もくじ
ー Q5の前に、Q7を見てみる
ー Q7、乗った感じは?
ー 焦点がいまひとつボヤけている
ー いま、アウディに求められること
アウディはすべて似すぎ? 乗ると印象は異なる? 試乗で探る 前編
Q5の前に、Q7を見てみる
サルーン系から気分を変えて、今度はSUVを借り出してみた。
お目当てはQ5だが、現行のSUVラインナップのサイズ感を掴むために、まず「Q7 3.0 TFSIクワトロ」に乗ってみた。
というのもQ7は、全グレードともマイルドハイブリッド採用で日本に早晩上陸するであろうQ8にフラッグシップSUVの座を譲ろうという立場。
加えてSUVクーペたるQ6もウワサされている。そうした偶数車名のニューモデルに挟まれる前提で日本市場デビューして2年半経ったQ7を眺めると、静的でフォーマル、ステイタス性の高さが感じられる。
ショルダーに2本伸びる、直線的でエッジの立ったプレスラインからは、本来ならサルーン系が担いそうな立ち位置を担う、そんなSUVと見えてくる。
ルーフラインは無論、ボンネットからショルダーにかけてのラインも高く、水平のクロームグリルはかなり垂直に立てられている。5m強の全長に2m弱の全幅、3m近いホイールベースの車体に乗り込むと、予想通りというべきか、ちょっとした高台から猊下するようなアイポイントの高さだ。
水平基調のインテリアはマット仕上げのアルミパネルが目を引く造りで、ボタン類を減らす近頃のトレンドに沿ったインターフェイスだ。
Q7、乗った感じは?
試乗車は可変ダンパーのエアサスを装着しているため車重は2100kg、かつ3列目シートを備えた7シーターパッケージで車重はさらに+40kgだったが、この2世代目Q7はフェンダーやドアパネル、ボンネットやリアゲートにアルミニウムパネルを多用して、初代より約300kgもの軽量化を実現したことがウリ。
今や珍しい3ℓV6スーパーチャージドのパワーユニットと8速Sトロニックの上品なマナーも相まって、ゼロスタートからの加速は滑り出すように軽い。
前後ダブルウィッシュボーンの足回りも渋さがなく、クリアで精密感のある、しかし濃密な走り味といえる。アイポイントが高いことを除けば、立ち居ふるまいはまさしく高級車のそれ、という感覚だ。
逆にいうとSUVであるべき理由は、全体の上背の高さと3列目シートなのか? とも思わされる。
こうして上位機種がきわめて好印象だったので、期待して同じMLBエボ・プラットフォームを共有するQ5に乗った。こちらは「Q5 2.0 TFSIクワトロスポーツ」、先のQ7と同じくS line仕様だが非エアサス仕様だ。
ボンネットがフロントフェンダーと二枚貝のように合わさるラインが、そのままドアパネル上でキャラクターラインとなり、前後フェンダー辺りで緩やかに波打つ意匠は、「5ファミリー」共通のデザインだ。
もはやVWグループの標準パワーユニットといえる252ps・37.7kg-mの2ℓ直4ターボと、そこに組み合わされる7速Sトロニックは、先に乗っていたA5スポーツバックと同カブリオレと同様……かと思っていたら、全然違っていた。
焦点がいまひとつボヤけている
シフトアップ&ダウンの接ぎ目は速く短く滑らかだし、パワー感もあるのだが、何となくしっくり来ない。ステアリングから伝わってくるフィールも、概してリニアで忠実なのだが、ほんの少し間が空いてから反応する印象で、これまで乗ってきた他のアウディに比べてすっきりしないというか、緻密さが足りず、動的質感の焦点がいまひとつボヤけているように感じた。
考えられる原因はふたつ。まずQ5の7速Sトロニックのギア比は、1~8速までA5スポーツバック、A5カブリオレとまったく一緒だが、最終減速比は前後車軸それぞれ5.301と5.300。
対してA5スポーツバック、A5カブリオレは4.269と4.272なので、同じ回転数でもQ5の方が出足が鈍く、クワトロにしてもリア駆動を強めたA5スポーツバック、A5カブリオレのキビキビ感とすっかり差がついてしまうのも、むべなるかなと思わされる。
もうひとつは、縦置きの直4エンジンの搭載位置。エンジンルームを覗き込むと、奥側のエンジンヘッドからバルクヘッドまでが随分と空いていて、トランスミッションまで見えてしまうほど。
つまり本来、SQ5のようなV6か、あるいはV8が座るべき広大なスペースで、所在なさげに2ℓ直4が据えられているように見えてしまうのだ。
いま、アウディに求められること
結果的に今回の試乗は、MLBエボの高低というパラレルなふたつのラインナップ中の、アッパーミドル4台を乗り比べたといえる。
エアサスによる可変ダンパー&アダプティブシャシーコントロールは、近頃のミドルレンジ以上のドイツ車ではなかば標準装備になっており、ロールを抑制しつつステアリングやレスポンスを速める効果は確かにある。
が、劇的にシャシー特性を向上させるとは思えなかった。MLBエボを共有することの功罪も垣間見えたし、各モデルの味つけの差異は予想以上に明確だった。
実際、今やサイズや用途だけでなく、乗り換え顧客を飽きさせないほど多様なスタイルを揃えることが肝要なのだろう。
だがアウディに限らず、ハイエンドなドイツ車メーカーに必要なことはボディ・バリエーションを増やすだけでなく、白黒銀の無難な仕様だけが「手堅い動産」だと顧客に思われている現状を打破することではないか?
街であまり見かけないブルーやグリーンの優雅な仕様の広報車を見て、そう思わされた。
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