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「水曜どうでしょう」放映から四半世紀 キングオブ深夜バスは令和の今も走っていた! 実際に乗ってわかった「はかた号」の“恐るべき進化”とは

掲載 更新 8
「水曜どうでしょう」放映から四半世紀 キングオブ深夜バスは令和の今も走っていた! 実際に乗ってわかった「はかた号」の“恐るべき進化”とは

東京と博多を結ぶ深夜バス「はかた号」とは

 人気俳優・大泉洋さんを世に出したのが、HTBの深夜バラエティ「水曜どうでしょう」。それらは再放送されたりDVD化されたりと、レギュラー放送が終了して20年以上経った今でも人気を博しています。

【画像】乗ってみたい!キングオブ深夜バス「はかた号」の快適座席を写真で見る(35枚)

 番組ではさまざまな企画がありましたが、とくに人気が高いのが、サイコロの出目で次の行き先が決まる「サイコロの旅」。なかでも「サイコロ5」は、名作としてファン(藩士)に語り継がれています。

 その旅の最中に2回もサイコロの目が出てしまい、どうでしょう班をパニックに陥れた「キングオブ深夜バス」が、東京と福岡・博多を結ぶ深夜バス「はかた号」です。そんなはかた号は、じつは令和になった現代でも1日1便、走り続けています。

 ちなみにこの区間、所要時間は飛行機だと羽田空港から福岡空港までおよそ2時間。またJALで羽田発1日17便、ANAで1日19便と多く、そのほかにもスカイマークやスターフライヤーなどがひっきりなしに飛んでいます。

 飛行機はどうも苦手…という人には、新幹線という手段もあります。東京駅から博多駅まで新幹線のぞみで約5時間。こちらも直行する便だけで1日に東京駅発で30本以上が走っています。

 それなのに、1000kmを超える距離を14時間以上もかけて、深夜バスが走っているのでしょうか。そこにはどんな魅力が隠されているのでしょうか。

 それを確認すべく、実際に乗ってみました。

 飛行機のJAL/ANAの場合、羽田−福岡の正規料金は約5万円ですが、早割ならば1万5000円程度から。スターフライヤーなら最安値で9600円になります。また新幹線のぞみの場合は、東京−博多が普通指定席で2万3810円、自由席なら2万2220円です。

 では、はかた号はといえば、ダイナミックプライシング(変動料金制)を採用。ただしプレミアムシートは1万8000円から2万5000円、ビジネスシートは9000円から2万円と、決して「格安」ではありません。ちなみに今回、GW直前の平日に乗車、50日前に予約をした時点でのプレミアムシートの価格は2万3000円でした。

 そう、令和のはかた号には、横3列の通常「ビジネスシート」に加え、4席のみ個室型の「プレミアムシート」が設定されているのです。

このプレミアムシートが大人気で、週末や土日だけでなく平日も1か月以上前から予約が埋まる状況です。ただキャンセルも出るので、乗りたい人は予約サイト「ハイウェイバスドットコム」をチェックしておくのも手です。

 今回乗ったのは、山陽新幹線博多駅に隣接する博多バスターミナルを18時40分に出発し、翌朝に東京のバスタ新宿に到着する上り便。途中、天神や黒崎インター引野口、砂津、小倉駅前に立ち寄り、乗客を乗せていきます。予定ではバスタ新宿に翌朝9時19分着。つまり通常に行けば、乗車時間は14時間39分という長旅になります。

4つしかない個室型「プレミアムシート」の座り心地と寝心地

 この日の乗客は、プレミアムシートが満室、ビジネスシートは5名で計9名。乗務員は2名で、おそらく深夜帯に運転を交代するためと思われます。

 バスに乗りこみ、予約した「1B」という、運転席の真後ろにあるプレミアムシートに乗り込みます。カーテンを開けると、1畳弱くらいのスペースに、大きめのベージュ色の本革シートがでんと存在しています。

 このシート、座り心地がなんとも素晴らしい。シングルソファと比べると幅が狭めなため、逆に適度なホールド感で身体を包んでくれます。

 また座席の上にはブランケットのほか、試供品として「蒸気でホットアイマスク」と「ビオレゼロさらさらシート」が置かれていました。

 AC電源コンセントは左右に2か所。どちらも「携帯電話専用コンセント」と書かれています。また右のアームレストから引き出すタイプの小テーブルがありますが、微妙にフラットではないのでパソコンなどを置いておくことは難しそう。そんなときは、背もたれ角を合わせ、パソコンを自分のモモ上に置いてタイピングをすると快適に仕事もできます。

 もちろん無料Wi-Fiも用意。福岡高速走行中は動画視聴もままならず、かなり弱く感じましたが、そのうち8Mbpsくらいで安定しました。試した中では最高で38Mbpsとかなり高速でした。

