■価格の違いは安全性の高さとは無関係
近年、公道での安全性に注目が集まっていることもあり、ヘルメットをかぶって自転車に乗っている人を多く見かけるようになりました。
バイク乗りはときどき思う「自転車乗りは、なぜピチピチのウェアを着ているのか?」と
そんな、自転車用ヘルメットには、子ども用から通学用、スポーツ用など、さまざまな種類が存在しています。とくにスポーツ用などは軽くて小さいため、本当に安全なのか疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。
そこで、自転車用ヘルメットの国内シェアNO.1を誇るオージーケーカブトに、その違いや安全性について聞いてみました。
答えてくれたのは、同社開発部で、企画・広報を担当する柿山 昌範さんです。
「子ども用自転車ヘルメットは、まだ法律がなかった時代から製品化していました。
その後2008年に、13歳未満の子どもに対し、自転車に乗る際のヘルメット着用努力義務が法律で定められたことによって急激に需要が上がり、いまに至ります」
―――値段によって、性能や安全性に違いはありますか?
自転車ヘルメットの性能は、軽さと通気性、空気抵抗の低さなどがポイントなんです。それらの追求が造形の緻密さとなり、製法や工程の差になってきます。
安全性については、SG(製品安全協会)やJCF(日本自転車競技連盟)など、それぞれの基準に合格しているので価格による差はないのですが、上記の性能面やフィッティング調整パーツの有無などでも変わってきます。つまり値段の違いに反映されるというわけです。
あくまでざっくりですが、スポーツモデルの最高峰を1個作る間に、エントリーモデルなら10個ぐらい作れるんですよ。
―――競技用モデルは、形状によって性能に違いはありますか?
自転車競技において、空気抵抗をいかに低減するかというのは重要なファクターなんです。その空力性能追求の歴史は、国際レースでの日本代表チームが使用した歴代ヘルメットの進化を見て頂ければ分かるように、後方に向かって尖っている方が空力は良くなります。
ただ、自転車競技でもとくに日本選手が好成績をあげる屋内トラック種目には、大きく分けて2種類あり、ライバルと競う競技と、ひたすら単独でタイムを追求する競技に分けられるので、例えば競輪「ケイリン」などのライバルと競う競技に使用するヘルメットは、競技中に後ろを振り返ることも多いので、可能な限り空力を追求したうえで、後方が見やすいように丸みを帯びた形になっています。
そのため、もちろん後方が尖ったデザインの方が、空力としては上なので、競技の性質により使い分けて頂く形になります。
■重さによって安全性は変わる?
―――軽量でコンパクトなものが多い自転車用ヘルメットは、本当に安全なのでしょうか?
ヘルメットを構成する大事なパーツは、あご紐とシェル、ライナーなのですが、自転車はヘルメットをかぶらないで走るというところからスタートしたこともあり、自転車用ヘルメットは軽くて涼しいものが求められます。その部分の重要性は、競技用になればなおさらで、快適なヘルメットを軽くするには、可能な限り穴をあけていくしかありません。
そのために、ライナーのなかに骨組みを入れて、シェルを細かく分けることで、人間の体のようにしっかりとした骨組みに沿って筋肉を付けていくようなイメージで手間をかけることで、安全性をキープしながらも軽量で涼しくて快適なヘルメットに仕上げています。
逆にいうと、分厚くてしっかりとした通学用や子供用ヘルメットは、シェル、つまり外殻と中身だけで安全性が確保されるため、骨組みは入っていません。
だから、通学用自転車ヘルメットは2000円とか3000円とかで販売できていますが、一方で、3万円前後するような少し凝ったデザインの競技用ヘルメットは、かなり軽く涼しいので、かぶり心地も快適。さらに、カーボンを使った競技専用ヘルメットなどは、ひとつひとつが手作りのため、驚くほど軽く快適ですが、1個7万円ほどになってしまいます。
※ ※ ※
軽量・コンパクトな自転車ヘルメットに対して「これで、ホントに頭が守れるの?」と、少し疑問に感じていた人も多いのではないでしょうか。
しかし、企業のさまざまな工夫により、現在主流となっている快適な自転車用ヘルメットが出来上がっていることが分かった今回の取材。 金額の違いは安全性ではなく、軽さや涼しさなど、かぶっているときの快適性の差にあらわれていました。そう考えると、自身の目的に合ったヘルメットが選びやすくなるのではないでしょうか。
また、オージーケーカブトでは、小さな子どもを持つママの声から作られた、世界で一番小さな赤ちゃん用ヘルメットもラインナップされており、産まれてから一番初めに接するヘルメットブランドになることで、ユーザーの安全意識をさらに高めていきたいとも話してくれました。
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