石橋寛 Max10jr 10位 BL 1’18.626 4/6Lap

―― 51ガレージのライダー&スタッフのみなさん。表情でお分かりの通り、ほのぼのとしたムード。5台のエントリーとはいえ、プロフェッショナルばかりが揃ったさすがの大所帯です。

―― ハーレーのスポーツスター883はワンメイクレースなどが開催されていたものの、「速く走らせるのは相当苦労する」と大浦選手。とはいえ、1分11秒台というのは誰が聞いても驚くタイムに違いありません。

―― ドゥカティ996SPSはホモロゲモデルで、チタンコンロッドやデュアルインジェクターを装備したマシン。しかも、岡山国際で岩城さんがコースレコードを樹立したそのものの実車です。

―― 最初に岩城さんがレース復帰を志した際、練習機として活躍したのが旧型RC390。「壊れないし、よく走る」と岩城さんもベタ褒めする1台。メンテナンスはKTM川崎中央で、レースにも帯同してもらってます。

―― バッシーが駆った2023年式のKTM RC390GPは練習中の転倒などもあったわりに絶好調。これまたKTM川崎中央の走る社長、吉井俊忠さんが仕上げてくれたマシンです。

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みんなのコメント

1件
  • kat********
    草レースを盛り上げてくれてる活動は素晴らしいと思いますが、借金を棒引きにして好きなことをやってるのはどうなんでしょうかねと思ってしまいます…
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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