走行距離2万4890km スレンダーなMkIIの美貌
リアの小ぶりなリッドを開くと、シルバーのシェルビー・コブラ 289 MkIIが特別な1台だとわかる。そこへ収まるソフトトップは、黄ばんだ新聞紙で包まれている。そっとめくると、1970年の日付けが見える。半世紀以上、使われていないのだろう。
【画像】走行2万4890km シェルビー・コブラ 289 MkII ACエース 復刻/最新版のコブラたち 全115枚
初代オーナーのロバート・リンダウアー氏は、自動車雑誌「カー&ドライバー」の1965年7月号で、このコブラの購入希望者を募った。1969年にも再び。当時は、読者による売買希望欄が存在していたのだ。しかし、買い手は現れなかった。
その結果、キャロル・シェルビー氏が手掛けたロードスターは、素晴らしい状態で21世紀を迎えることができた。マニア間では「リンダウアー・コブラ」として知られる1台で、走行距離は2万4890kmでしかない。
コブラと聞くと、広がったフェンダーラインにビッグブロックのV8エンジンを積んだ、427を思い浮かべるかもしれない。だが、ベースとなったACエースへ近い、スレンダーなコブラ 289 MkIIの美貌も素晴らしい。シルバーの塗装も、オリジナルだという。
コルベットから乗り換えアメリカ縦断の旅へ
このコブラは、アメリカのNASAで燃料電池と極低温工学を研究していたリンダウアーが、1964年7月に南西のフロリダ州で購入。走りへ納得した彼は、1か月後に北部を目指す旅行へ出発している。
新人だった彼が、高性能なロードスターを新車で購入できたのだから、手当は充実していたのだろう。その前には、1963年式シボレー・コルベットへ乗っていたのだから。
彼が最初に向かったのは、開催中だったニューヨーク万国博覧会。数か月前に発表された、初代フォード・マスタングが展示されていたからだった。同じ289cu.in(4.7L)のV8エンジンを積んだポニーカーは、コブラの半額で購入することができた。
更に北上し、マサチューセッツ州の東端、ケープコッドを訪問。そこから西へ進路を変え、両親が暮らすシカゴを訪ねている。驚くことに、彼が旅行で使用した地図は、今でも車内に残されている。ペンで記されたグリーンのラインは、彼が辿ったルートだ。
21世紀まで空調の効いたガレージで保管
暑い8月に、ロードスターでアメリカを縦断したリンダウアーは、挑戦心の強い人物だったといえる。同時に、とても几帳面でもあった。6400kmに及ぶ行程で給油した領収書は、すべて整備簿へファイリングしていたほど。
フロリダ州の東岸、ケープカナベラルの自宅へ戻った彼は、その後の10年間、週末のドライブでコブラを楽しんだ。1970年には接触事故でボディを傷つけてしまうが、自分で補修。ジムカーナへ出場し、トロフィーを勝ち取った事もあった。
リンダウアーは何度か転売も考えたようだが、1974年に空調の効いたガレージへコブラを移動。ジャッキアップした状態で、保管することに決めた。エンジンは定期的に始動させていたが、2001年にこの世を去るまで、陽光を直接浴びることはなかった。
クルマを受け継いだのは、中東部のノース・カロライナ州へ住んでいた彼の息子、ロバート・リンダウアー・ジュニア氏。だが、そこでも同様に8年間保管された。
マニュアルやキーリングも当時のまま
その後、コブラはレーシングチームのホールマン・ムーディを父から継いだリー・ホールマン氏のもとへ。慎重にレストアされ、2010年に公道への復帰が叶った。
リンダウアーが購入してから53年後、息子は手放すことを決意する。クラシックカーとして価格が高騰していたことに、魅力を感じたのだろう。2017年のオークションへ出品されると、110万ドルという高値で落札されている。
コブラを我がものとしたのは、カーコレクターのフリードヘルム・ロー氏。現在はドイツ・ヘッセン州にある国立自動車博物館で一般公開されている。一緒に残された、歴史的なアイテムを展示するエリアはないようだが。
グローブボックスには新車時からのオーナーズマニュアルが、リアの荷室にはジャッキやグリースガン、ツールキットがしまってある。カーペットは、グレートブリテン島のACカーズで敷かれたまま。キーには、シェルビーのキーリングが付いている。
この続きは、シェルビー・コブラ 289 MkII(2)にて。
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