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逆襲のBMW、王者ヒルがライト・トゥ・フラッグ達成。僚友2名も初優勝/BTCC第2戦

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逆襲のBMW、王者ヒルがライト・トゥ・フラッグ達成。僚友2名も初優勝/BTCC第2戦

 開幕戦ドニントンではFF(前輪駆動)勢が猛威を振るった2025年のBTCCイギリス・ツーリングカー選手権は、5月10~11日にブランズハッチで第2戦を開催。この週末は、開幕戦で苦戦を強いられたFR(後輪駆動)のBMW勢が息を吹き返し、新王者ジェイク・ヒル(レーザー・ツール・レーシング・ウィズ・MBモータースポーツ/BMW 330e Mスポーツ)が予選ポールポジション獲得から、決勝レース1で”ライト・トゥ・フラッグ”の完全復活を遂げることに。

 その僚友として今季より名門ウエスト・サリー・レーシング(WSR)入りを果たしたダリル・デレオンとチャールズ・レインフォードの2名も、ともにBTCC初優勝を飾っている。

フォードvsヒョンデの一騎打ち。イングラム撃破のサットンが連勝発進、チルトンも初優勝/BTCC開幕戦

 この週末を前に恒例の早期確定で2026年カレンダーを公開したBTCCは、サッカーW杯対応により早めのサマーブレイクを挟んだ全10戦のスケジュールを披露。夏季休暇を前倒し、日程の重複を避けた運用をアナウンスした。

 同時に目の前のレースウイークには新規参戦ドライバーも公表され、ニック・ハルステッドがパワー・マックスド・レーシングへの移籍加入契約を締結。主催者であるTOCAの承認を受けて通常のTBL(シリーズ参戦枠)に追加エントリーを認め、これでハルステッドは残りのシーズンをマイキー・ドーブルとインディペンデントチームで戦い、2台目のヴォクスホール・アストラBTCCを走らせることとなった。

 さらに開幕のドニントンで連勝をマークし、前人未到のシリーズ5冠に向け好発進を決めているアシュリー・サットン(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)は、この週末にNAPA(全米自動車部品協会)創立100周年を記念したブラック&イエローの特別スキームをまとい、特別にデザインされたレーシングスーツとヘルメットを着用。総勢25台のエントリーになったグリッドにて、ナンバーも『100』を掲げたフォーカスSTを走らせる。

 そのフォードとヒョンデ陣営が好調を維持する一方、BMWは重​​量配分問題への解決策を模索しながら厳しい開幕戦の週末を乗り切り、ディフェンディングチャンピオンのヒルは連続4位入賞でダメージを最小限に留めることに。所属先のWSRにとってはホームトラックでもある第2戦のブランズハッチで改善の成果を試し、さらに順位を上げたいと目論んでいた。

 今季2025年より共通ハイブリッド機構を廃止すると同時に、100%完全持続可能燃料を導入したNGTC規定ツーリングカーは、電動機構を降ろしたことで約55kgの軽量化に成功。結果的に歴代最速モデルとなっているが、これにより前後重量配分が変化したことでFF勢を利する結果に。

 その一方で2.0リッター直列4気筒直噴ターボのブースト圧は維持され、追加パワーを時限制のブーストアップで実施するのに加え、前戦の成績上位車両にはこのブースト使用時間を制限する施策が残ることに。結果、ブランズハッチのFP1からBMW陣営が息を吹き返し、新人レインフォードがいきなりレコードを更新する走り出しに。さらに予選では、そのレインフォードをリードした王者ヒルが開幕の悔しい思いから立ち直り、既存のラップレコードを1秒以上も更新してホームサーキットでトップの座を獲得した。

「全体的にとても満足しているよ」とバランス改善、パフォーマンス向上に喜びを隠せない様子のヒル。

「今朝目覚めたときはポールポジションを獲得できるとは夢にも思っておらず、トップ6に入ることができれば素晴らしいと思っていた。良い位置にいるが、明日はこの結果を活かして成績を出さなければならない」と気を引き締めた新王者は、ライバル勢が戦績により有効な追加ブーストを保持していない状況にも目を向ける必要があると指摘した。

