新モデルが市場に出れば、少なくとも「5台」のライバルが存在する。成熟した日本の自動車業界、新車として世に出たクルマがまったくの新カテゴリーということは稀で、“先行者”とのシェアの奪い合いをする展開になることは必定。
今回は2.4Lへ進化したトヨタ/スバル GR86/BRZのライバル5台を自動車評論家 国沢光宏が評価していく。
GR86/BRZはGRスープラ ノートオーラNISMO ロードスター スイスポ ケイマンより「上」「買い」なのか? ライバル5台と徹底比較
ライバル車は国産車&輸入車たちで、名うての猛者ぞろいだ。どのモデルに勝ち、どのモデルに苦戦するのか!? いざ、「5台の壁」たちに対決を挑む!
●トヨタ/スバル GR86/BRZ 対決ラインナップ
・VS トヨタ GRスープラSZ
・VS 日産 ノートオーラNISMO
・VSマツダ ロードスター990S
・VS スズキ スイフトスポーツ
・VS ポルシェ ケイマン
※本稿は2022年5月のものです
文/国沢光宏、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年6月10日号
■2代目になったGR86/BRZの魅力
2021年にフルモデルチェンジし、2代目となったGR86/BRZ。2代目は2.4Lに排気量アップし、GR86とBRZで異なる味付けをしている
トヨタとスバルが共同開発したFRスポーツカー「GR86/BRZ」が、2021年にフルモデルチェンジし、2代目となった。
初代は自然吸気の2L水平対向4気筒エンジン(207ps/21.6kgm)を搭載していたが、2代目では2.4L(235ps/25.5kgm)に排気量をアップ。
初代エンジンで発生していた4000rpm付近のトルクの落ち込みも解消され、フラットなトルク特性を実現した。
トヨタとスバルそれぞれの考え方の違いから、車体結合部のフロントハウジングをGR86は鋳鉄製、BRZはアルミ製とし、スタビライザーの取り付け方も異なるなど、走りはまったく違う味付けとなっている。いい意味でのライバル関係が、クルマをより高いレベルに引き上げた。
GR86/BRZは世界的に見て希少なFRスポーツという評価を受けている。規制の関係で今後2年間しか販売できないイギリスの場合、予約開始するやあっという間に完売。
日本でも「フェーズ3」の騒音規制が既存車に適用となる2026年までしか販売できないため、絶版1年前の2025年に入ったあたりで受注停止になる可能性大(現時点で納期半年)。
間違いなく希少車になるので、10年後の中古車人気はテッパン! 定期預金するよりGR86/BRZを買って乗っていたほうが有利かもしれません(笑)。
購入を考えているならライバルとして挙げた5モデルをテンビンにかけて、お好みを選んだらいいと思う。後輪駆動+マニュアル車、私も強くすすめたい。
■GR86 RZ 主要諸元
・全長×全幅×全高:4265×1775×1310mm
・ホイールベース:2575mm
・車両重量:1270kg
・エンジン:水平対向4 DOHC
・排気量:2387cc
・最高出力:235ps/7000rpm
・最大トルク:25.5kgm/3700rpm
・トランスミッション:6速MT
・サスペンション前/後:ストラット/ダブルウィッシュボーン
・WLTCモード燃費:11.9km/L
・価格:334万9000円
■禁断の同門対決(コスパ加味)!!! VS トヨタ GRスープラSZ
スープラの魅力は3Lターボ。乗り比べると迷うことなくGR86/BRZの勝ち! スープラSZはマニュアルが選べない弱点もあり
■トヨタ スープラSZ 主要諸元
・ボディサイズ:全長4380×全幅1865×全高1295mm
・車重:1410kg
・エンジン:直4DOHC+ターボ 1998cc
・最高出力/最大トルク:197ps/32.7kgm(SZ)
・価格:499万5000円(SZ)
そもそもスープラとGR86/BRZは価格が違いすぎるため比較対象にならないと思う。楽しさで考えても2Lターボのスープラだと大差なし!
スープラの魅力って3Lターボ。
となるとライバルも一段と多くなってしまう。乗り比べて価格を見たら瞬時も迷うことなくGR86/BRZに軍配を上げることだろう。
加えてスープラだとマニュアルを選べないという決定的な弱点あります。
数年後のリセールバリューなど考えたら圧倒的にマニュアル有利。私なら86/BRZ(ノーマルで乗るならBRZ)を選ぶ。
【勝敗】GR86/BRZの勝ち!
