21kWh大容量電池搭載のPHEVを200万円強で発売
日産がブランド史上初となるPHEVとしてN6の正式発売をスタートしました。競合を上まわるPHEV性能を実現しながら、日本円で200万円から購入できるという極めて優れたコスト競争力を実現しています。
やっぱりBEVが売れる中国ではブランドによって明暗クッキリ! 経営立て直し中の日産は販売好調!!
まず、日産は中国市場でここ半年ほどは販売台数を前年比で回復させることに成功しており、これは中国日産の本格EV第一弾、N7が成功したことが主な要因です。2027年末までに7車種の新エネルギー車を投入していく方針であることから、今後の日産の新型EV投入ラッシュの最新動向は大いに注目です。
そして、N7に続く中国EVシフト反転攻勢第二弾として発売されたのが、ミッドサイズセダンのN6です。N6は日産史上初めてとなるPHEVであり、中国内外でも注目を集めています。
今回のN6は、全長4831mm、全幅1885mm、全高1491mm、ホイールベース2815mmというミッドサイズセダンであり、BEVであるN7と極めて近しいサイズ感とフォルムです。プラットフォームもN7に続いて、日産の新エネルギー車専用プラットフォーム「Tianyanアーキテクチャー」を採用。
とくに安全性について、崖から突き落とすテストを実施し、最大7つのエアバッグが正常に作動しながら、A・B・Cピラーともに折れ曲がることなく、ドアも正常に開閉可能と、最大1500MPaという超高張力鋼を使用していることなどで堅牢なボディである様子が見て取れます。
それではN6が競合と比較してどれほどのPHEV性能を実現しているのかを比較していきましょう。比較するべきは、現在大衆PHEVセダンで圧倒的な2トップのBYDとジーリーです。とくにBYDは、Qin PlusとQin L、ジーリーもGalaxy Starshine 6とA7をラインアップしています。
まず、注目するべきはバッテリー容量でしょう。N6には全グレード標準で20kWh以上という大容量バッテリーを搭載。よってEV航続距離はCLTC基準で180km、WLTCモードでも130kmを確保しており、これはセグメントトップクラスの長さです。
その一方で、やはり中国勢の強みは燃費性能の高さにあります。N6はWLTCモードにおいて4.32L/100kmという燃費性能と、23km/L以上という優れた燃費を実現する一方で、BYD Qin Lは3.98L/100km、Galaxy A7も3.75L/100kmと、より優れた燃費性能を実現しています。
大衆セダンPHEVセグメントにおけるEV航続距離と燃費性能の相関関係を比較すると、この通りN6はEV航続距離ではトップクラスの性能を実現しているものの、燃費性能では中国勢に遅れをとっています。燃費で有利なハイブリッド車であるシルフィe-POWERが3.73L/100kmであり、Galaxy A7はEV航続距離55kmを確保しながら3.65L/100kmと、シルフィe-POWERを凌ぐ燃費性能であることからも、すでに中国勢のPHEVの効率性は日本車のハイブリッド車を凌ぐレベルに到達しているのです。
そして、値段設定が、N6はエントリーグレードAirにで9.99万元(約223万円)を実現。期間限定で車両を下取りに出すと一律で8000元の値引き対応が入るため、N6は実質9.19万元(約205万円)で購入できます。これはBEVモデルとして発売済みのN7の11.99万元(約267万円)よりも安価なレベルです。
EV航続距離と値段設定との相関関係を分析すると、N6はエントリーグレードで9.99万元であり、競合と比較しても大容量バッテリーを搭載しているため、中国勢を凌ぐコスト競争力を実現しており、中国日産のアグレッシブな価格戦略の様子が見て取れます。
日産N6が王者BYD越えへ虎視眈々
さらに、N6の標準装備内容も大衆セダンとしては非常に豪華な装備内容を網羅しています。とくに最上級グレードMax+ Flagshipグレードは、 ・18インチアルミホイール ・2.5Kの解像度を誇る15.6インチセンタースクリーン ・インフォテインメントシステムを駆動するのがQualcommの最新世代SOC「Snapdragon8775」。プロセスノードは4nm、演算能力は72TOPS。 ・50W空冷式ワイヤレス急速充電器 ・セントリーモード ・運転席助手席ともに6方向電動調整、レッグレスト、サイドサポート、ランバーサポート、シートメモリー、ヒーター、クーラー、12ポイントマッサージを完備 ・256色のアンビエントライト ・ガラスルーフと手動サンシェード ・ハイエンドADASはN7と同様にモメンタと共同開発。ハイウェイNOAとともにメモリーシティNOA、高度駐車機能にも対応 ・V2L機能は3.3kWに対応 ・リヤサスペンションはトーションビームを採用してコストカット ・7エアバッグシステム ・車両のねじり剛性は35738Nmとセグメントトップクラス ・車両保証は6年15万km ・バッテリー保証はファーストオーナーに限って永久保証 ・トヨタなどと同じくバッテリーの自然発火に対しては永久保証を付与 などを装備します。
このとおり、日本円にして約223万円で購入可能な大衆PHEVセダンとしては考えられないほどの、驚異的なコスト競争力を実現しています。N7で評価されていた先進的なデザインと快適なシート設計などを踏襲しながら、N7よりもさらに安価な値段設定を実現することで、ガソリン車の売れ筋モデル「シルフィ」からの乗り換えを後押ししながら、それと同時に、中国勢のライバルであるBYDやジーリーに勝負を挑んできているのです。
じつはトヨタやホンダをはじめとする日本メーカーだけでなくドイツメーカーも含めて、この中国市場では海外メーカー勢のPHEVはいまだに1車種も商業面で成功してこなかったという極めて厳しい背景が存在します。まさにN6は、その海外メーカー勢にとって攻略の難しいPHEVセグメントで初めて成功するかもしれないポテンシャルを有しているのです。
この前例のない海外メーカーによる売れ筋PHEVの投入という偉業を達成することができるのか。2026年以降のN6の販売台数には大いに期待することができるでしょう。
さらに、2026年前半に投入が期待されているミッドサイズSUVセグメントのNX8がどれほどの完成度を実現してくるのかも含めて、日産の中国市場におけるEV反転攻勢の最新動向には今後も注目していきたいと思います。
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