「ドニントン・パーク以来、フロントロウを狙えるマシンを作るために休むことなく努力してくれたチームに心から感謝したい。正しい方向に一歩前進したが、トム(・イングラム)がブーストをほとんど掛けずにほぼ同じタイムを出せているという事実は隠せない。だからこそ、僕たちはプッシュし続けなければならない。でも最終セクターに新しい舗装が施されたことでトラクションが大幅に向上し、今日はすべてを最大限に発揮できたと思うよ」

 その言葉どおり、ポールポジションからスタートしたチャンピオンはソフトタイヤを活かしてトップを独走し、チェッカーフラッグを受けるまで全周をリードすることに。そんなポール・トゥ・ウインを決めたエースの背後にはレインフォードが続き、チームのワン・ツー・フィニッシュで自身BTCC初表彰台を得るとともに、ヒョンデの陣営内対決を制したトム・イングラム(チーム・ヴェルツ/ヒョンデi30ファストバック Nパフォーマンス)が3位に続くポディウムとなった。

 その上位3名が今度はハードコンパウンドを装着したレース2では、グリッド中段でソフトを温存したドライバーたちが躍進。開幕戦ポールシッターでもあるダン・カミッシュ(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)が最初のリードを奪う。しかし7周目の接触事故でセーフティカー(SC)が発動すると、リスタートのバックストレートでドラマが起こり、カミッシュがストップ。ここへドーブルのヴォクスホールとエイデン・モファット(LKQユーロ・カーパーツ・レーシング・ウィズ・WSR/BMW 330i Mスポーツ)が激突し、ふたたびSCが導入される。

 再開後、ハードを履く首位のヒルをあっさりパスしたソフトのデレオンは、持てるブーストを最大限に活かし、一気に抜け出してトップチェッカー。終盤に追い上げを披露したアダム・モーガン(チーム・ヴェルツ/ヒョンデi30ファストバック Nパフォーマンス)や、通算100回目の表彰台を得たサットンを抑えた19歳が、悲願のBTCC初勝利を手にした。

 そんなチームメイトがシリーズ初優勝を挙げた直後、リバースグリッドの最終戦で完璧なトラクションを披露したレインフォードは、グリッド3番手からポジションを上げ、王者ヒルとイングラムを抑えて大金星を挙げることに。トラック上ではダニエル・ロウボトム(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)を仕留める見せ場も作り、ブランズハッチでWSRの完全制覇を成し遂げる“ハットトリック”を完成させた。

「日曜日はやり遂げた。昨日のペース(FP1最速)が良かったと思っていたら、まだ始まったばかりだった。レース1で初の表彰台を獲得し、ハードタイヤで厳しいレース2を戦い、そして最後は初勝利で1日を締め括ることができた。信じられないほどうれしいよ!」と新人のレインフォード。

「今日はペースを維持して走りきることができ、チーム、スポンサー、そして家族に心から感謝している。スネッタートンでまた優勝を目指したいね!」

 レース2を制したデレオンは、「僕の参戦50回目のレースで、こうして初優勝を達成できたのは素晴らしいね。ソフトタイヤで7番手スタートからトップまで登ることができた。BMWでの進歩に満足しているし、チームの努力に心から感謝したい」とコメント。

「今週末は本当に素晴らしかったし、ジャック・シアーズ・トロフィー(新人賞に相当)のタイトルをリードしてスネッタートンに臨む。こんな最高の環境はないよ」

 そして週末最初のレースでライバルにつけ入る隙を与えなかったヒルは、「最高の週末だった。優勝、2位、8位、そして土曜にはポールポジションも獲得。本当に素晴らしい週末になった」とレースウイークを振り返る。

「WSRやレーザーツールズそしてMBモータースポーツの皆に心から感謝したい。彼らは僕に、本当に速い“レーザービーマー”を与えてくれたんだ。この勢いでスネッタートンに向かいたいね」

 そんな完勝トリオの言葉どおり、次戦となる2025年のBTCC第3戦は5月24日~25日にスネッタートンで開催される。

[オートスポーツweb 2025年05月12日]

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