現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > もはや懐かしい! 「昔のクルマ」は“ドアごと”に施錠していた!? 今後「カギ」は「消失」か! 「ドアロック」の変遷と進化とは

ここから本文です

もはや懐かしい! 「昔のクルマ」は“ドアごと”に施錠していた!? 今後「カギ」は「消失」か! 「ドアロック」の変遷と進化とは

掲載 27
もはや懐かしい! 「昔のクルマ」は“ドアごと”に施錠していた!? 今後「カギ」は「消失」か! 「ドアロック」の変遷と進化とは

■物理的な鍵は不要に? クルマの「カギ」はどのような変遷をたどったのか

 一般的なほとんどのクルマには、鍵がついています。クルマの鍵の目的は、「ドアに鍵をかけて誰にでも開けられないようにする」や「合う鍵でしかエンジンを始動できないようにする」「イグニッションキーでハンドルをロックする」ことなどです。

「そういえばあったね」 平成に流行し、令和で見なくなった車のグッズ3選

 そんなクルマの鍵ですが、日々進化しており、現在では近づくだけで解錠してくれるものもあります。今回はクルマの鍵の歴史や現在の状況について解説します。

「鍵には金へんがあるように、クルマの鍵にも長い間金属製の鍵が使用されてきました。後述しますが、スマートキーとなった現在でも非常用などに金属の鍵が格納されている場合が多くあります。

 鍵には凹凸や溝があり、凹凸パターンの多さで盗難防止を発揮しています。

 金属製の物理的な鍵の場合、クルマを運転するときには、「ドアキーシリンダー」に鍵を入れて回すと開錠され、車内で「イグニッションキーシリンダー」に鍵を入れて回すと、エンジンを始動できます。

 降車時はイグニッションキーシリンダーをロック位置にしてエンジンを止め、降車してドアキーシリンダーに鍵を入れて回し、施錠します。

 同乗者がいないときには、ドライバーは降車前に運転席から各席のドアロックノブを操作し、各席の鍵をかけます。

 また、ドアキーシリンダーを回さなくても鍵をかける方法があります。

 ドアが開いているときにドアロックノブで鍵をかけ、ドアハンドルをドア開位置にしつつドアを閉める「キーレスロック」です。

 ただし便利かどうかは別で、この方法で車内に鍵をとじ込めてしまう人もいました。

 余談ですが金属の鍵には、車両エンブレム付きや金メッキ、銀製といった様々なオプションがありました。

 カー用品店にも装飾を持った鍵が売られており、すぐにスペアキーを作ってもらうことが可能でした。

■集中ドアロックの登場

 ドアロックの電動化は、1965年頃に高級車から始まりました。

 ドライバーが室内のスイッチ操作だけで全席に鍵をかける方式です。普及は1980年代後半頃からです。

 ドアへ配線を引き通す関係もあって、パワーウインドウと同時に採用されました。たかがドアロックの電動化ですが、集中ドアロック機能は運転席ドアキーシリンダー操作だけで、全席の施錠と開錠が出来て非常に便利でした。

 ファミリーカーやデートカーは特に有効で、同乗者がキーレスロックをしなくても全席施錠でき、ドライバーの開錠と同時に同乗者がドアを開けられることが便利だったのです。

■キーレスエントリーの登場

 1980年代前半からの電子技術は進化が著しく、ドアロックも進化します。1983年、日産は暗証番号式ドアロックを採用します。ドライバーがドアハンドル付近の操作ボタンで暗証番号を操作し、あらかじめ設定した番号と一致するとドアロックが作動するシステムです。

 さらに1985年、日産はカードキーシステムを採用します。ドライバーがキャッシュカード大の専用カードをドアハンドル付近にかざすと、ドアロックが作動するシステムです。

 一方、トヨタは1984年に商用車の「ダイナ/トヨエース」に電波式ワイヤレスドアロックを搭載します。ドライバーがドアハンドル近くでリモコンを操作すると微弱電波が発信、クルマが受信して暗号が一致するとドアロックが作動します。

 配送用トラックではドアロックを頻繁に使用するために鍵やキーシリンダーが摩耗しやすいため、便利装置というよりは摩耗防止の装置だったようです。

 1985年、ホンダは赤外線式キーレスエントリーを搭載します。リモコン操作で赤外線が照射され、クルマが赤外線を受光するものです。当時は電波法が厳しく、ダイナ/トヨエースはごく近距離でしか作動しませんでしたが、赤外線式はより遠くからの操作が可能でした。

 ただし赤外線は「光」なので、太陽光で機能が左右されたり、車内の受光センサーに向けて操作する必要がありました。

 また、ユニークなものに1989年に登場したスバル「レガシィ」の「フック式キーレスエントリー」があります。ドアハンドル持ち上げ操作回数で暗証番号を入力し、設定した暗号通りだとドアロックが作動するものです。

 キーレスエントリーは1990年代半ばから普及します。メーカー側も、クルマの商品イメージが向上したり収益向上が狙えるなど利点が多かったため、積極的に採用し、低価格なクルマにも度々設定されました。

