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安全装備を「過信」するべからず!! ついついやっちゃう「頼りすぎ」装備の限界

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安全装備を「過信」するべからず!! ついついやっちゃう「頼りすぎ」装備の限界

 近年、驚くほど進化を遂げているクルマの安全装備。衝突被害軽減ブレーキや車線維持支援など、ドライバーを支える機能が当たり前のように搭載されるようになっている。

 より安全運転となるようサポートしてくれ、ドライバーの疲労も軽減してくれるなど、もはやなくてはならないこれらの装備だが、センサーやカメラが危険を認識できなかったり、動作条件が揃わなければ作動しないことも。

安全装備を「過信」するべからず!! ついついやっちゃう「頼りすぎ」装備の限界

 ではどんな状況で作動しないことがあるのか。衝突被害軽減ブレーキと車線維持支援機能、誤発進抑制装置の3つの機能における、作動しない可能性がある状況や注意点などについてご紹介しよう。 

文:立花義人、エムスリープロダクション/写真:HONDA、SUBARU、TOYOTA、NISSAN

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衝突被害軽減ブレーキは、夜間やトンネル内では作動しないおそれが

 衝突被害軽減ブレーキ(CMBS)は、前方の車両や歩行者などとの衝突の危険性を検知し、警告や自動ブレーキによって万が一の際の被害を軽減するシステムだ。一般的に、前方の車両や歩行者を検知した際に、衝突の危険がある場合に警告を発し、必要に応じてクルマが自動でブレーキを作動させてくれる。

 しかしながら、認識能力や制御能力に限界があり、悪天候や夜間、逆光、トンネル内などの状況では、センサーが対象物を正確に認識できず、システムが作動しない場合があるほか、急なカーブや急勾配の道路では、システムの制御が追いつかないことも。

 衝突被害軽減ブレーキは、一般的に「自動ブレーキ」とよばれているが、この言葉のイメージでシステムを過信していると、思わぬ落とし穴に遭遇することになりかねないのだ。

 衝突被害軽減ブレーキはまた、カメラの前のガラスやセンサーの表面が汚れ、機能しなくなった場合は警告が表示され、正常に作動できる状況になるまで(汚れが落ちるまで)使用できなくなることがある。雪国や汚れた道路を走る機会が多いユーザーは、乗車前にセンサーやカメラの周囲を頻繁に清掃する必要がある。

「近距離衝突軽減ブレーキ」のほか、「誤発進抑制機能」「後方誤発進抑制機能」といった踏み間違い衝突軽減システムを含むHonda SENSINGを標準搭載するホンダ「N-BOX」

「ホンダセンシング」では、広い水平画角のフロントワイドビューカメラと前後8つのソナーセンサーで周囲の状況を検知する

車線維持支援機能は、急カーブでは正確に作動しないことが

 車線維持支援機能(LKAS)は、高速道路や自動車専用道路での走行時に、車線をはみ出さないようステアリング操作を支援する機能だ。一般的に、カメラで車線を検知し、車線の中央付近を維持するようにステアリング操作を支援してくれる。

 しかし、車線が不明瞭な場合や、急なカーブ、悪天候、夜間などの状況では、システムが正確に作動しないことがある。また、ドライバーがステアリングから手を放した状態や、ウインカーを作動させている場合には、システムが作動しないようにしているメーカーも。

 そのため、車線維持支援機能があるからといって、急カーブで油断をしていると、車線逸脱という事態にもなりかねない。初めて走る街や、見通しの悪いカーブが連続するようなところなどは十分な注意が必要だ。

「トヨタセーフティセンス」の「レーントレーシングアシスト」。白線だけでなく、アスファルトや縁石などの境界から逸脱すると判定した場合も支援するとしている

誤発進抑制装置は、網目フェンスを検知しにくい

 誤発進抑制装置は、停車または低速走行中に、前方または後方に障害物がある状態でアクセルペダルを強く踏み込んだ場合に、エンジン出力を抑制し、急発進を防ぐ機能だ。最近では軽自動車でも装備されるようになり、たとえばスズキでは、前方約4m以内に障害物を検知している状態で、アクセルペダルを強く踏み込んだ場合に作動する。

 ただ、この装置も、超音波センサーやカメラの性能には限界があり、網目状のフェンスや鋭角的な形状の障害物など、センサーが検知しにくい対象物に対しては、システムが作動しない場合がある。また、悪天候や夜間、逆光などの状況でも、センサーの認識性能が低下し、システムが適切に作動しないことがある。

 そのため、誤発進抑制装置が装備されていても、ドライバーは周囲の状況と適切な操作に十分に注意が必要なのだが、誤発進抑制装置に関しては、誤認識でのシステム作動も多いことで、機能をOFFにしてしまっているケースも少なくないようす。 

 アイサイトでお馴染みのスバルによると、立体駐車場の急なスロープを障害物として認識してしまったり、踏切の遮断機や駐車場、ETCのバーを障害物として認識することもあるとのこと。運転していて、こうした誤認識が頻発すると、ついシステムをOFFにしてしまいがちだが、そうするといざという時に作動しないため、注意が必要だ。

日産は「360°セーフティアシスト(全方位運転支援システム)」という名称で先進機能をアピール。死角が少ないイメージではあるが、もちろん万能ではない

◆     ◆     ◆

 これらの先進装備は、ドライバーの運転を支援し、事故リスクを低減するための「補助」機能だ。国土交通省や各自動車メーカーのホームページでも、運転支援システムには機能の限界があり、条件によっては作動しないことや、使用中に突然機能が停止することがあるため注意が必要とされている。

 ドライバーは、これらの安全装備に依存することなく、「手伝ってくれている」という意識で安全運転ができるように注意を払うことが必要。多くの安全装備が「自動運転レベル2」の段階である現状では、最終的な安全の責任はドライバー自身にあることを忘れないようにしなければならない。

 ただ、誤解してほしくないのは、「それでも自動車の安全装備は日々進化しており、交通事故や事故死傷者数の抑制に多大な寄与をし続けている」ということ。衝突軽減ブレーキは重大事故を19%、死亡事故を15%抑制するというデータがあり、エアバッグとESC(電子制御聖堂装置)の両方を装備した車両は、走行距離あたりの死亡率を約23%低減する(グローバルで)という推計もある。

 だからこそ、安全装備の重要性と使い方、「限界」を正しく理解し、うまく活用することで技術進化を加速させ、ドライバーも一緒に進化し、より安全な交通社会を目指していこう。

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文:ベストカーWeb ベストカーWeb
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みんなのコメント

1件
  • sky********
    この程度の機能群を「自動運転」とテレビCMを使って吹聴した日産、
    つい最近まで黙認した国交省の罪は大きい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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