今週末行なわれるF1ラスベガスGPに向けて、メルセデスは昨年勝利したにもかかわらず自信はさほど高くない様子……一体何故なのだろうか?
昨年のラスベガスGPではポールポジションスタートのジョージ・ラッセルとルイス・ハミルトン(現在はフェラーリ)が圧倒的な速さを発揮。ラッセルが先頭で逃げ切り、そして予選では失敗したハミルトンが見事な追い上げで、ワンツーフィニッシュを果たした。
■トト・ウルフ、自身が持つメルセデスF1の株式の一部を売却へ。チームの評価額は1兆円に迫る
しかし、2025年のラスベガスGPに向けて、メルセデスはさほど高い自信は持っていない様子を見せる。そこにはいくつかの要因がある。
「私は『昨年とまったく同じクルマを使おう、何も変えるな』と言ってきた。しかし残念ながら、もうそういうわけにはいかない」
メルセデスのチーム代表であるトト・ウルフは、そう語った。
「だから我々は、ラスベガスに必要なクルマがどんなものなのか、気温はどうなのか、そしてあのときのパフォーマンスを再現できるのか、非常に分析的に見ていく必要がある。しかし、私としては懐疑的だ」
「とにかく、オープンマインドで臨む必要がある。新たな週末を迎えて、パフォーマンスを発揮できることを願うばかりだ」
メルセデスにとっての不安要素のひとつが気温だ。
昨年ラスベガスでは圧倒的な強さを見せたメルセデスだが、その要因のひとつは低い気温だった。路面の滑らかさに加え、11月中旬の夜の肌寒い気温(14度)が相まって、昨年のマシンW15の不利な特性が緩和されていた。
グラウンドエフェクト時代となってから、メルセデスはサスペンション、特にリヤの路面追従性の適切なバランスを見つけるのに苦労しており、タイヤにオーバーヒートの傾向もあった。そのため、メルセデスのマシンは路面がバンピーでないコースで最もパフォーマンスを発揮した。低い気温の環境ではオーバーヒートも抑えられることで、より力を発揮してきたのだ。
ラスベガスのコースレイアウト自体もメルセデスにとっては助けになっていた。冷え込んだコンディションの中、長いメインストレートでタイヤが冷やされ、さらにタイヤに負荷が集中するロングコーナーが無いのだ。
しかし2025年のラスベガスGPは、昨年よりも開始時刻が2時間早まって午後8時となった。それだけ気温の下がり方も穏やかになってくることが予想されている。それが期待を控えめにする要因のひとつだ。
メルセデスがラスベガスGPに向けた期待をコントロールしようとしている理由は他にもある。
「今年のパフォーマンスを正確に予測するのは非常に難しい。なぜなら昨年と今年を比べると、我々は昨年から今年にかけて、異なる種類のレースで勝っているからだ」
と、副テクニカルディレクターのシモーネ・レスタは、サンパウロGP後にチームが公開した動画の中で語った。
「昨年どうだったかと、今年どうなるかを直接結びつけるのは非常に難しい」
「我々はこれらのレースにこれまで以上にやる気を持って臨んでいる。可能な限り最善の準備をしようとしている。ドライバーたちもどちらもかなり前向きだし、我々もパフォーマンス最大化に努めていくつもりだ」
メルセデスは2025年のマシンW16で、抜本的な変更を加えてきた。そこには低速コーナーで出がちだったアンダーステアの解消と、車高を少し高くすることでより安定したダウンフォースを生み出すことが目的とされた。
一方で昨年のW15では寒冷なコンディションでも、タイヤに熱を入れられたことで、アンダーステア傾向を補っていた部分がある。
2026年マシンW16への取り組みは新型サスペンションが途中で取り外されるなど全てが成功しているわけではない。しかしマシンの特性が昨年とは異なるものになっているため、チームとして昨年と比較したパフォーマンスが予測しづらいのだ。
「シルバーストンは大きなチャンスになると思っていた。しかし実際にはそうではなかった。モントリオールでは勝ったが、シルバーストンは全くダメで、スパもダメだった」とヴォルフは語った。
実際のところ、スパ・フランコルシャン(ベルギー)は条件だけ見れば「メルセデス向き」だ。滑らかで高速コーナーが多く、しかも今年は比較的寒かった。しかし結果は惨敗だった。アンドレア・キミ・アントネッリはスプリント予選と予選の両方でQ1敗退、ラッセルはスプリントで無得点、決勝でも存在感の薄いまま5位に終わった。
「だから、昨年の結果を基準に期待値を設定したくはない」とウルフ代表は続けた。
「なぜなら我々は以前にも痛い目を見ているからだ……ブラジルがその例だ。ある年は圧勝し、翌年はまったく通用しなかった……」
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