 1990年代後半の電波法規制緩和で電波式が主流になり、2000年代半ばにはごく普通の装置になります。

■盗難防止機能への応用

 1999年、日産は「シーマ」に「電子キー」を設定しました。キーレスエントリー機能は従来通りですが、イグニッションキーシリンダーに電子キーを差し込こむと車両と暗号を送受信、一致するとエンジン始動が可能になるものです。

 2000年には、トヨタが「セルシオ」に、ドライバーがキーを携帯するだけで各種操作が可能な「スマートキー」を設定します。

 キーを携帯したドライバーがドアハンドルに触れると、車両とスマートキーが送受信、暗号が一致すると開錠されます。送受信は車内でも行われ、暗号が一致しないとイグニッションノブを回せず、エンジンを始動できません。

 降車時は、ドライバーがドアハンドルのロックボタンを操作すると、全席施錠されます。

 スマートキーは、電池が切れなどに備えて金属鍵を内蔵しています。金属鍵はジャックナイフのようにさっと出てくることが特徴でした。

 そして2003年、トヨタの2代目「プリウス」はプッシュスタートスイッチを搭載します。スマートキーを運転席近くのキースロットに差し込み、ブレーキペダルを踏んでプッシュスタートスイッチを1回押すとシステムが起動します。

 同年には「クラウン」にも装着されて、普及が始まります。なお、キースロットにはキーに充電する機能がありましたが、廃止されて電池交換式に落ち着きました。

 以降、各社にスマートキーやプッシュスタートスイッチが広まります。

 各種の操作方法はメーカーにより異なるようで、スマートキーながらイグニッションノブ操作式のもの、ドアロック操作はドアハンドルのリクエストスイッチ操作によるものなど、スマートキーといっても色々ありました。

 初期のスマートキーには、各種の試みがありました。

 トヨタは、オプションでスマートキー機能を内蔵した腕時計を設定しました。

 時計のデザインには好みがある上、そのデザインが男性寄りだったからなのか、クルマを手放した際の時計の扱いが難しいからなのか、普及はしなかったようです。

 キーを携帯しやすくするためにカード状にしたものもありましたが、キャッシュカードなどよりも厚いことや、存在感が薄いと存在を忘れやすいからなのか、これも廃れてしまいました。

 また、電池交換式が一般化して、緊急用の金属鍵は簡素な取り出し式になりました。

■増えるスマートキーの機能、そして鍵は不要に…

 現在のスマートキー車は、スマートキーを携帯したドライバーが接近すると、スモールライトやドアミラー部のウエルカムライトが点灯してドライバーを迎える機能がついているものもあります。

 またドライバーが運転席に座ってドアを閉めると、スマートキーごとに設定されたシート位置やステアリング位置に自動調整されるなど、便利になっています。

 さらに、システム起動までの操作はこれまで通りですが、オプションの急発進抑制機能付きキーで始動した際にはアクセルペダルを大きく操作しても加速を緩慢にし、ペダル誤操作による誤発進を抑制するといった、鍵ごとにクルマの動作が変わるものも出てきました。

 スマートフォンを携帯することは、今やごく一般的なことですが、キー情報をスマートフォンやウェアラブル端末などに記憶させ、クルマにかざすだけで各種操作を可能としたクルマもあります。

 鍵情報が電子化されるので、クルマを貸す場合には許認可操作で済みますから、鍵を渡す行為が不要です。

 遠隔操作も可能で、車両が盗難されても遠隔操作で始動を禁止することなども可能です。

 現在、「鍵」を電子情報化することが成長分野であり、大手電機メーカーでは家電生産からこの分野にシフトするところもあります。

※ ※ ※

 鍵の進化が進み、ついにはスマートフォンで代用可能となる時代がやってきた昨今。今後は、鍵を持ち歩くことすらなくなるのが常識となり、どんどん便利になっていくかもしれません。

 一方、さまざまな機能をスマートフォンなどのデバイスに集約することで、ハッキングなどによるリスクも増大していきます。

 日夜サイバーセキュリティについての研究も進んでおりますが、「利便性」と「安全性」の兼ね合いが今後どうなっていくのか、注目です。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

