■ 6月27日公開予定の最新映画『F1/エフワン』
6月27日公開予定の最新映画『F1/エフワン』の試写会が、6月19日夜にメディア向けに行われました。
近年ますます人気を増している「モータースポーツ最高峰」のF1を描いた今作は、一体どんな魅力があるのでしょうか。
『F1/エフワン』は、ジョセフ・コシンスキー監督が手がけ、ブラッド・ピットが主演となる映画です。
同監督は2022年公開の「トップガン マーヴェリック」を手掛け、同作は世界興行収入約15億ドルをたたき出す大ヒットとなりました。
今回の映画もスピードの極致を追求する、モータースポーツにおける世界最高峰の「フォーミュラ1(F1)」が舞台となり、「地上版トップガン」という声が上がっています。
F1公式ががっぷり四つで協力し、実際のサーキットやレース会場にカメラが入ったほか、実在のドライバーや関係者も舞台背景として登場。あくまで映画作品と言えども、あらゆる場面で「リアルなF1の世界」を徹底的に実現しています。IMAX映像での大迫力も特筆です。
さて、この映画の大まかなストーリーは、かつてF1を志半ばで引退し、北米で放浪のレーサー生活を続けていたソニー(ブラッド・ピット)が、30年ぶりにF1復帰し、栄光を掴もうとするものです。
ソニーはかつて「アイルトン・セナ」「ナイジェル・マンセル」など伝説のドライバーがいた時代に、彗星のごとく現われた期待の新人として登場しましたが、時の「スペインGP」の大クラッシュで引退。
それから30年が経ち、「デイトナ24時間レース」の優勝を見届けて帰るソニーは、旧友のルーベン(ハビエル・バルデム)と再会。彼はF1で新興チーム「APX(エイペックス)」を運営していましたが、最下位が続き、チームを手放さざるを得ないところまで追い詰められていました。そこでシーズン途中でドライバー交代を敢行してまで、ソニーに望みを託そうとしたのです。
チームにはもう一人のドライバーとして、注目の新人ジョシュア(ダムソン・イドリス)がいました。またマシン設計や作戦などを統括するテクニカル・ディレクターには、これも新人かつ女性初となるケイト(ケリー・コンドン)が就任。いずれもやる気が空回りしているのか、チーム全体がチグハグな状態でした。
そこへ現われたのがソニー。自由奔放を絵に描いたような彼に、チームは初日から振り回されていきます。チームワークなどお構いなし、それでも天性の速さを見せるソニーに対し、周囲から期待を一身に受けるはずだったジョシュアは、内心穏やかではありませんでした。
何を目的としてF1復帰したのかすら明かさないまま、ソニーは「レースで優勝できる」と豪語。残された時間は今シーズン最終戦「アブダビGP」までの9レースしかありませんが、果たしてどうなるのでしょうか。
■異例すぎる「フィクション映画」そのスゴさとは
『F1/エフワン』はブラッド・ピット演じるドライバーの熱い生き様を描いていますが、乱暴な言い方をすれば、ネットフリックスで独占配信されている人気ドキュメンタリーシリーズ『Formula 1:栄光のグランプリ』のある意味“延長線上”と言えるかもしれません。
このドキュメンタリーは近年のF1に爆発的人気をもたらした立役者のひとつとも言われており、一般大衆のF1に対する見方を「ただのレース」から「大河ドラマ」へ大転換させた番組でした。
チーム内のゴタゴタからチーム代表間や運営側とのドロドロの政治的内幕、ドライバー間の軋轢などを余すところなく映し出したもので、ファンが感じている「F1はむしろレース以外の人間模様の方が面白い」というミーハー心をとことんまで追求。野球やサッカーの世界でも似たところがありますが、F1は全世界で20人のドライバー+関係者一同という濃縮されたサーカスなので、より深いところまで個人へフォーカスできるという強みもあるのでしょう。
映画『F1/エフワン』はそんな濃縮された人間模様を「フィクションドラマ」へ「横展開」したらどうなるのか、というようなものに思えました。
