8月18日、FP1、予選、FP2と3セッションを終えたWEC世界耐久選手権第4戦/第89回ル・マン24時間レース。予選ではトヨタGAZOO Racingの7号車GR010ハイブリッドが暫定首位に立ち、各クラス上位車両は走行2日目の“ハイパーポール”へと駒を進めている。
世界最大のレースウイークは、コースの内外でさまざまなトピックが生まれる場所でもある。ここでは走行初日に集まった情報の数々を紹介する。
GTカテゴリーの将来性を見極めたいGM。コルベットによるル・マン参戦を重要視
・20kWは「約1.6秒に相当」。ハイパーカーのレースラップは?
トヨタGAZOO Racingヨーロッパのテクニカル・ディレクター、パスカル・バセロンによれば、このイベントでル・マン・ハイパーカー(LMH)に与えられた追加の20kWの出力は、規則が元来定めていた500kWと比較すると、1ラップあたり約1.6秒の短縮に寄与するという。
LMHはBoPにより、グリッケンハウス007 LMHは最大520KW、トヨタGR010ハイブリッドは最大515kWに出力が制限されている。
ACOはもともと、最高峰クラスのラップタイムを3分30秒とすることを目標としていたが、このBoPによってレースにおける目標ラップタイムはおよそ3分28秒4ということになる。
「路面グリップの向上に伴い、週の後半には3分30秒を切るだろう。これは500kWでも予定されていたことだ」とバセロンはテストデー時点で語っていた。
「パフォーマンスという観点では、我々はこのサーキットにおけるプランどおりのところにある」
・スタート前にアロンソとオコンがデモラン予定
LMP1ノンハイブリッドマシンでハイパーカークラスに参戦しているアルピーヌは今週、将来のハイパーカーへのエントリーを発表しない模様だ。ただし、土曜日のスタート前には元LMP1ドライバーのフェルナンド・アロンソと、エステバン・オコンがサルト・サーキットでデモ走行を行なう予定だ。
2度のF1王者かつ、2度のル・マン・ウイナーであるアロンソは、A521カラーのアルピーヌF1マシンで走行を行ない、先のハンガリーGPで初優勝を飾ったばかりのオコンはA110 GT4カップカーで登場する。近代では、F1カーがサルト・サーキットを走行するのは初めてのことだ。
・アルピーヌは2023年にLMDhで参戦?
Sportscar365は、アルピーヌが2023年に6番目のLMDhマニュファクチャラーとなり、おそらくはオレカと提携するものと理解している。
これにより、リジェを除く3つのLMP2コンストラクターが、新たな規則のデビューイヤーからすくなくともふたつの参戦マニュファクチャラーを持つことを意味する。
ポルシェとアウディがマルチマチックをベースシャシーとすることが発表されているほか、BMWとキャデラックはダラーラをベースにするものと思われるためである。
・予選でのトラフィックに不満なLMP2王者
水曜日に1時間設けられた予選セッションにおいて、GTE車両のトラフィックの影響で“ハイパーポール”進出に必要なタイムをマークできなかったとして、LMP2クラスのユナイテッド・オートスポーツ22号車オレカ07・ギブソンをドライブするフィリペ・アルバカーキは不満の声をツイートしている。
「(予選について)再考すべきだ。これはとても苛立たしいことだ。アウトラップを走るプロのGTドライバーが、フライングラップを台無しにすることは容認できない。クラス12番手となったが、トップ6に入るためのペースは不足していなかった」
・“ほとんどすべての”911 RSR-19がル・マンに集結
現存するポルシェ911 RSR-19のカスタマー向けシャシーは、ひとつを除いてそのすべてが今週末、ル・マンに存在しており、LMGTEアマ、およびLMGTEプロ(ウェザーテック・レーシングとハブオート・レーシング)のフィールドに広がっている。
例外は昨年末に発表された最初の一連の10台のうちのひとつ、シャシーNo.918だ。その後、ハーバース・モータースポーツがフェラーリからポルシェへと参戦マシンを変更したために、追加で1台が製造されている。
これにより今回のル・マンで、ポルシェはワークス(ポルシェGTチームの91&92号車)マシンと合わせ、12台の911 RSR-19を走らせている。
・GTカテゴリーの未来は動くか
GTワールドチャレンジやIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジなどGT3をメインとするレースを統括するSROモータースポーツ・グループの創設者兼CEO、ステファン・ラテルは、今週後半にル・マンへとやってくる予定だ。
ACOがGT3の将来にコミットした場合、SROのBoP(性能調整)システムを使用することになる可能性が高い、という噂が上がっている。
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