価格帯は高めだがノートの販売は絶好調
日産の国内販売を支え柱となるモデルがコンパクトカーの「ノート」。2022年4月の販売台数は8114台、登録車ランキングでは4位と、販売は好調です。
先代モデルで登場したハイブリッド機構「e-POWER(イーパワー)」が高く評価されたこともあって、2020年にフルモデルチェンジした現行型では全車がe-POWER=ハイブリッド仕様となりました。
>>日産ノートはこのジャンルでベストの1台だが乗り心地と価格は少し気になる
そのためスターティングプライスは205万円超となり、コンパクトカーとしては価格帯が高なことを危惧する声もありましたが、販売好調ということで、市場はe-POWER専用となったノートを高く評価しているようです。
ライバルは同じくハイブリッド専用モデルのアクア
そんなノートのライバルといえるのが、ハイブリッド専用コンパクトカーの先輩である「トヨタ アクア」でしょう。2代目となる現行アクアがデビューしたのは2021年、両モデルともまだ“新型”感のあるハイブリッド専用車といえます。
ノートは1.2L 3気筒エンジンを発電専用に使い、タイヤを駆動するのはモーターのみというシリーズハイブリッド方式が特徴です。モーターの最高出力85kW(116PS)、最大トルク280Nmがそのままタイヤに伝わっているといえます。もっとも燃費性能の優れたグレードのWLTCモード燃費は29.5km/Lとなっています。
>>日産 ノートe-POWERのカタロググレードをチェックする
アクアは1.5L 3気筒エンジンに、トヨタ伝統の動力分割機構(THSII)を使ったシリーズパラレルハイブリッド方式を組み合わせています。非常に複雑な制御のため、エンジンやモーターのスペックをみても最高出力はわかりません。メーカーがアナウンスしているシステム最高出力は85kW(116PS)と奇しくもノートe-POWERと同値。最も優れたベーシックグレードのWLTCモード燃費は35.8km/Lとノートを大きく上回っています。
>>トヨタ アクアのカタロググレードをチェックする
また、どちらもリアに独立したモーターを積む4WD仕様が設定され、降雪地域のニーズにも対応。ただし、ノートの4WDに搭載されるリアモーターの最高出力が50kW(68PS)と車格からすると高出力なのに対して、アクアでは4.7kW(6.4PS)と発進時などにアシストできる程度の低出力となっているのは、設計思想の違いを感じさせるポイントです。
価格の安いアクア Bのほうが装備や燃費に勝っている
さて、そんなノートとアクアについて、エントリーグレードの価格を比べてみましょう。
ノートS(FF)・・・202万9500円
アクア B(FF)・・・198万円
価格が少し安いアクア「B」グレードがLEDヘッドランプを標準装備しているのに対して、ノート「S」グレードはハロゲンランプが標準で、LEDはオプション設定というのは割高に感じるポイントです。
さらに、アクアはエントリーグレードでも7インチのディスプレイオーディオが標準装備となっていますから、スマートフォンと連携させればカーナビとして利用できます。しかしノートは全グレードがオーディオレス仕様となっているため、同等の機能がほしい場合はカーナビを装着する必要があります。
カーナビ、ドラレコ、ETC車載器といった具合にオプション装着していくとノートの車両価格は250万円に迫ってしまいます。ベーシックグレードであっても、コンパクトカーとしてはノートは高価なモデルと言えそうで、燃費性能でもアクアの後塵を拝しています。
>>日産 ノートe-POWERのカタロググレードをチェックする
>>トヨタ アクアのカタロググレードをチェックする
ノートの魅力は走りやデザインのクオリティにもある
それでも、ノートは好調に売れています。それはモーターだけで走るe-POWERの電動フィーリングが高く評価されているからでしょう。高出力モーターらしいシームレスな加速感は、コンパクトカーとは思えないクラスレスの魅力を持っています。
また、最新の電気自動車「アリア」にも通じる、日産の電動車らしいスッキリとしたスタイリングも、あえてノートを選ぶ理由になっているといえるでしょう。豊富なボディカラーも、スタイリングの魅力を引き立てています。
>>日産 ノートe-POWERのカタロググレードをチェックする
>>トヨタ アクアのカタロググレードをチェックする
>>日産 ノートe-POWERの中古車相場をグラフで見てみる
>>トヨタ アクアの中古車相場をグラフで見てみる
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
写真:
1~3枚目:日産 ノートe-POWER
4~6枚目:トヨタ アクア
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