ルート66とグランドキャニオンの中間! ちょっと寄り道してみよう
広大なアメリカを東西2347マイル(3755km)にわたって結ぶ旧国道「ルート66」をこれまで5回往復した経験をもつ筆者が、ルート66の魅力を紹介しながらバーチャル・トリップへご案内。イリノイ州シカゴから西に向かい、見どころの多いアリゾナ州も中間地点を抜けました。今回はルート66を少し外れてグランドキャニオンに寄り道する途中で出会った、航空機の博物館を紹介します。
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カリフォリニアの航空博物館のアリゾナ別館、入ってみたら驚いた!
アメリカを代表する国立公園として高い知名度を誇り、1年で約500万もの人が訪れるグランドキャニオン。そのゲートシティがルート66沿いのウィリアムズで、州道64号線を走れば南側の入口までわずか1時間だ。世界でも有数の大絶景がすぐ近くにあるというのに、立ち寄らずスルーするのはあまりにもったいない。というわけでルート66を少しだけ外れて北へドライブするが、グランドキャニオンの前にもうひとつのスポットを紹介しよう。
カリフォルニア州チノにある航空博物館「プレーンズ・オブ・フェイム」の別館で、ウィリアムズからグランドキャニオンへ行く途中の左手にある小さな空港が目印。世界で唯一となる飛行が可能な栄エンジンを搭載した零戦など、希少な飛行機を数多く保有する本館が手狭になり、アリゾナに別館を設立することになったそうだ。
外から見た限りレストア待ちやパーツ取りと思しき残骸が多く、それほど期待しないで入場してみたのだが意外と充実しており、戦前や戦後を問わず日本と関係のある展示も多く驚かされた。
最大の目玉はダグラス・マッカーサー元帥の搭乗機で、バターン号と呼ばれたVC-121Aコンステレーション。バターン号は年代によって合計3機が存在しており、ここに展示しているのは国連軍の総司令官を解任され、1951年4月16日に日本を去ったときの機体そのものだ。
以降は国連軍の司令官の専用機や要人輸送機として使用され、1960年代の後半にはNASAに所属したこともあったらしいが、今はこのプレーンズ・オブ・フェイムで余生を過ごしている。
日本にまつわる航空機や展示品も豊富
屋外で目に付いたのは胴体の後部に日の丸が描かれた、航空自衛隊で使われていたT-33シューティングスター。垂直尾翼のマーキングや機体番号から調べたところ、入間基地の総隊司令部飛行隊や飛行点検隊で使われ、1991年に用途廃止となりアメリカへ渡ったようだ。塗装のコンディションから察するに飛行が可能かは不明だが、キチンと手入れされているようでなんとなく嬉しくなってしまう。
また屋内では零戦のキャブレターや彗星のエンジンなど、旧日本軍機のパーツや資料がいくつも展示されている。余談だが2013年に所沢航空発祥記念館で開催された「日本の航空技術100年展」では、プレーンズ・オブ・フェイムが所有する栄エンジン搭載の零戦が目玉として展示され、エンジン始動やタキシングが行われ大勢のファンが日本中から足を運んだとのこと。
そんなグランドキャニオンと併せて観光したい航空博物館だが、残念ながらコロナ禍の影響で閉館してしまったようだ。ウェブサイトにはチノの本館しか掲載されておらず、Googleマップの位置情報もすでに消えている模様。
代替としてカリフォルニア州サンタ・マリアに新たな施設を作るようで、すでに土地のリース契約や調査は済んだようなので今後の動向を見守りたい。
次回は地球が悠久の時をかけて作り上げた芸術、グランドキャニオン国立公園へ!
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