巨大なマシンと向き合う――初教習で感じた『クルマの別世界』
前回の第1章では、大型免許取得を決意した理由や、教習所選びの経緯、そして教習車との対面の様子までをお伝えしました。今回の第2章では、いよいよ教習が本格的にスタートします。
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初回の教習では、まず車両設備について一通り学びました。どこに何があるのかを確認しながら、基本操作を試しつつ、教習所内の外周路を周回するという内容です。
車両の説明が終わると、まずは教官によるお手本走行から。助手席から見ると車両が車線幅いっぱいに走っているように見え、道路標識はサイドウインドウ越しに真横に流れていきます。普通車とはまったく異なる視界に、別世界に入り込んだような感覚を覚えました。
そして、ついに私の番。さあ、発進しようとシフトレバーを1速へ入れると、「2速に入れてください」と教官の指示が飛びました。大型車の1速は力が強すぎるため、荷物を積んで坂道を登るときなど、特別な状況でしか使わないのだそう。目から鱗の情報でした。
久しぶりのマニュアル車でしたが、エンストすることなく、あっさりと発進成功。クラッチペダルが思っていた以上に軽くてびっくり! かつて自家用車として乗っていたホンダ・シビック・タイプR(FK8)よりも軽く感じたほどでした。
校内コースへ向けて駐車スペースから出る際、ステアリングを切ってみると、さらにびっくり。ステアリングホイールは普通車よりもひとまわり以上大きく、設置角も地面と平行に近い設計です。見た目には相当重厚感があるのに、操作感はすごく軽快で、大鍋をゆっくりとかき混ぜるような動きにはなるものの、滑らかで力を込める必要がほとんどありません。
その大きさから想像していた『大型車運転には力が必要』という思い込みから解放された瞬間でした。
そして直線に差しかかると、「3速へ上げてください」と教官の声。指示通りにギアを上げてクラッチをつなぐと、「普通車のように繊細に操作しなくても、ある程度ガサツにクラッチを上げてもつながるから」と教えてくれました。実際、思っていたよりスムーズにつながり、「これはむしろ、普通車より楽なのでは」と感じたほどです。
想像していたよりもずっと運転しやすく、練習を重ねれば十分に扱えるようになりそう。初めての運転で、そんな希望が見えてきました。
ただし、外周路のカーブでは、どうしても中央線を踏まざるを得ない場面がありました。教官によると「このコースは普通車を前提に設計されているため、ある程度ラインを跨がないと出口で後輪が縁石に乗ってしまう」とのこと。
こうしたシーンは、実際の公道でも十分に起こりうるものです。その場合、対向車や並走車との距離に一層の注意が求められます。普通車に乗っていたときには何気なく通っていたような道でも、大型車では常に気配りと目配りが必要であることを改めて実感しました。
意外な障壁。最初に苦しんだのは、加速ではなく減速
ハンドル操作やクラッチ操作は、思っていた以上に早く慣れることができた、という手応えがありました。一方で、慣れるまで最も時間を要したのが、ブレーキ操作です。
特に教習を始めて4時限ほどは、いわゆる『カックンブレーキ』の連続。停止するたびに助手席の教官が前後に揺さぶられているのが、視界の端に入ってきました。
原因は、大型車特有のエアブレーキ。
空気の圧縮を利用して制動力を生み出すこの方式は、一般的な油圧式よりも強い効き方をするため、わずかに踏み込むだけでもしっかりと減速します。繊細な踏力が求められることに気がつき、教習3日目からは靴底の薄いドライビングシューズに履き替えました。するとペダルの感覚が足に伝わりやすくなり、操作性が格段に向上したのです。
想像以上に扱いやすい部分と、思わぬところに潜んでいた難しさ――そのどちらもが混在する大型車の運転を、教習の初期段階から体感しました。
教習中はほかにも、普通車とは異なる仕様や設計に驚かされました。
たとえば、ハザードランプの位置。普通車ではインパネに配置されたスイッチが一般的ですが、大型車では左側のワイパーレバーを上に引き上げると作動する仕組みになっています。これは、ハンドルから手を離さずに操作できるよう、実務に即した設計だそうです。
それから、同じ左レバーを下に動かすと作動するのが『排気ブレーキ』。これは、ディーゼルエンジンを搭載した大型車両に備えられている補助ブレーキの一種で、アクセルを離した際に排気ガスの流れを制限し、エンジンブレーキの効果を高めて車両の減速をサポートするというものです。
ただし、教習ではこの装備は使用せず、あくまでフットブレーキのみで減速・停止する練習を重ねるように指導されました。教官からは、「排気ブレーキに頼らずに安全に停止できるようになれば、それだけ車両を正確に制御できている証でもある」という説明を受けました。
意外な経験が活きた、前輪位置の『違い』への感覚
教習が進む中で、嬉しいことがありました。これまで自走による日本一周体験や取材の場で、トヨタ・ハイエースや日産キャラバンといった、運転席よりも後ろもしくは運転席の下に前輪が付いているワンボックス車両を運転していた、その経験が活かされたのです。
普通車は運転席よりも前に前輪が付いている普通車に比べ、運転席より後ろに前輪があるハイエースなどでは、右左折の際、ハンドルを切るタイミング遅くなります。大型車両も前輪が運転席の下もしくはそれよりも後方に位置しているため、サイズ感こそ全く異なるものの、身体に馴染んだ『タイヤ位置によって切り始めを遅くする』感覚でスムーズに曲がりきることができました。
教官によると、多くの方が大型教習で苦戦するのは『MT操作』と『カーブ』なのだとか。AT免許の方はまずシフト操作の基本から覚えなくてはなりませんし、後者は普通車の感覚でハンドルを切ってしまって曲がり切れない、ということがしばしば起こるのだそうです。人によっては時間内に教習内容が終わらず、補講が必要になる場合もあるという中で、教官からお褒めの言葉をいただけました。これは、MT車を日常的に運転していた経験と、ワンボックスを使って数百キロ運転してきたことが役に立ったということ。嬉しく、誇らしく、そして、経験というのは机上の知識以上に大きな意味を持つのだと実感しました。
――次回は、免許取得によるメンタル面の変化と、大型車へのリスペクトが生まれた話をお届けします。
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