イギリスの実話を映画化した『父と僕の終わらない歌』が5月23日に公開される。主演の松坂桃李は、センシティブな社会問題を内包する親子の感動作にどのように挑んだのか。
松坂桃李「ラストシーンは気持ちが抑えられず、涙が止まらなくなりました」
IDAHOBIT(アイダホビット)に考える「フォビア(恐怖症・嫌悪)」と向き合うこと──連載:松岡宗嗣の時事コラム
松坂桃李の躍進が目覚ましい。スペシャルドラマ「スロウトレイン」に始まり、官僚兼教師に扮したドラマ「御上先生」は社会派なテーマと制作陣の熱量が絶賛された。実在の医師に扮した映画『雪の花 -ともに在りて-』、新型コロナウイルス上陸阻止に動いた官僚を演じた映画『フロントライン』(6月13日公開)と、現代社会とリンクする良作が並ぶ。
親子のハートフルな実話を基にした映画『父と僕の終わらない歌』では、「父がアルツハイマーになった家族の苦悩」や「カミングアウトの精神的負担」に正面から向き合った。
松坂は「誰にも起こり得ることであり、自分も近い将来直面するかもしれません。他人事ではないからこそ丁寧に伝えたい、多くの人に観てもらいたいと思い、参加を決めました」と出演の経緯を明かす。多国籍な街・横須賀を舞台にしたファンタジーな空気感が印象的な作品だが、松坂自身はリアリティを重視したという。息子・雄太を演じるうえでは「当事者が嫌な気持ちにならないようにしたい」と、見え方や言動・心情表現の細部に至るまで気を配った。
普段は朗らかで親しみやすい印象の松坂だが、「これからも自分が参加する意義をちゃんと感じられる企画に関わっていきたい」と明言する顔には、揺るがぬ意志が刻まれている。彼は年に一度、マネージャー陣と現状の整理と今後の目標をディスカッションして進むべき道を決めており、出演作には彼自身の信念が強く宿っているようだ。近年では意思決定に「家族ができたことが影響を与えている」と教えてくれた。
「いつか自分の子どもが僕の出演作を観たときに、純粋に“観てよかった”と思ってもらえるような作品を残したいという想いがより強くなってきました。父と息子の関係性の話は普遍的なものですし、時代が移り変わって子どもが大きくなったときにも伝わるものがあるはず。そして『御上先生』においては、たとえば10年後には違う教師像が出来上がっていたとしても、何かしら次世代の参考になるかもしれません。『フロントライン』は、エンターテインメントを通して史実を後世に残す役割も果たせるかと思います。そして来年撮影が始まる大河ドラマ『逆賊の幕臣』は、外交の物語です。日本の近代化を進めた小栗忠順さんの歴史を詳細に演じることで、今の時代に繋がっていることを伝えたいです」
「御上先生」のテーマの一つには、教育の在り方として「自ら考える姿勢を促す」というものがあった。自身がもたらす他者への影響、観客のその後の人生を想い、「観た後にきちんと自分で咀嚼できる余地のある、息の長い作品に出演したい」と語る松坂の言葉は、まさにその体現と言えそうだ。
「すさまじいスピードで目まぐるしく物事が動いていく現代は、その一瞬一瞬で伝えるべきことがブレてしまいそうにもなります。だからこそ、一度立ち止まって自分自身を見つめ直すことがさらに大切になってくるのではないでしょうか。俳優には、出演する作品を通して、“身近にあるものとして、目を背けずに考えないといけない”というメッセージを伝えられる可能性があります。それを形にして次代に残せることは、この仕事ならではの特権とも感じているのです。そのため最近は、“この作品を世に出したら皆さんはどう感じるのだろう?”という興味がモチベーションになっているかもしれません」
俳優活動は昨年15周年を迎え、社会的責任を意識するようになった。「同世代の監督やカメラマンも増えて、熱量を感じやすくなってきました。連帯感もより抱いています。“自分たち世代が頑張らないと”という想いが、届けたい気持ちを強めているのかもしれません」との言葉からも、彼が作品づくりを“点”ではなく“線”、連なりと捉えていることがわかる。自身の演技、役づくりも「参加した作品の経験が次の現場で生かせるように」と、連動的なアプローチで臨んでいる。
「『父と僕の終わらない歌』でアルツハイマーを患う親と接する息子を演じたことは、『御上先生』に臨むうえで参考になりました。置かれた状況は異なりますし、物語がリンクするわけではありませんが、すべてが経験として生きています」
役者としての自身の方法論が確立されてもなお、貪欲に“獲りに行く”姿勢。それは、学ぶことは変わることであり、昨日までの自分に固執しないという松坂の考えの表れだ。そして本作では、念願だった寺尾聰との共演を果たした。
「父として感情のコントロールを超える芝居をしてくださったおかげで、僕もラストシーンは気持ちが抑えられず、涙が止まらなくなりました。これまでに経験がないことです」と、印象的なシーンを振り返って微笑んだ。
松坂桃李Tori Matsuzaka
俳優/1988年生まれ、神奈川県出身。近作にドラマ「御上先生」、映画『雪の花 -ともに在りて-』。声優を務めた映画「パディントン 消えた黄金郷の秘密」も公開予定。
映画『父と僕の終わらない歌』アルツハイマーになった父が息子に支えられて80歳で歌手デビューしたイギリスの実話を、『タイヨウのうた』『ちはやふる』シリーズの小泉徳宏監督が日本版として翻案。楽器店の店主(寺尾聰)は闘病生活の中、イラストレーターの息子(松坂桃李)とともに夢に向かって二人三脚で奮闘していく。
公開日:5月23日(金)
監督:小泉徳宏
脚本:三嶋龍朗、小泉徳宏
出演:寺尾聰、松坂桃李、佐藤栞里、副島淳、松坂慶子
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
©2025『父と僕の終わらない歌』製作委員会
写真・長友善行 YOSHIYUKI NAGATOMO
スタイリング・猪塚慶太 KEITA IZUKA
ヘア&メイク・ AZUMA@ M-rep by MONDO artist-group
文・SYO
編集・神谷 晃 AKIRA KAMIYA @GQ
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