『危ねぇ知らなかった!』危険回避! 知らないと怖いブレーキパッドの交換タイミング~カスタムHOW TO~
『危ねぇ知らなかった!』危険回避! 知らないと怖いブレーキパッドの交換タイミング~カスタムHOW TO~
レスポンス
ソニー、移動をエンタメに変える「MR Cruise」事業化…あらゆる車両に搭載可能に
ソニー、移動をエンタメに変える「MR Cruise」事業化…あらゆる車両に搭載可能に
レスポンス
「前を走るパトカー」“追い越し”て大丈夫? 抜かす派VS抜かない派で賛否両論!? 「やっちゃダメ」な要注意項目とは
「前を走るパトカー」“追い越し”て大丈夫? 抜かす派VS抜かない派で賛否両論!? 「やっちゃダメ」な要注意項目とは
くるまのニュース
日本人初の快挙! moto2チャンピオン小椋藍がトライアンフ トリプル トロフィーを受賞
日本人初の快挙! moto2チャンピオン小椋藍がトライアンフ トリプル トロフィーを受賞
バイクのニュース
【10年ひと昔の新車】ボルボ V60 オーシャンレース エディションは、世界一周ヨットレースを記念したスペシャルバージョン
【10年ひと昔の新車】ボルボ V60 オーシャンレース エディションは、世界一周ヨットレースを記念したスペシャルバージョン
Webモーターマガジン
孤高のミニバンSUV、デリカD:5に「BLACK Edition」新登場、定番の「CHAMONIX」には新たに8シーターを設定
孤高のミニバンSUV、デリカD:5に「BLACK Edition」新登場、定番の「CHAMONIX」には新たに8シーターを設定
カー・アンド・ドライバー
ダイハツの「“すごい”コペン」登場! 軽規格超えた「ワイドフェンダー」×770ccエンジン搭載! 2L並みパワーでめちゃ速い「デカいコペン」 どんなマシン?
ダイハツの「“すごい”コペン」登場! 軽規格超えた「ワイドフェンダー」×770ccエンジン搭載! 2L並みパワーでめちゃ速い「デカいコペン」 どんなマシン?
くるまのニュース
トヨタの「高級スポーティミニバン」がスゴい! 「走りが楽しい」反響多数!? 王道「アルファード」と異なる「個性」に注目! ヴェルは何が違う?
トヨタの「高級スポーティミニバン」がスゴい! 「走りが楽しい」反響多数!? 王道「アルファード」と異なる「個性」に注目! ヴェルは何が違う?
くるまのニュース
「スゴい事故」発生も…「夏タイヤ履いてるなんて信じられんッ!」 批判の声多数! 夏タイヤで雪道走ると違反? 正しい交換時期の目安とは
「スゴい事故」発生も…「夏タイヤ履いてるなんて信じられんッ!」 批判の声多数! 夏タイヤで雪道走ると違反? 正しい交換時期の目安とは
くるまのニュース
ついにその瞬間がやってきた!!!!! シビックベースの70年代風GTカー[ミツオカM55]が限定100台800万円で販売!!!!! 即売必至か?
ついにその瞬間がやってきた!!!!! シビックベースの70年代風GTカー[ミツオカM55]が限定100台800万円で販売!!!!! 即売必至か?
ベストカーWeb
「富士山登山鉄道」断念、でも代わりは“トラム”なの!?  後継には「電動連節バス」しかない3つの理由
「富士山登山鉄道」断念、でも代わりは“トラム”なの!? 後継には「電動連節バス」しかない3つの理由
Merkmal
入場無料! [レクサスRZ]に[新型アウトランダーPHEV]も!! 千年の都が舞台[京都モビリティ会議]が12月7日(土)にやってくる
入場無料! [レクサスRZ]に[新型アウトランダーPHEV]も!! 千年の都が舞台[京都モビリティ会議]が12月7日(土)にやってくる
ベストカーWeb
FIA F2参戦のロダン、最終戦でFIA F3王者フォルナローリを起用。フォーミュラE参戦のマローニの代役
FIA F2参戦のロダン、最終戦でFIA F3王者フォルナローリを起用。フォーミュラE参戦のマローニの代役
AUTOSPORT web
快適ボックスシートから広々フルフラットへの変更も簡単! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
快適ボックスシートから広々フルフラットへの変更も簡単! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
もう[トヨタ]が開発してるだと!!!!!!!!!!! 次期型[GR86/BRZ]は1.6Lターボ+ハイブリッドでほぼ確定か!?  
もう[トヨタ]が開発してるだと!!!!!!!!!!! 次期型[GR86/BRZ]は1.6Lターボ+ハイブリッドでほぼ確定か!?  
ベストカーWeb
トヨタWRC、大荒れのデイ2を好位置で乗り切る。ラトバラ代表は「明日もトリッキーになる」と警戒/ラリージャパン
トヨタWRC、大荒れのデイ2を好位置で乗り切る。ラトバラ代表は「明日もトリッキーになる」と警戒/ラリージャパン
AUTOSPORT web
ARTグランプリ、ホンダのフランス法人とパートナーシップを締結。CR-VとZR-Vが提供される
ARTグランプリ、ホンダのフランス法人とパートナーシップを締結。CR-VとZR-Vが提供される
AUTOSPORT web
優れた燃費が自慢[アコード]!! [レクサスES]と比較した明確な違い
優れた燃費が自慢[アコード]!! [レクサスES]と比較した明確な違い
ベストカーWeb

みんなのコメント

27件
  • キーが進化すると犯罪も進化していく。トヨタの盗難対策が時代についていけていない。
  • そういえば、車を降りたときは、全部のドアが施錠されているか、確認してましたね。
    「キーレスロック」っていうんですか、あれは、一度キーを閉じ込めてしまってから、絶対に鍵穴でロックするようにしていました。
    サイドガラスも、手動だったんで、友人を乗せた後などで、開いたままになっていると、ちょっと腹がたったりしましたね。
    後部席だと、気がつかず雨で水浸しになったりとか。。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村