勝つということはドライバーだけでなく、チーム全体がポジティブな方向へ噛み合っていかなければ生まれないことで、しかもそれはただの必要条件に過ぎず、そこで初めて「幸運の女神に微笑んでもらえるかもしれない権利」が手に入るだけ……そんな極限を突き詰める世界であることが、スクリーンからもひしひしと感じられてきます。
もちろんレース本番はそれらが全て発揮される最終結論であり、ベストを尽くしたうえで運をつかみ取る「舞台」でもあります。その爆発寸前の緊張感もクライマックスで余すところなくじっくり描かれており、純粋にレースが大好きなファンでもしっかり楽しめるようになっていました。
ところで、台本があって盛り上げられた今回の映画『F1/エフワン』は、これだけ盛り上がっているのに決して「大げさなドラマ」ではないから恐ろしいものです。現実のF1も、この映画に絶対に引けを取らないネタが毎年展開。そもそも映画『F1/エフワン』の細かい1シーン1シーンすべてに「元ネタがある」と言っても過言ではないかもしれません。
例えば、生意気なルーキーと血気盛んなベテランといえば、2007年のマクラーレンの「アロンソ対ハミルトン」を思い起こす人がいるかもしれません。絶対王者シューマッハを打倒して2年連続チャンピオンになったフェルナンド・アロンソがトップチームに移籍した矢先、驚異の新人ルイス・ハミルトンが「デビューから9戦連続表彰台」を筆頭に彼とチャンピオン争いを展開、レース内外でバチバチのチーム内抗争を繰り広げました。
その結末は「フェラーリのライコネンが110点、ハミルトン109点、アロンソ109点」「チームは別の問題で全ポイント剥奪」という、あまりにも漫画のような、現実なのに“演出過剰”とも言える筋書きになったのです。ちなみにそのハミルトンは、今回の映画『F1/エフワン』のプロデューサーを務めています。あれから20年近く経ち、数々の栄光をつかみ、自分で色々振り返るところもあったのでしょう。
他にも若手との軋轢として、1988年・89年マクラーレンの「プロスト対セナ」も有名。最近では2017年フォース・インディアの「ペレス対オコン」、2019年フェラーリの「ベッテル対ルクレール」もかなり激しいものでした。
ネタバレになるので書けませんが、「胸熱」から「やりすぎ」「ドン引き」まで、映画内のありとあらゆる展開やシーンが、こうした現実のF1事件簿で引用できてしまうのも、ある意味「F1ファンにとっての嬉しいところ」かもしれません。
思わず苦笑したのが、F1というその荒れ狂う大河ドラマが、1年でがらりと流れを変えてしまうことを、この映画を通して痛感したことです。
現場撮影はおもに2024年の早い段階で行われましたが、そのせいで映画内の優勝争いはレッドブル、フェラーリ、メルセデスに絞られています。しかし、同年後半からマクラーレンが怒涛の勢いで戦闘力を増し、ついに26年ぶりの悲願のチームチャンピオンを獲得してしまったのです。
2025年もマクラーレンの破竹の勢いは止まらず、2025年6月時点で圧倒的1位。2位メルセデス以下に2倍近いポイント差をつけるほどです。
皮肉にも、ドライバーズポイントで1位を走っているのは「冷静沈着、成熟型」のオスカー・ピアストリ。映画『F1/エフワン』におけるソニーやジョシュアとは真逆の性格によって成功をもたらしているのだから面白いものです。
ほかにもレッドブルのセルジオ・ペレスは途中契約破棄で解雇され、ハースF1チームの名物チーム代表だったギュンター・シュタイナーも2023年シーズンをもって辞任(後任は日本人の小松礼雄)、ルイス・ハミルトンはメルセデスからフェラーリへ電撃移籍するなど、すでに映画の舞台が陳腐化するような目まぐるしさです。
※ ※ ※
このように、F1を知らない人は「関わる全員が極限を追求する人間臭さ」に興奮することができ、F1ファンは「F1の歴史が詰め込まれた結晶」として終始ニヤリとできる、どちらも楽しめる作品だと言えるでしょう。(くるまのニュース編集部)
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みんなのコメント
それは無理だよ。
それにスーパーライセンスはもう切れてるんじゃないの?