 18時40分に定刻で発車したはかた号は各停留所で乗客を乗せ続け、そこからは山陽道を東に進みます。短い原稿を1本書き上げ、博多駅で買った新書を半分くらいまで読んだ時点でもまだ21時。まだまだ時間はあります。

 21時50分に到着した山陽道佐波川SAで15分休憩。バスを降り、併設のコンビニで翌日の朝食とドリンクを仕入れます。ここから朝までは、基本的に乗客が降りて休憩するSAはありません。

 このタイミングで、履いていたGパンを脱ぎ短パンに履き替えます。夜だとなかなか気づきませんが、通路側のカーテンだけでなく窓側のカーテンも閉めないと、外から着替えが丸見えになるので注意が必要です。

 個室で立つとちょっとアタマが天井に付くぐらい、だいたい160cmくらいの高さがあるので、着替えるのにそこまでの苦労はありません。

 22時5分に佐波川SAを出発、「これより消灯します」のアナウンスがありました。

 でもここからがプレミアムシートの真骨頂。何時まで明かりを付けていようが、周りに迷惑をかけずに済むので、いつまでも起きていられます。

 座席番号1Bは、位置的にはバス右前輪の真上に座っているのですが、思っていたよりも乗り心地は快適です。電車や飛行機とはまた違うバスの揺れはランダムかつ大きめですが、パソコンを打っていてもクルマ酔いすることはありませんでした。

 Netflixの「新幹線大爆破」で興奮し、「オフライン ラブ」でミミの不思議な魅力に感心していたら、気がつけば深夜1時。そろそろ寝なくては。

 シート背もたれを倒しフットレストを上げると、フラットとまでは行かないのですが無理せずに眠れそうな“簡易ベッド”の完成です。イメージとしては、背もたれの角度的に、スーパー銭湯の休憩室にあるリクライニングソファのような感じ。試供品のホットアイマスクをかけ、持参した耳栓を装着し、もちろん安全のため3点式シートベルトは装着したまま眠りにつきました。

15時間を超えたバス旅でなにを思う?

 朝6時半、「まもなく静岡SAで朝の休憩です」とのアナウンスで起床しました。それまでずっと、目覚めることなく深く眠り続けていました。

 普段、取材でビジネスホテルに泊まってもいつも寝付きが悪く、眠れないことが多い自分なのですが、この日は人生最長の出張の最終日。9泊目ということもあり、積み重なった疲れもあったのでしょう、本気で爆睡できました。
 
 こういう日は自分のイビキが気になってしまうのですが、他人に迷惑をかけないですむのもプレミアムシートの利点。そういう安心感も、深い眠りにつけた要因かもしれません。

 静岡SAでは15分の休憩。バスに乗り込むと、乗務員からお茶が配られました。

 そこからは、都内に向けてラストスパート。休日前の金曜日ということもあり、首都高渋谷線上りは用賀手前から渋滞していますが、相変わらず快適なシートに座り、パソコンでメールのチェックなどをします。

 ここで気がついたのですが、シートの前方にある、擦りガラスだと思っていたものはじつはプライベートガラスで、左手側コンセント下にあるボタンを押すと透明/曇りガラスに切り替わりました。透明にすれば前方の視界が開け、首都高の渋滞までも楽しめる仕様となっています。

 バスタ新宿に到着したのは結局9時45分。渋滞もあり、15時間を超えるバス旅は終わりました。

※ ※ ※

 水曜どうでしょうの「サイコロ5」放映から、いくら30年近い時が経ったとはいえ、同じ名前の深夜バス、それもほぼ当時と変わらない乗車時間ということもあり、じつはある程度のツラさは覚悟していました。

 もしかしたら、寝ても寝ても時間が進まない「逆浦島現象」が起きるかもしれない、「ケツの肉が取れる夢」も見られるかもしれない、と半分恐れ半分期待していましたが、令和のはかた号は、じつはまだまだずっと乗っていられるほど快適なバス旅でした。

 ホントはトラブルや苦労など、もうちょっとネガティブな面があったほうが記事として面白いのかもしれませんが、これがはかた号のプレミアムシートに乗ってみた事実です。

 深夜バスに乗り慣れていない人や、一人旅の女性にもオススメできるのがはかた号のプレミアムシート。人気の理由がわかりました。

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みんなのコメント

8件
  • ken********
    プレミアムシートじゃダメだろ
    そこはあえて一般シートにしないとw
  • iwa********
    バス内でパソコン打つのは止めてもらいたい。
    キーボード叩く音がうるさすぎて、実に迷惑!!
    特に深夜なら尚更だわ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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