■駆動方式もパワーユニットも違うけど対決! VS 日産 ノートオーラNISMO
■日産 ノートオーラNISMO 主要諸元
・ボディサイズ:全長4125×全幅1735×全高1505mm
・車重:1270kg
・エンジン:直3DOHC+モーター 1198cc
・最高出力/最大トルク:82ps/10.5kgm
・モーター出力/トルク:136ps/30.6kgm(NISMO)
・価格:286万9900円(NISMO)
ごめんなさい。私なら迷う対象にならない。まったく違うジャンルのクルマです。
確かにノートオーラってコンパクトカーのなかじゃ少し元気よく走ってくれるけれど、同じようなクルマが輸入車ならいっくらでもある。
例えば同じプラットフォーム使うルーテシアは速くてスポーティ。絶対的な動力性能やコーナリング性能だって比較にならない。
決定的なのが5年後の価値で、オーラNISMOは普通の乗用車だからそれなり。
GR86/BRZのMTあたりを買っておけば、お金に困った時いつでも換金できます(笑)。
【勝敗】GR86/BRZの勝ち!
■スポーツモデルとしての完成度対決か VSマツダ ロードスター990S
迷う人が多いだろうロードスター vs GR86/BRZ。楽しさというスケールで比べたら互角。4人乗りがよければGR86/BRZ、オープンカーがよければロードスター。両車引き分け!
■マツダ ロードスター990S 主要諸元
・ボディサイズ:全長3915×全幅1735×全高1235mm
・車重:990kg
・エンジン:直4DOHC 1496cc
・最高出力/最大トルク:132ps/15.5kgm(990S)
・価格:289万3000円(990S)
ここは迷う人が多いんじゃなかろうか。
ロードスターの990S、素材のよさを感じ、とっても楽しい。スポーツカーとして楽しめるし、オープンカーとしての魅力も持っている。
走りは絶対的な動力性能こそGR86/BRZ優位ながら、楽しさというスケールで比べたら互角。
徹底的に悩んでいただきたい!
強いてアドバイスするなら、4人乗りを評価するのか、オープンエアモータリングを評価するかで決めたらいいでしょう。また、武闘派だったら、GR86/BRZを強くすすめておく。
【勝敗】両車引き分け!
■コスパ加味した高い壁に挑む! VS スズキ スイフトスポーツ
■スズキ スイフトスポーツ 主要諸元
・ボディサイズ:全長3890×全幅1735×全高1500mm
・車重:970kg
・エンジン:直4DOHC+ターボ 1371cc
・最高出力/最大トルク:140ps/23.4kgm(6速MT)
・価格:201万7400~208万8900円
スイフトスポーツも強敵だ! なんたってロムチューンだけで簡単にパワーアップする! パーツまで交換していくと、絶対的な動力性能でGR86/BRZを凌ぐことだってできちゃう。
全日本ラリーにはGR86もスイフトスポーツも参戦しているけれど(クラスは違う)、スイフトススポーツ優位。
迷ったならFFのスポーツモデルが好きか、FR好きかで判断するのもいいだろう。
世の中FRスポーツこそ王道だと主張する人は多いけれどFFだって楽しい! 100万円安いクルマで勝てたら痛快です。
【勝敗】スイフトスポーツの勝ち!
■日独水平対向エンジン対決! VS ポルシェ ケイマン
水平対向4気筒対決。車両価格と性能だけ考えたらGR86/BRZだが、ケイマンはマニュアルを選べリセールも期待できるため、予算があるならケイマンをオススメ。両車引き分け!
■ポルシェ ケイマンT 主要諸元
・ボディサイズ:全長4379×全幅1801×全高1279mm
・車重:1350kg
・エンジン:水平対向4DOHC+ターボ 1988cc
・最高出力/最大トルク:300ps/38.7kgm(T)
・価格:729万~897万2000円(2Lターボ)
車両価格と性能だけ考えたらGR86/BRZが圧倒的に優勢ながら、ケイマンはリセールバリューという点で手強いと思う。
ケイマンも騒音規制をクリアできないため遠からず絶版になるからだ。時期としちゃGR86/BRZと同じ2026年秋でしょう。
どちらも絶版になったら、純粋な魅力度勝負になること間違いなし。ベースになっている価格の差は、そのまんま流通価格に反映される。
スープラと違いケイマンはマニュアルミッションという決定的な“武器”を持つ。ご予算あればケイマンというチョイスも面白い。
【勝敗】両車引き分け!
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みんなのコメント
これがホントならこれから販売するGRカローラとか1年くらいで販売終了ってこと?