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海外F1記者の視点|富豪ストロール率いるアストンマーティンF1、世界一の野望のため“全て”を揃えるも直面する厳しい現実

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海外F1記者の視点|富豪ストロール率いるアストンマーティンF1、世界一の野望のため“全て”を揃えるも直面する厳しい現実

 2021年7月、アストンマーティンのオーナーで大富豪のローレンス・ストロールはF1イギリスGPを前に記者会見を行ない、「究極の野望は世界チャンピオンになること」だと宣言。そして、どのくらいの時間がかかるかと尋ねられ、「現実的に4~5年で優勝する計画は立てられないと思う」と付け加えた。

 しかし4年が経とうとしている今、アストンマーティンのコンストラクターズランキングは7番手。ストロールの目標には近づけていない。

■ニューウェイのアストン2025年マシンへの介入は無し? 「2026年に100%集中」とチーム代表

 現在のアストンマーティンは、イギリス・シルバーストンの新ファクトリー建設に2億ポンド(約376億円)を投じ、風洞を含め最新鋭の設備を手にした。

 またアストンマーティンは人材面でも強化を進めてきた。元マクラーレン代表のマーティン・ウィットマーシュや、かつてレッドブルでマシンデザインを担当したダン・ファローズの時代を経て、今では最高の技術陣営を揃えた。

 F1史上最高のレーシングカーデザイナーと呼ばれるエイドリアン・ニューウェイをレッドブルから引き抜き、フェラーリからはエンリコ・カルディレをチーフ・テクニカルディレクターとして起用。2014年以降に黄金時代を築いたメルセデスのF1パワーユニット(PU)プロジェクトを率いたアンディ・コーウェルが、今ではアストンマーティンのチーム代表兼CEOを務めている。

 少なくとも表面上では、アストンマーティンはF1での成功における全ての要素を揃えた。しかし現在コンストラクターズランキングでは7番手と、ストロールの野望からは程遠い。

 ストロールにとっては気になる時期だ。2024年11月、アストンマーティンの市販車部門は2ヵ月で2度目の業績悪化を報告。2025年2月には、売上減少に伴う170人の人員削減を発表した。

 F1チームは市販車の販売不振の影響を受けていないが、それでも業績悪化は懸念材料だ。

 アロンソは開幕4戦を終えてノーポイント。未だスピードがあるのは間違いないが、F1キャリアに関してはあまり時間が残っていないのも確か。一方、26歳になったストロールの息子ランスは、チャンピオン級の走りを見せられていない。

 では、ストロールは次に何をするのだろうか?

 ニューウェイに2025年マシンにも目を向けてもらい、状況を好転させるような修正を施せるかどうかを見極める選択肢も考えられる。しかしニューウェイは、他人が手掛けたマシンを改良するようなタイプではなく、次世代レギュレーションが導入される2026年マシンに向けて開発することを主眼に置いている。

 コーウェル代表やニューウェイが手を組めば、F1で成功を掴むことができるはずだという楽観的な期待もあるだろう。しかし、それは絶対ではない。

 さらに、チームのドライバーに関してはどうなるのだろうか? アロンソは今年の7月に44歳になり、ストロールはまだ未知数だ。そして2026年からのパワーユニット供給契約に合わせてホンダと共に角田裕毅を引き入れるというという予想も、最近になってその角田がレッドブル昇格のチャンスを掴んだことで吹き飛んでしまった。

 ストロールの勝利へのビジョンが達成可能であることに疑いの余地はなく、2026年から始まる新時代では勢力図が変わってくるかもしれない。しかし現時点では巨額の資金を投じ、自動車ビジネスを支える重圧と戦いながらも世界タイトルを獲得するという目標には遠のいているようだ。

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みんなのコメント

1件
  • YANAZO
    アストンの車が売れるかは
    購入者の判断。
    いくら販売側が最良 最高と思っていても
    消費者が受け入れなければ机上の空論。

    アストンのF1チーム内も同じ
    幾ら理想の人材を据えた所で
    ストロール パパが思い描いている
    結果に成る保証は 何処にも無い。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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