■ちいさな「ミッドシップマシン」
2012年のジュネーブモーターショーでインフィニティが披露した「エマージ・イー(以下、エマージe)」は、大胆なコンセプトとして世界中の注目を集めました。
【画像】超カッコイイ! 日産の「ちいさな“MR”スポーツカー」を画像で見る(69枚)
発表から年月が経った今も、そのデザインと技術はファンの間で絶えず関心が寄せられています。
インフィニティ初のミッドシップ・スポーツとして登場したエマージeは、電動化技術と高性能を融合させたレンジエクステンダー(航続距離延長装置)付きEV(電気自動車)スポーツカーでした。
持続可能な高性能車の提案をテーマに掲げ、将来の方向性を示す実走可能なプロトタイプとして仕上げられた点が大きな特徴です。
その完成度は早くから注目され、2012年の「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」ではF1ドライバーのマーク・ウェバー氏がヒルクライムコースを疾走。
その美しいスタイリングは「歴代インフィニティで最も美しい」と称賛されました。
ボディサイズは全長4464mm×全幅1954mm×全高1219mmと低くワイドなプロポーションで、流麗なデザインが特徴的。
ミッドシップ特有の低いノーズと長いリアデッキがシルエットを引き締め、ダブルアーチグリルやクレセントカットも空力性能を意識した造形でした。
インテリアはドライバー中心のコクピット構成で、カーボンファイバーを見せるデザインにレザーやアルカンターラを組み合わせ、先進性と上質感を両立しています。
パワートレインは、ツインモーターEVにレンジエクステンダーを組み合わせ、後輪を2基のモーターで駆動。
最高出力300kW(約402HP)、最大トルク1000Nm、0-60マイル(約96km/h)加速4.0秒という性能を発揮。EV走行約48km、併用時約480kmの航続を確保していました。発電用エンジンはロータス製1.2リッター直列3気筒です。
エマージeは、英国の日産テクニカルセンター・ヨーロッパが中心となって開発され、ロータスの協力も得て誕生した欧州発のインフィニティでした。
日本車の信頼性と欧州スポーツカーのハンドリングを融合させる挑戦的なプロジェクトだったのです。
市販化こそ実現しなかったものの、そのデザインや思想は後の「Q50(スカイライン)」や「Q60」に受け継がれています。エマージeは、インフィニティが描いた走りの未来を象徴する存在として、今も多くのファンの記憶に残り続けています。
※ ※ ※
こうした背景もあり、ユーザーからは「最高に美しい一台」「今見てもまったく古さを感じない」といったデザインへの称賛や、「この完成度で幻のままはもったいない」と市販化を求める声が多く寄せられています。
エマージeが残した影響は小さくなく、その思想がどのように次のモデルへ受け継がれていくのか、今後も注目が続きそうです。(青田 海)
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